デザイナーインタビュー
デザインチームの金澤です。
今回は三井住友銀行アプリのデザインを担当している堀さんにインタビュー。
2019年話題になったnote「三井住友銀行アプリについてお話します。」の筆者としても行内外で認知されています。
海外体験を日本に還元!SMBCを選んだ理由とは
─ 今はどんな業務をされていますか?
堀:主に銀行アプリです。
その他、銀行内のシステムの改善やHP、デザインシステムで単発でプロジェクトに参画することもあります。
インドネシアのJeniusという金融アプリの制作者の方たちと1週間、研修に行くこともできました。
シリコンバレーのラボの方とも交流があったり、グローバルです!
─ どうして当行のデザイン職としてジョインしようと思ったんですか?
堀:海外(豪州)に住んでいるときに、豪州の銀行がとても進んで(スマホをかざせばATMから出金できる、どこのお店もスマホをかざして決済できる、アプリも見やすくて送金もスムーズに送れる)驚いた体験をしました。
帰国し、就活をしていたらSMBCがUXデザイナーを募集していると知り、私が感動した体験を実現できるかもしれないと思い、応募しました!
─ タイミングが合ったんですね。堀さんは今でこそ銀行のデザイナーですが、デザイナーを志したきっかけを教えてください。
堀:中学生のころNHKの教育番組の舞台セットを作りたいと思い、空間、プロダクト(3D)を目指しましたがインターネットが出て“インタラクティブなもの”に興味がわき、そこからUIデザイナーになりました。
─ たまたまですが、私も舞台芸術に興味ありました(笑)。堀さんの場合、そこで切り替えてUIデザインの道に進んだということですね。当行に入社されるまでのキャリアを教えてください。
堀:ICT企業でUIデザイン→海外(個人で細々とウェブ制作をする)→三井住友銀行(UXデザイン)
─ 仕事以外で打ち込んでいることはありますか?
堀:中国語(と、少しフランス語)、植物と歴史めぐりの散歩
─ どのようなデザイナーと一緒に働きたいですか?
堀:お客さま目線のアウトプットに熱意・こだわりをもって仕事していただける方、自ら切り開いて文化を作っていける方(まだまだ発展途中なので一緒に作り上げていきたいです)
デザイナーと銀行員は、一心同体!デザイナーが活躍できた支えの存在
─ 銀行アプリのデザイナーとして活躍する堀さん。一緒にプロジェクトを共にしてきた安藤さんにも話を聞いてみました。
株式会社三井住友銀行 リテールIT戦略部 安藤 里奈さん
─ 堀さんとはどんな関係性ですか?
安藤:もう…、相方というかパートナーというか…。
堀:…、この時点で泣きそうになる。
安藤:ずっと一緒にやっているので。
私がデザインとかUI/UXとか初心者だったので、全てを教えてもらった感じです。
堀:今は私を超えてリードしてもらっています。
安藤:超えてないですよ!そんなわけはない(笑)
─ お二人は相方同士みたいな関係に見えますが、何か衝突みたいなものを経て、今の状態なったのか教えてください。
安藤:細かい要件単位とかでもちろん衝突っていうか、意見が違ってそれを合わせることはありましたけど、基本的に私はあまりUIとかUXのことわからないので、まず堀さんの言うことを聞こうというのがあって…。最初から衝突ってありましたっけ?
