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DX・Smart Cityセンター 新ビジョン・ミッション策定までの裏側【中編】

こんにちは、DX・Smart Cityセンターです。
昨年の9月に実施した、組織として掲げるビジョンとミッションの「言語化プロジェクト」。

前編に引き続き、その内容についてお伝えしていければと思います。



4 | データの整理と考察

パネルワーク・アンケート・ワークショップなどを通じて得られた情報・データから、自分たちのアイデンティティを明らかにするにあたって、まず着目したのは、アンケート内の以下の設問です。

あなたにとって、LINE Fukuokaが目指している「スマートシティ」は、どんな「スマートシティ」ですか?

そもそも、「スマートシティ」という言葉から浮かぶイメージは人によって少しずつ異なります。

組織の名前にも含まれるこの要素について、それぞれが何を理想としているのかを問うことで、ビジョン・ミッション再定義の足がかりにしようと試みました。

ここで得られた回答を整理したものが以下になります。

左右は「目指すスマートシティを定義する時間軸」を表しており、左にいくほど現在に近く具体的なものに、右にいくほど未来志向で抽象的なものになっていきます。

加えて、上下は「目指すスマートシティの特徴」で分類されており、自分たちが福岡市民であるからこそ考えられる「市民参加軸(福岡市民だからこそ)」と、LINEというサービスがあるからこそ考えられる「市民サービス軸(LINEだからこそ)」に大別しました。

ビジョンとミッションの位置付け


ここまで整理したとき、改めてビジョンとミッションそれぞれに求められる要件、つまり「私たちのビジョンはどのようなものであるべきか」「私たちのミッションはどのようなものであるべきか」が浮き彫りになってきます。

全体策定方針

企業のビジョンは一般的に、「叶えたい未来」や「この組織が成長した先で実現したいこと」というように定義されます。

「ここを目指して、みんなで頑張っていこう!」と言える旗を立てたかった私たちにとって、

ビジョンは「未来」という時間軸で、今描くことのできる最も大きな理想・ロマンを言葉にしたいと考えました。

そして、企業におけるミッションは一般的に、「企業が社会に存在する意義」「企業が果たすべき使命」と定義されます。

ひとつの旗を目指しながらも、さまざまなプロジェクトを進める中で生まれる「私たちがやるべきことは、これで合っているんだっけ?」という迷いを解消したかった私たちにとって、

ミッションは、「現在」という時間軸で、より「具体的」な内容、つまりは「これを積み重ねていけばビジョンを実現できる」と信じられるものにしたいと考えました。

(※ビジョン、ミッションの位置付けや策定方針は、その企業それぞれの状況や課題によって変わってくるものだと捉えています。)

5 | ビジョンの草案制作

こうして再度確認した要件に基づいて、実際にビジョンについて組み立てていくわけですが、ここで私たちはひとつの方針を立てました。

それは、「組織の長であり、これまでもさまざまな場面でこの組織のロマンを表現してきた南方の想いをベースに考えたい」というものです。

▼南方の想いが綴られたブログ記事


注目したのは、アンケートにおける以下の設問です。

■ ビジョンのどの部分に違和感や過不足を感じますか?
■ 自由に改変してもいいとしたら、どんな変更を加えますか?その理由は何ですか?

福岡という街に対する想い、世界という言葉に込められた想い、センター長の南方発で組織の発足から掲げてきた「福岡を世界に誇れるスマートシティに」というビジョンについて、

それぞれがどのようなことを感じているのかを整理し、違和感を解消していくようなアプローチで、新たなビジョンの策定を試みました。

これまでのビジョンについて


集めた意見を総合すると、現行のビジョンに対してそれぞれが感じている意見は、主に次の3つに分類されることがわかりました。

まず、「市民」という要素について。

これまで、「市民参加」や「市民の皆さんの使いやすさ」を大切にしてきたDX・Smart Cityセンター。

そんな私たちが掲げる旗に、この「市民」という要素が入っていないことは、果たして私たちらしいと言えるのかという懸念です。

次に、「世界」という要素について。

これから、海外に対して事例を展開していきたい意図や計画が明確にあるのか、どういった文脈でこのスケールを謳っているのか。

「私たちならこれを追求できる」という根拠も含めた、「世界」という要素をビジョンに据えることに対する疑問です。

最後に、「福岡」という要素について。

「福岡」という要素は、私たちにとってどのような意味を持つのか。「福岡」でなくてはならない理由はどのようなところにあるのか。

これら3つの要素について、ひとつずつ考察しながら、ビジョンの組み立てを行なっていきました。

改善のアプローチ


組み立ての起点となったのは、元々のビジョンの中の「世界に誇る」の主語が、(自分たちを含む)「市民」であるという気づきでした。

というのも、前述の通り、「福岡を世界に誇るスマートシティにする」というフレーズは、どこか自分たちの中だけで完結する野心のように聞こえてしまうところ(市民の要素がない)があり、その部分がメンバーにとっての違和感につながっていました。

