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80年代のフュージョン事情(CM蒐集家の部屋)


 自分が中高生の頃、CMは重要な音楽情報源として存在していました。
 特に、洋画劇場の合間に流れる、車、洋酒、タバコらのCMには大人が香る格好いいものも多かったのです。
 そんなCMには、よく”フュージョン”と呼ばれる音楽が使われていました。

フュージョン(fusion)
 ジャズから派生し、ロック・ラテン音楽など、ジャンルの異なる音楽を融合した音楽。

 現在ではあまり耳にしなくなった音楽ジャンルなんですが、私が中高生を過ごした80年代には、”フュージョン”の曲やアルバムがヒットチャートを賑わしていたんですよね。

 今回は懐かしいCMとともに、自分の聴いてた”フュージョン”の曲を紹介していきたいと思います。


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三菱ミラージュターボ 1982

 まずは車のCMからなんですが、やっぱ車のCMは時代を感じさせますね~、でも、音楽は古びれません!
 使われているのは、私の敬愛するラテンピアニスト奏者:松岡直也さんの曲です。

「MIRAGE 〜見果てぬ夢」1982 

 アルバム『FALL ON THE AVENUE〜見知らぬ街で』に収録されていた曲なんですが、とっても好きな1曲なんです。
 また、松岡直也さんは80年代中盤になると、少し違った角度のアプローチを見せてくれます。
 ひとつが中森明菜さんのヒット曲「ミ・アモーレ」、もうひとつがわたせせいぞうさん原作のアニメ『ハートカクテル』のBGMです。

 1986年から放映された3分程度のショートアニメなんですが、とても人気があったんですよね。
 そのBGMがまたお洒落で、フュージョン系のアーティストが一定の期間を担当して、放映が終わると使用曲がCDパッケージ化されていくんです。
 その第1弾と2弾を担当したのが松岡直也さんでした。
 まるで小品集のように、どの曲もキャッチ―な仕上がりだったので、真正のフュージョンファンには物足りなかったかもですが、それまで松岡直也さんを知らなかった人にも広がっていった作品でした。

(関係note)



サントリーホワイト(ネシロ編)1984

 洋酒のCMはやっぱ大人の香りです。
 使われている曲はTHE SQUAREザ・スクェアの「ALL ABOUT YOU」です。
 ダンディにきめているのはTHE SQUAREザ・スクェア(1989年からはT-SQUAREティー・スクェアに改名)のサックス奏者、伊東たけしさん自身です。
 そして、同じCMシリーズでもう一曲、「Travelers」も使われたのですが、この2曲で一気にTHE SQUAREザ・スクェアが周知されていくことになるのです。

「ALL ABOUT YOU」1984

「Travelers」1984


 THE SQUAREザ・スクェアはホント人気でした。
 ラジオやテレビ番組のオープニングに使われる曲も多くて、耳にする機会が多かったと思います。

 そして1988年、F1グランプリのオープニングに使われた「Truth」で最盛期を迎えた感じでした。

 私にとっては「ALL ABOUT YOU」からこの「Truth」までのTHE SQUAREザ・スクェア時代がジャストなんです。



 maxell「HiFi GOLD」1984

 この maxellマクセルのCMはすごく印象的でした!
 海で演奏してるのはCASIOPEAカシオペアです。
 この姿がむちゃくちゃカッコ良かったです。
 使われたのはベスト盤のタイトル曲として収録された新曲「The Soundgraphy」でした。 

「The Soundgraphy」1984

 
 自分の高校時代、フュージョングループとしては、デビュー時期の近いTHE SQUAREザ・スクェアと人気を二分してたCASIOPEAカシオペアなんですが、イメージとしては、万人に受けるTHE SQUAREザ・スクェアに対して、玄人向けのCASIOPEAカシオペアって感じでした。

 個人的にはベースの櫻井哲夫さんが好きだったんですよね~
 なので、やっぱり第一期のCASIOPEAカシオペアが好きでした。

 第一期最後のアルバム『EUPHONY』(1988)に収録されていた「BAYSIDE EXPRESS」もCMに使われた曲なので紹介しておきます。(中盤の櫻井さんのベースがカッコよすぎなのです!)