堀:私も安藤さんとは衝突はない記憶で、安藤さんがすごい吸収が早くて、何を話しても理解してくれるっていう感じでしたね。お互いの意見を聞きあうという感じでした。
安藤:そうですね、堀さんの意見が新鮮だったので、どっちかっていうと銀行側の人たちに、デザインで考えていることをどう理解してもらえるかみたいなのを考えるのが仕事かなって思って。
─ いわゆるビジネス側の翻訳みたいなところですか。
安藤:そうです。あとは、それを堀さんたちに正しく伝えるとか、双方向のやりとりの間に入るのが大事な仕事かなっていうのは思っていました。
でも、そういう意味では堀さんもすごく丸くなったんじゃないですか(笑)
キャッシュレス(2019/3銀行アプリリニューアル時)の最初の時は理解されないというか、銀行側の意図を正しく伝えられてない部分もあったかもしれないですし、担当者も自分の中で咀嚼できないまま、上の人が言ってるのもあって、そのままデザイナーさんに伝えてきてというのがあったなかで、戦わざるを得なかったと思います。
堀:そのとき良し悪しを判断する証拠としてのデータがまだ取れてなかったと思います、アクセスログなどは取れているところもあったけど、なぜこれが良いのっていう定性的に比較するためのデータはまだ取れてなかったので…。SNSとかストアコメントが出る前だったので、周りでこんなこと言われてますよとも言うデータがなかった。
安藤:デザイナーさんが考えてくれたものがいいんだっていうのを説明するときに、信頼してもらえる実績も、今まではそんなに多くなかったですし、このデザインがいいって。デザイナーさんが検討する上でもデータも足りてなかったり、その両方の側面で葛藤がありました。デザインも本当はすごい論理的っていうか、いろんな考えに基づいて考えられているものなのに、そのぱっと見の感覚みたいなところで、いろんな人が捉えて、それで意見もできるじゃないですか。
そこで、デザインを合理的に説明するのは結構難しいことだなっていうのを実感しました。
堀:ロジカルに説明しても、どんどん専門チックになっちゃって、聞く相手はわかんなくなるっていうか、それがわかりやすい言葉で説明すると、抽象的になっちゃってみたいな、そのバランスはあるかもしれないですね。
安藤:でもそれを一生懸命チャレンジしているっていう感じです。堀さんは諦めずに上席のところにも突っ込んでいってましたよね。
─ すごい突破力がありますよね。
安藤:はい
堀:ちょっと諦めるってことも学びました(笑)
安藤:そうですね。確かに。譲っても良いところは譲る感じですよね。
堀:全体の優先順位を考えるっていうことも、あとステークホルダーが多いので、その承認のプロセスも考えて、言いやすいところとか、ここは抑えないといけないっていうところは、安藤さんと相談して、話して行こうか、と進めていました。
安藤:今はそういうところを理解していただいていて、堀さんの方から気にしていただいているので、すごいやりやすいです。
─ その転換点というのはどのあたりだったんですか?
安藤:私もデザイナーさんのnoteを見て、行員側がデザイナーさんの何を頼んでいいか分かんないとか、結局何をやってくれるのかわからないことがありましたが、それと一緒で逆にデザイナーさん側も行員が何をやっているか、細かいところは言わないと、わからないだろうなっていうのもあって。で、私もこういう報告がありますとか、自分の案件以外とかでも、「今こういう案件があって、こういう状況です」、とか共有することが増えたなと思っていて。それによって、どういうステータスだとか、行員側でその間に挟まれて何に困っているとか、そういうのを伝えることでお互いに協力しやすくなったのかなって思います。
堀:今回も泣けるnoteになりますね(笑)。安藤さんの根回しのおかげです。他行員さん、協力会社さん一体となって進めてるなと。
そして今、振り返りながらずっと感じてたんですが、銀行内でのやり取りももちろんありましたが、やっぱり欠かせなかったのは銀行アプリを作るうえで、パートナー会社さんのお力も大きかったなって思います。坂口さんという方なんですけど、ほんとにパワフルな方がいらっしゃって。今や銀行アプリのキーパーソンですね。
─ そうですね、協力会社さんとはどういう関わり方をしていたんですか?
