自然災害と行政対応

数十年に一度の、かつて経験した事が無い程の・・・などと云われる自然災害が、近年は毎年のように日本だけでなく世界中で起きているこの頃。

現在九州で大規模な河川の氾濫による浸水や土砂災害が起きている集中豪雨による被害も、ほんの数時間で急変する事態はさすがに防ぎようがありません。

学校や老人施設などが、天気の良い日に十分なサポートメンバーで行う、訓練やりましたよ・・・的な集団避難訓練より、命を守る為に必要な手段や対策はたくさんあるはずです。

台風や豪雨も予測できるのはせいぜい数十時間、地震においては警報発令からせいぜい数十秒から数分程度ですから、逃げる間もなく襲ってくる自然災害にどう対応するのが最良の選択か、特に地理的な状況で避難に時間を要するところに住んでいる人や、自力での緊急避難が困難な高齢者や乳幼児施設では、職員よりはるかに多い人数を預かっていますから、短時間でどうやって安全に避難するかなど、悩ましい問題が山積です。

介護報酬は増えないのに、職員数も賃金も増やす訳にはいきませんし、増やすにしても限度があります。

それでも、水災・土砂災害に施設が巻き込まれる可能性を少しでも減らせるとすれば、それは行政が権限を有する土地開発や建築物の許認可用件の改正でしょう。

私たち一般人はビルや宅地として建築物が建てられない農地・市街化調整区域も、いくら広大な敷地が必要とは云え、学校法人・医療法人・社会福祉法人等には開発が許可され建築物が建てられます。

当然取得価格も宅地や商業地に比べると格段に割安でしょうが、川沿いや傾斜地でも建設許可を出しているから、災害時に甚大な被害が起きるのではないでしょうか。

そもそも、古くから家が建てられていない場所は、水害・浸水するリスクが高い低地や田んぼ、湿地帯だったところ、雨が降ると道だかどこだか判らなくなるような、地盤が緩く本来は建築に不向きな土地だったりします。

そんな理由がある土地を開発と称して安価に購入しては建築技術の進歩や下水道施設などのインフラ整備と、埋め立てて地盤改良しちゃえば大丈夫、などと開発を許可した結果が自然災害に弱い施設を作ってしまったのではないかと考えてしまいます。

どんなに頑丈な建物を造ったところで、水没してしまえば住む事は出来ませんし、電気・ガス・水道・下水道が接続しなければ生活も出来ませんし。

とりあえず夏から秋にかけて台風シーズンもやってきますから、今からでも短時間で避難が可能な方法やバックアップ体制と、早めの避難を促す基準は再考する必要はあるでしょう。

今後は、人命が奪われるような事故や災害が起きないとなかなか動かない行政も、これだけ毎年のように災害で多くの人命が失われていく事態を見れば、予算や人事に関係なく速やかに行える開発許可の基準は見直しても良いのでは?


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