「BAYSIDE EXPRESS」1988



東芝ビデオ「ビュースター」1985

 これも印象的なCMでした。
 波打ち際のサンドアートが、波によって砂に帰っていく姿のダイジェストなんですが、けっこう、あ~って、なっちゃうんですよね。
 使用された曲はギタリスト、高中正義さんの「渚・モデラート」でした。

 個人的に、それまでの ”夏!、リゾート!” ってイメージだった高中正義さんの新しい面を感じた一曲でした。

「渚・モデラート」1985


 この東芝ビデオの80年代後半のCMは、薬師丸ひろ子さんをメインキャストにしながら、音楽は高中正義さんだったシリーズなのです。

「BAD CHICKEN」1987



 さて、ここからは「タバコ」のCMが続きます。
 現在は流れなくなったタバコのCMですが、時代的な記録としてご容赦ください!


キャビンマイルド 1986~

 ちょっと渋めのキャビン・マイルドのCMです。
 '86年以降、キャビンがモータースポーツのスポンサーとなったことから、レーシングドライバーの松本恵二さんや星野一義さんをキャストに据えたCMシリーズが制作されました。
 なかなかカッコい~CMで、”キャビン” は少し年齢層高めと感じていた自分もしばらく吸ってました。

 音楽の方を担当していたのは、サックス奏者、MALTAさんなんですが、このCMを機に一気にブレイクした感じでした。

「SCRAMBLE AVENUE」1986

「HIGH PRESSURE」1987


 ちなみにMALTAさんは、その勢いで『やまだかつてないテレビ』とかにも出演していましたね。

「“T” intersection~あなたに戻れない~」

 歌:やまだかつてないWink
 作詞:山田邦子/作曲:MALTA/編曲:船山基紀



マイルドセブンメンソール1987

 清涼感のあるメンソール煙草のCMです。
 使われていたのは、角松敏生さんの「SEA LINE」というインスト曲です。

「SEA LINE」1987

 角松さんは、この年、この曲を収録したインストアルバムの名作『SEA IS A LADY』を発表するんです。

 角松敏生さんのインストゥルメンタルかぁ~っと、思いながら聴いてみると、むちゃくちゃカッコよかったんですよね!
 今でも、夏になると聴きたくなるCDなんです。

(以前の角松敏生さんの記事)



マイルドセブン FK 1988 

 さて、最後はマイルドセブンFKのCMです。
 これも爽やかなイメージのCMなんですが、曲の方は、サックス奏者の本多俊之さんが担当していました。

「Bells」1988


 本多俊之さんは、80年代後半、映画『マルサの女』のテーマで、一躍、注目を浴びた方です。

「マルサの女」1987


 独特の怪しげな雰囲気があって、それまでの ”フュージョン” とは印象が異なりますが、当時、映画やドラマでよく使われていたんですよね。
 特に有名なのは、あのテーマ曲ですかね…

「Good Evening」1989


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 ”フュージョン” という定義は曖昧なんで、「これは違う!」という印象の方もいるかもしれませんが、大目に見ていただければと思います。


 そして、最後は、子どもの頃に見たCMの中で、かなり古い方の記憶にある、資生堂「ブラバス」のCMです。

資生堂「ブラバス」1977~


 草刈正雄さんと、「ナベサダ」の愛称で知られるジャズ奏者の渡辺貞夫さんがコンビで出演していたシリーズだったんですよね。
 渡辺貞夫さんは、けっこうCMやテレビで見てたし、子どもでも知ってるミュージシャンでした。
 実は、今回の記事をきっかけに、表題曲がCMで使われてたアルバム『オレンジ・エクスプレス』を聴いて、初ナベサダ体験!をしたのですが、すごく良かったです!

「オレンジ・エクスプレス」1981