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ディテールってなに?かぬコンの見せない見せるデザイン

みなさん、初めまして。かぬと申します。かぬコンを作るときに、デザインについて意識していることを記事にしました。かぬコンもご使用いただいた方からのフィードバックや使ってみて気づいたことなどを反映し、今回で15回目のバージョンアップとなりました。ストリートファイター6の発売に向けて、さまざまなボタン配置のコントローラーが生まれ、デザインに多様性が生まれてきているように思います。そこで、私がかぬコンを作るときに意識したポイントについてご紹介しようと思います。この記事を書くことによって、コントローラーなどのプロダクトを使うときや、建築や美術を鑑賞する際にいつもと違った見方ができるようになれば嬉しいです。マニアックな表現や専門的な用語がでてくるかもしれません。その際は、参考にあげた記事やわからない言葉を検索してください。

全体の印象を決めるディテール

以前、かぬコンを作るために4つの技術が必要という記事を書きました。そのなかのひとつにあるデザインに関する内容です。デザインというと、カッコイイ絵やシンプルでミニマルな家電など、見た目のことを想像するかと思います。ここでは、どんな形をどのように見せるかを考えることにフォーカスします。デザインをするときに、ディテールという概念が全体にどのような影響をあたえるのか、そもそもディテールとは何か、ディテールはどのように作るのかについてお話します。

ディテールはモノとモノのつなぎ目に生まれる

ものをデザインするときに、私が重要だと考える中の一つにディテールという言葉があります。英語では「detail」と表記し、詳細や細部という意味です。「神は細部に宿る(Got is in the details)」という、有名な言葉がありますが、細部に至るまでこだわることで、全体がよりよく見えるということを表しています。少し難しい表現なので、かぬコンを例に説明します。かぬコンはキースイッチやボタン、天板などさまざまな部品の組み合わせで出来ています。一つのコントローラーにまとめるために、それらの部品をくっつける必要があります。そのジョイント部分に生まれるものがディテールです。

「この建築にはたくさんのディテールがある」などと言われるのは、このジョイント部分にこだわっているかどうかを示しています。具体的に説明すると、ものとものをどうやって接続するか、さらにはどのように見せるかを考えることがディテールを考えるということです。たとえば、基板とケースに固定する際に、組ネジや接着剤を使えば固定できます。そこで、さらにネジ頭のサイズを小さいものにして目立たないようにしたり、ボタンの背面にネジを隠して表から見えないようにすることでディテールが生まれます。こういったディテールへのこだわりが、全体の雰囲気をより美しいものにすると考えています。

ディテールをつくるための3原則

私がディテールを考える時に意識していることは、以下の3つです。形や構成、コンセプトを考えるときに、この3つを使いながらデザインしていきます。これらは、部品の大きさや位置を考える際にも有効ですが、動画編集や資料を作る時にも有効です。それでは、どのようにこれらのことを意識してデザインをしているかを説明します。

  • 揃える

  • メリハリをつける

  • 兼ねる

揃える 

まず、揃えるについて説明します。なにを揃えるかというと、モノの位置や大きさ、コンセプトです。これは、ネジの位置やネジの大きさ、ボタンと基板の外形などを同じ大きさにするということです。パワポで資料を作ったり、ポスターを作るときにも文字の高さや位置を揃えることで全体的な印象がスッキリします。また、そのような図形的な操作だけではなく、使用するフォントや文字の高さをすべてのページで揃えるなど、全体を構成するときにも有効です。

左のように配置がバラバラなものを、均等に配置するように揃えることでスッキリ見える。

コンセプトを揃えることも重要です。かぬコンでは、コンパクトで透明なコントローラーというコンセプトでデザインをしております。これは、ほとんどのバージョンで共通しているコンセプトです。まず、コンセプトとはなにかというと、英語で「concept」と表記し、概念や全体を貫く考え方を示します。かぬコンでは、先ほど説明したコンセプトを実現するために、使いやすさが変わらないようにボタンの配置や大きさなどは、すべてのバージョンで変えていません。100年継ぎ足しながら使われている鰻屋の秘伝のタレなども、その店の味や雰囲気を決めるコンセプトです。それぞれの場面ごとに、どこにどうやって揃えるかを決めておくと統一感のある洗練されたデザインを実現できます。

メリハリをつける

次にメリハリをつけることについてご説明します。「彼の仕事はメリハリがある」などと言いますが、基本的にポジティブな意味と捉えられています。目に見える仕事や重要なプロジェクトに集中して力を注ぎ、雑務はサクッとこなすイメージです。デザインも同様にメリハリをつけることが重要です。たとえば、コントローラーのボタンを、メインを大きいボタンにして、サブのボタンはそれに対して極端に小さくするなどです。このように、メリハリをつけることで、たくさんのボタンがあっても、統一感のあるデザインになります。また、アクリルの天板に透明なネジを使うのではなく、黒や反射率の高いネジを使用します。そうすることで、アクリルの透明感がより強調され、ネジに目が行きにくくなり、さらなる透明感が生まれます。このように、あえて目立つ部分を作るとこで、見せたくないものを隠すこともできます。

アクリルの透明感を活かすために、アクリルの大きさに対して他の部品を小さくしている。

兼ねる

最後に、兼ねるについて説明します。これは、一つのものに二つ以上の役割を与えることです。かぬコンを例に説明します。かぬコンでは、上下のアクリル板をスペーサーとネジで固定しています。11か所で固定をしているのですが、そのうち3か所で基板も固定しています。このように、基板を固定するためだけに、ネジを使うのではなく、上下のアクリルを固定し、さらに基板も固定することで、全体の要素を減らすことが可能です。一つの部品に、2つ3つの機能を与えることで部品の数を減らし、綺麗な整頓された印象を与えることができます。携帯電話にMP3プレイヤーを加えたiPhoneのように、一つの形に様々な機能を与える事でスマートさを生むことができます。

かぬコンはアクリルを固定している部品で基板も固定している。

おわりに

デザインにはさまざまな意味が含まれています。今回はその中の一つである見た目の話をしました。少しマニアックな内容となっていますが、日常にはさまざまなディテールがあふれています。家具や雑貨を買うときや、美術館で絵画を鑑賞するとき、建築や車をみるときに、どのような部品がどのような意図で作られているか観察すると面白いかもしれません。さらには、もっとこうしたらいいのにと考えるとデザインスキルが向上していきます。かぬコンを作る過程で、さまざまなプロダクトをみることができました。その中で、どうしてこうなったのか、どうすればよいのか考えながらデザインをブラッシュアップしました。もし機会があれば、情報を発信いただけると良いかもしれません。自作コントローラーやキーボードの情報を発信してくださっている方に少しでも還元できるように、本記事を書かせていただきました。この記事を書くことで、プロダクトのデザインをする方や使うときに意識して見る方が増えてくれると嬉しいです。


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