堀:前のnoteにも書いたんですが、銀行内である程度UXの方針やビジネス観点・ユーザー観点を決めてそれをお伝えしてデザインいただくというかたちだったのですが、坂口さんはただ作成するだけじゃなくてもっと深みを持たせて作ってくださいました。こちらから提案したアイデアをもっと魅力的にみせる、魔法の力があるような感じです。
(まだ詳しくは言えないですけど)今もUXからご提案いただいています。本当に欠かせない存在になってます、今のチームだからこそ、このアプリができたと思います。
安藤:そうですよね、坂口さんに頼んだら次はどんな画面になるんだろうといつもわくわくしてます。こちらの意図をちゃんとご理解されて、考えて作ってくださるのですごく頼もしいです。
─ 安藤さん(銀行員)、堀さん(インハウスデザイナー)、坂口さん(協力会社さん)のチームが良かったってことですね。
堀:本当なら、ここにいてほしいくらいです(笑)この銀行アプリは、安藤さんや坂口さんなど、たくさんの方のパワーがつまってできたと思います。その制作過程の中で皆さんの考え方やスキル部分を目の当たりにして私自身とっても勉強になりました。
安藤:グッドデザイン賞のときも一緒にどう見せるか、ダンボールで試作品作ってましたね(笑)そして、動画も作ってくださって
堀:その動画につける、音楽も作ってくれて、その時は、ほんと何者だーって思いました
安藤:本当、いつも熱い気持ちを持って取り組んでくださるので嬉しいですし、良いチームだなって思います。
─ そういっためぐりあわせも良かったんですね。いつか3人のインタビューもしてみたいです。
ちょっと話は変わりますが、お二人は2年ほど一緒にやられていて、最初の印象って覚えていますか?
安藤:覚えています。初めて会った時っていうか、初めて一緒に仕事しだした時の印象でいくと、ほんと真っ直ぐで一生懸命というよりかはなんだろうな、“真っ直ぐで熱い”って感じです。
─ それまで関わったデザイナー、もしくは行員とはちょっと違う印象ありました?
安藤:あまりデザイナーさんと関わってなかったっていうのもあるんですが、行員とは違うなと思いました。いい意味でストレートで、思っていることをちゃんと言えるのがすごいというか。結構銀行員は、オブラートに包んでいたり、裏で本当はこう思うみたいなことを言ったりする人が多いのかなと思ったりするのですが、ちゃんと思った時に、自分の意見としていろいろ言っている印象があります。
堀:同じデザインチームの金子さんに注意されました(笑)
安藤:そうなんですか(笑)
堀:ストレートに言い過ぎて怒っているように聞こえるって(笑)
安藤:それが誰が相手でも変わらないというのがすごい良いところだなと思います。
─ 堀さんに助けられたことで印象に残っていることはありますか?
安藤:全体的にまず、堀さんの姿勢にまず助けられてて、めちゃくちゃ忙しく、案件もいっぱいあって、でも常に、全部入りますっていう、アプリを全部担っているという責任感の強さがあるから、安心して相談できる。ウェルカムな姿勢にすごい助けられていて、ビジネスチャンスを捉え、スピーディーな対応が必要な案件や至急のセキュリティ対策など、きちんとした検討ステップが踏めない案件などもあるのですが、とりあえずこれどうなるんだろうって思っているものでも、堀さんにパスしたら、いい感じに返ってくるっていう安心感があって、助けられています。
堀:ほんとに、最高の褒め言葉ですね。ありがとうございます。
安藤:ほんとにその通りなので
─ 堀さん、それを受けてどうですか?
堀:SMBCに入ってよかったなぁって思います。
─ 一時、色々不安というか、考えられていた時もあったような気もしなくもないんですが、堀さんからうれしい言葉をいただきました。
堀:ここで働いていていんだろうかっていうことですね。一瞬悩んだ時ありましたね、懐かしい(笑)
─ そうですね。
堀:社会人なりたての時は、デザイナーがいっぱい周りにいる環境で育ったので、デザインの話をしても通るのが当たり前みたいなところはあったんですが、今はデザイナーだけの意見じゃないっていうところが新鮮で、ほんとに使ってもらっているお客さまの声が直に聞こえたりとかするので、そういったところを体感できたりとかあって。そういうお客様の声を、ちょっとでも考えて制作すると、それがユーザーさんの反響として返ってくるっていうのがあるので、優先順位はいっぱいありますけど、なるだけ良いものを、細かいものでも良いものを出したいなというのは思いました。
─ 「デザイナーがいっぱいいる環境からそうじゃないところに来て」で、安藤さんのような人たちに助けられたっていうのは、デザイナーの方なら同じような不安も多いんじゃないかと思います。あえてSMBCで働く意味があるとすれば教えてください。
堀:デザイナー同士って、感覚が似ているので、これいいねーとか、こうしたほうが良いんじゃないっていうじゃないですか。感覚が似ているから、わかり合うのはすごい早いと思うんですが、ただ安藤さんみたいにビジネス目線でちゃんと指摘してくれる人がいないと、デザイナー同士でいいねって言い合っていても、ほんとに総合的に良いものっていうのは作られないなと思ったので、安藤さんやさきほどの坂口さん、開発者、その他第三者の意見っていうのは、今までの環境では得られなかった経験なので、ここで仕事していて、刺激がいっぱいあります。
─ それでは最後に、ずばり堀さんを一言で言うならどんな方ですか?
