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4つの技術でオリジナルコントローラーが作れる

みなさん、初めまして。かぬと申します。はじめてコントローラーを自作した私が、どんな技術が必要だったかを記事にしました。スマブラ用オリジナルコントローラーのかぬコンも、複数回のバージョンアップを行ってきました。そこで、コントローラーを作るために、大きく分けて4つの技術が必要だと気づきました。今回は、4つの技術とその内容や必要なことを記事にしました。この記事によって、これからオリジナルコントローラーを作る人が少しでも増えたらうれしいです。

必要な4つの技術

オリジナルコントローラーを作るために、必要な4つの技術は、デザイン、モデリング、ハードウェア、ソフトウェアです。すべての技術が高いレベルで必要なわけではありません。他の記事で書かせていただいたように、有志の方が様々な情報を共有しているので、その情報を見つけて自分の制作に取り込むことができれば、オリジナルコントローラーを作れます。また、このように、コントローラー制作に必要な技術を分解してみることで、それぞれの技術が、どんなことが必要か具体的にわかると考えました。それでは、それぞれの技術がオリジナルコントローラーを作るために、どんなことが必要か説明します。

“デザイン“ 条件を整理し、イメージを形にする

デザインというと、カッコイイ絵やシンプルでミニマルな家電など、見た目のことを想像するかと思います。ここでは、どんな形にするか考えること。どんな性能にしたいか考えることとします。1つめのどんな形にするか考えることは、たとえば小さく持ち運びしやすかったり、ネジを隠してシンプルな見た目にしたりするなどです。そのために、必要となる形と何が必要かを考えることが大切です。2つめのどんな性能にしたいか考えることは、レスポンス良くボタンが押せるようにするために、どうしたら良いか考えることです。たとえば、自分の手の大きさに合わせてボタンサイズや配置を設定したり、どんなキースイッチを使うのか選ぶことをです。

また、デザインは形や性能に加えて、それに関わるコストや条件などを考える必要があります。この後に、説明するモデリングやハードウェア、ソフトウェアで検討したことを踏まえて、デザインを決めていく必要があります。どんなに小さくできても、それにあった部品がなかったり、高い材料が必要だったりすると作れなくなってしまいます。そのために、4つすべての技術をカバーしていると、制作がスムーズに行えます。

かぬコンver.1.3は、Nintendo Switchより小さいデザインにしました。

“モデリング“必要な大きさを数値で決めて他の人へ伝える

モデリングというと、3DCGなど複雑なことをイメージしますが、ここでは、部品や基板、ケースなどをどのように組み立てるかを考えることとします。たとえば、基板とケースを取り付けるために、ネジを使う場合、ケースにどのくらいの大きさのネジ穴を設けて、どの向きからネジをとめるかを考えます。また、基板の製作精度とケースの3Dプリントによって生まれた誤差どう許容するか考えることも大切です。

ここまでの作業に、3DモデリングソフトやCADが必ず必要なわけではありません。私は、部品の大きさなどのデータを見ながら、手書きのメモを描いてどのくらいの大きさにするかを考えていきます。それらの方針がまとまってから3Dモデリングソフトなどを使って、3Dプリントやレーザーカットするために必要なデータを作っていきます。

かぬコンver.1.5の検討していた時のメモです。

“ハードウェア“部品や基板を作りコントローラーが動くようにする

ハードウェアは、部品を選びそれをつなぐための基板を設計することです。私がこれまで制作したコントローラーは、メカニカルキーボードのキースイッチとStartボタン用のタクトスイッチ、USB端子、Raspberry Pi Picoを使用しております。これから、作られる方も好みに合わせて、これらの部品の種類を変えるだけで自分に合ったコントローラー作れます。

次に、それらの部品の取り付け方や機能を理解し、必要な大きさを求めます。たとえば、キースイッチを選ぶ時に、どのタイプを選べば、キースイッチの付け替えが簡単に出来るかなどを考えます。機能が多く、仕様を把握するのが難しいと感じたら、他の方が作っているコントローラーを見て、同じ部品を使用すれば良いかと思います。

ハードウェアには、基板を設計し、発注することも含まれています。選んだ部品の大きさや機能を踏まえて基板を設計します。使うソフトは、KiCadを使用すると良いと思います。フリーのソフトで、使用者が多いので使い方の解説や発注方法の情報が豊富です。

また、この記事で説明している4つの技術の中で、最も難しい部分かもしれません。なぜなら、デザインによって設計図が異なり、他の方が作った設計図を元に編集しても、ゼロから始めるのと比べて時間が短くなるかと言われるとそうではないです。コントローラー制作はKiCadを使えるようになることと言っても過言ではありません。逆に言うと、基板を作ることができれば、他はなんとかなります。

かぬコンver.1.3の基板はシンプルな外形にしました。

“ソフトウェア“キャラクターにどんな動きをさせるか指令を出させる

ソフトウェアは、たとえばスイッチが押された時に、キャラクターが右に動くなど、スイッチというハードウェアがどういう状態になったら、どういう信号をゲームに伝えるかを決めることです。最近は、有志が作ったソフトウェアを使うことができるので、なんとなく何をしているかが分かれば、コントローラーを作るためには十分です。

他の記事でも書きましたが、スマブラに限らず、他の格闘ゲームのコントローラーを作られている方のほとんどが、オープンソースのソフトウェアを使用しております。実際に、これらのソフトウェアをゼロから作ろうとすると膨大な時間が必要です。そのため、公開されているソフトウェアの中から自分の好みにあったものを選択すると良いと思います。もし興味があれば、中身を見てみて少し書き換えたりすると理解が深まります。

おわりに

かぬコンも5回のバージョンアップを行い、完成度が高くなっています。そこで、他の方が作られているコントローラーとかぬコンを比較して、それぞれ得意不得意があることに気づきました。私はソフトウェアが苦手で、逆にデザインとモデリングは得意です。それによって、コントローラーの大きさを小さくしたり、見た目のシンプルなものを作ることができます。たとえば、ソフトウェアが得意な人は、キー配置を簡単に変更できるようにしたり、色々なゲーム機でコントローラーを使えるようにすることができます。

初めのうちは、デザインを真似してみたり、オープンソースのボタンのモデルやソフトウェアを使用したりするのが大切です。基盤へのハンダ付けも参考になる動画がたくさんあります。より気軽に制作できる環境が整っているので、ぜひ自分にあったコントローラーを作ってみてはいかがでしょうか。少し時間はかかるかもしれませんが、培った技術はコントローラーだけではなく、他のものにも使えます。この記事を書くことで、コントローラーを自作する方や他に何か便利なツールを制作する方が増えてくれると嬉しいです。

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