しかしながらその本意は、この街で暮らす人たちが「こんなのは福岡だけだ」と心から自慢できるような事例をたくさんつくっていくということ。

それこそが、当初のビジョンの「世界に誇る」というフレーズに込められていた想いであることに、今回の考察を通して改めて気がついたのです。

そして、シビックプライドが高いと言われ、世界に対してより街を開いていこうと明確な意思表示をしている「福岡」という都市は、市民の満足や感動がそのまま世界へとつながっていく可能性を秘めています。

実際に、海外の団体や大学、が私たちの事例を視察に来たりなど、福岡で暮らす人たちの声が「世界」へと届いている感覚を少しずつおぼえはじめている今、この一連の流れがより伝わりやすいフレーズをビジョンとして掲げることになりました。

 "共創"という要素


ワークショップDay1にて実施した要素の順位づけの中で、ひとつだけ全ての班に選ばれたカードがありました。

それは、「共創」という言葉です。

福岡市はもちろん、地域のパートナー企業さんと一緒にプロジェクトを創ってきた私たちにとって、「共創」という要素は外せないものです。

また、私たちはサービス開発などに際して、実際にここで暮らす方々の声を取り入れたり、アウトプットの時には地域の皆さんの元へ足を運んで実装のためのイベントを行なったりなど、「市民の方々と共に創っている感覚」をとても大切にしています

市民投票から、半年以内にアクションを開始する防災の課題の決定をしたり、

シニア向けサービスのローンチ時には、地域施設でユーザー向け説明会を実施したりしてきました。

こうした現場を重視する姿勢や、「実際に生活で役立ててもらう」ために泥臭く自ら動いていくシーンが、私たちにとってはこの「共創」という言葉に集約されています。

そして、ビジョンで伝えたい「市民が誇りたくなる」という部分を実現するためには、この「市民と共に創っている」という要素が感じられることもまた重要だということを確認しました。 

ビジョンの草案


こうして案を磨いていき、最終的にできたのが以下のビジョンです。

大枠としては現行のビジョンに沿いつつ、その真意や私たちの想いがより伝わりやすくなるよう、改良を加えました。

6 | ワークショップ Day2

ビジョンの草案ができたところで、メンバー全員での2度目のワークショップを開催しました。

ワーク#3 | 温度感の可視化


「ワーク#3 | 温度感の可視化」は、個人での「評価タイム(15分)」とグループでの「共有タイム(15分)」で構成される合計30分のセッションです。

このワークの目的は、メンバーの意見をもとに構築したビジョンの草案を全体に共有しつつ、それに対する細かいフィードバックを得ることです。

ここで、プロジェクトメンバーとそれ以外のメンバーの間には若干の情報の格差があるため、草案に至った経緯の説明をしつつ、共感度を細かく把握するために、背景の部分を「ステートメント」という形で付け加え共有します。

新ビジョン草案説明の様子

「評価タイム」では、ビジョンの草案と補足ステートメントが書かれた用紙が一人1枚配られます。

各自これを読み、文中の要素やフレーズについて以下のように4段階で評価を行います。

ヒートマップ説明

続いて、「共有タイム」では、それぞれどのような評価を行なったか、班内で共有します。

ヒートマップ用紙


ワーク#4 | 獲りたい賞


「ワーク#4〜獲りたい賞」は、これまでのワークとは少し毛色が異なります。

もちろん、ビジョン・ミッション構築という目的には則していますが、プロジェクトチームのミーティングに参加していたインターン生からの「前向きな気持ちでワークショップを終えたい」という要望に答え、レクリエーション色の強いワークとなりました。

このワークは、「賞をつくる」「受賞を祝う」「喜びを伝える」の3つのステップからなります。

ステップ1「賞をつくる」では、班ごとに分かれ、「DX・Smart Cityセンターとして、受賞したいと思える"架空の"賞」を考えていきます。

続くステップ2「受賞を祝う」では、ステップ1で考えた賞を"めでたく受賞できたてい"で、勝因を分析したり、ファインプレーを讃え合います

そしてステップ3「喜びを伝える」では、ここまで班ごとに行なっていた「お祝い」を全体に広げていきます

各班の代表1名が、「どんな賞をつくり、どのようにそれを受賞したか」について、"ヒーローインタビュー"という形で全体に向けて発表します  。

そうして生まれた、4つのユニークな賞が以下です。

もちろん、班の構成やメンバーそれぞれの趣向が色濃く反映されてはいるものの、組織として「どんな分野で戦っていこうとしているのか」について、貴重なヒントを得られたワークとなりました。

〜【後編】に続く〜


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