安藤:どんな障害でも、真っ向からそれをちゃんと乗り越えていく、勇者的な人です。アプリに関わっているデザイナーさんも別に堀さんだけではなくて、他にベンダーさんもいると思うんですが、そこの人たちも含めて引っ張ってってくれているので、そういう私の中では勇者的な感じですね。
堀:そんな大それたものを、、すいません。
安藤:小さい、小さい…(身長が)
堀:小さい勇者。(笑)
安藤:あとすごい高みを目指しているところが好きです。私はただの銀行員なんで、デザインで語れないんですが、堀さんたちと一緒にやっていると、ほんとにこの銀行アプリが世の中に注目されるのを一緒にみれることが、まず幸せというのと、ありがたいのと、それをもっと伸ばしたいなって。ほんとに一緒にやっていて思うので、そういうモチベーション的なところも引っ張ってってもらっているので、すごく大事な存在だと思います。
堀:涙でキーボードが見えないです。。
─ リモートで対面じゃないからわからないです(笑)
堀:安藤さんが本当に人間的にもすばらしい方なので、いろんな悩みや、これからこうしたい!という目標も柔軟に聞いてくれました。なので私も続けられたっていうのはありますね。ちゃんとUXのこともシステムのこともわかっていただいていますし、ほんとに安藤さんの方が勇者だなとは思います。
安藤:いやー、でもおかげで勉強しようという気になって、自己研鑽とかあまりしなかったですけど。
堀:机の上に「アジャイル侍」の本とかあった時には、めちゃくちゃびっくりしました。
安藤:やっと、そういうのをちゃんと勉強したいと思うようになりました。
堀:ただの銀行員て言いますけど、全然ただの銀行員ではないです。
安藤:ただの銀行員じゃって言ってたらダメなんだろうなって思うようになったのも、本当に堀さんたちと仕事していたおかげです。もっと外の世界に、他の金融業界以外だけじゃなくてIT業界の企業の人は、どういうことやっているのかとか、すごい世界が広がりました。私もそういう他の会社の人のnoteとかも見るようになったし、Twitterとかで開発やUIUXなどの発信している人とかを見るようになって、へーって勉強するようにもなったり。
堀:アプリがいろいろ人を変えた。
安藤:そうですね。デザイナーさんが入ってきたっていうのって、それで新しい世界を見せてもらいました。
─ 最後に堀さんからnoteを読んでくれている方へメッセージがあればお願いします。
堀:いつもSMBCデザインnoteを読んでいただき、ありがとうございます。みなさまの声はいつも励ましになり、一つ一つのプロダクトの糧になっています。SMBCのインハウスデザイナーとして、デザインの仕事はもちろん楽しく、やりがいがありますが、いろんなステークホルダーの方を巻き込みながらお仕事できるのは、自分の視野や経験を広げてくれるとても貴重な体験だと思います。デジタルとお客様の接点が益々必要となり、ウェブやアプリ等プロダクトをより良くすることが必須になってきています、そんな中でもお客様に良いものを届けることができる環境がSMBCでは日々着々と整ってきていて、今後もSMBCでデザインができるのが楽しみです。もし、作ったもののフィードバックを直に感じたい、大きなプロジェクトに挑戦してみたい、日本の金融業界を変えていきたい!という熱い気持ちがある方いらっしゃったら是非一緒に変えていきたいなと思いました。
インタビュー:2020年12月にオンラインで実施
撮影:2020年12月に対面にて実施
以上、インハウスデザイナーの堀さんのインタビューでした。SMBCは個人としてもデザイン組織としても成長できる良い場所なので、ぜひ興味のある方は下記よりご応募してください!お待ちしております。
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