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この夏聴いた角松敏生の2枚のアルバム


 サブスクで解禁されてないので、この夏、CDで聴いたアーティストの方がお二人…

 一人は、ニューアルバムがリリースされた山下達郎さん
 そして、もう一人は、昨年、デビュー40周年を迎え、最近、活動が活発になってきてる感じの角松敏生さんです。

 サブスクで解禁されない事情は、それぞれあるんでしょうが、私自身、CDを聴くという手間も、けっして嫌いじゃないんで…
 今回は、この夏、聴きたくなってしまった、角松敏生さんの2枚のアルバムを紹介します。


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 昨年、デビュー40周年を迎えたという角松敏生さん。
 近年のシティポップブームの中で、再認識されてたりするんですが、たしかに、初期の代表曲『スカイ・ハイ (TAKE YOU TO THE SKY HIGH)』をはじめとして、デビューから3rdアルバムまでは「夏・海」のイメージなんですよね。

「スカイ・ハイ (TAKE YOU TO THE SKY HIGH)」

 ライブでは紙飛行機をみんなで飛ばすのが楽しいのです。


 ただ、自分にとって角松敏生さんと言えば 

 都会の夜!… しかも、ちょっとあやしい

 そんなイメージなのです。

 ちなみに、初めて角松敏生さんを知ったのが、この曲『GIRL IN THE BOX〜22時までの君は…』でした。
 "GIRL IN THE BOX" なんで、直訳すると ”箱入娘” ですよね。  
 歌詞の方も、タイトル通り、いつも22時になると帰っちゃう女性に対して、焦れてる男性の歌なんです。
 何とも言えない "軟派"(これも死語ですが..)な感じ、この一種の ”チャラさ” が角松敏生さんらしさだったんです。

「GIRL IN THE BOX〜22時までの君は…」


 私にとって角松敏生さんといえば、80年代半ば、ニューヨークへ長期滞在しながら、現地でのファンクやブラック・コンテンポラリーを取り入れたダンスチューン!、NYサウンドで彩られる享楽的世界!… そんなめくるめく都会の夜のイメージだったのです!

 実際、この頃って、イケイケだったんですよね… きっと…


 そして、そのイケイケ感が結実した傑作アルバムが、この夏、私が聴いていた1枚でもある


『GOLD DIGGER〜with true love〜』1985.5

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1.I CAN'T STOP THE NIGHT
2.SPRINGIN' NIGHT
3.MOVE YOUR HIPS ALL NIGHT LONG
4.SECRET LOVER
5.MELODY FOR YOU
6.TOKYO TOWER
7.PRAJÑÀ – (VIOLENCE IN THE SUBWAY)
8.MERMAID PRINCESS
9.IT'S TOO LATE
10.NO END SUMMER

 アルバムジャケットから既に "チャラい" !w、でも大好きなアルバムでした。

 このアルバムって、通して聴くと「男と女の一夜のストーリー」になってるんですよね。
 アルバムタイトルの『GOLD DIGGER』っていうのも、お金目当てで近づいてくる人たちを表す言葉で、そういう男女間の駆け引きが散りばめられたアルバムなんです。
 収録曲のタイトルを日本語にしてみると、よく伝わるんじゃないかと思うので、私なりに訳してみると..

「お金目当ての人~真実の愛とともに~」

1.夜を止めることはできない
2.夜に飛び込む
3.一晩中、腰を振って
4.秘密の恋人
5.あなたへのメロディ
6.東京タワー
7.般若(地下鉄での暴力)
8.人魚姫
9.すべては遅すぎる
10.夏は終わらない

 一夜のストーリーが思い浮かびませんか?、まあイケイケなんですが..

 当時はレコードA面だった#1~5は、夜の街に出かけ、女性と出会い、口説いてる.. みたいな流れです。

1.「I Can't Stop The Night」

2.「SPRINGIN' NIGHT」

5.「MELODY FOR YOU」


 そして、真夜中過ぎに「TOKYO TOWER」で最高潮クライマックスを迎えることになるのです。w

6.「TOKYO TOWER」


 ただ、最高潮クライマックスを迎えた後、何かが起きるんです。
 そして、アルバム終盤は、ぐっと内省的な雰囲気にシフトします。(この2曲が、また、いい曲なんですよね~)

8.「MERMAID PRINCESS」

9.「IT'S TOO LATE」


 そして、内省的な時を経て、夜が明けた後、新しい1日が始まるんです。終わらないんです、けっして…

10.「NO END SUMMER」

 このドラマっぽい一連の流れは完璧ですよね!
 まあ、ほとんど角松敏生さんのドキュメントなんじゃないかとも思えるんですが…
 そんなイケイケ時代だったからこそ生まれた傑作アルバムなのです。

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 さて、この夏聴いていた、もう1枚のアルバムが、角松さんのギターソロを中心とした ”インストゥルメンタル” アルバム『SEA IS A LADY』です。


『SEA IS A LADY』1987.7

1.WAY TO THE SHORE “ERI”
2.SEA LINE “RIE”
3.NIGHT SIGHT OF PORT ISLAND “MIDORI”
4.SEA SONG “NAOMI”
5.SUNSET OF MICRO BEACH “SATOKO”
6.OSHI-TAO-SHITAI “KAORI ASO”
7.52ND STREET “AKIKO”
8.THE BASS BATTLE “CHAKO”
9.MIDSUMMER DRIVIN' “REIKO”
10.LOVIN' YOU “SAWAKO”
11.SEA SONG (REPRISE)
※ JUNE BRIDE

 このアルバムがリリースされた1987年は、T-SQUAREの『TRUTH』も大ヒットした年で、何気にフュージョン界が熱かった年なんです。
 その一翼を担ったのがこのアルバムなのです。

 夜の都会ではなく、リゾート感満載のアルバムなんですが、イケイケ感は相変わらずで、各曲の副題には、女性の名前が付されてたりするのです。(だ、大丈夫なのか… フルネームの人もいるし…)

 ただ、楽曲は最高にいかしてました!
 どれも名曲なんですが、やっぱ、この「SEA LINE」、「OSHI -TAO-SHITAI」、「MIDSUMMER DRIVIN'」のカッコ良さは格別なんです。
 この3曲は原曲とアレンジが違っていても、ぜひライブ映像でご覧ください!

2.「SEA LINE」

6.「OSHI -TAO-SHITAI」

9.「MIDSUMMER DRIVIN'」

 ライブアレンジですが、今は亡きプレーヤーの方々も含めた演奏は今も ”熱い” んですよね。


 また、このアルバムには、他にも、故・佐藤博さんの「SEA SONG」や、故・青木智仁さん、 櫻井哲夫さん、高水健司さんのベースが弾けまくる「THE BASS BATTLE」など、短いくせに印象的過ぎる曲がアクセントとして配置されています。
 リメイク版では再録されていないので、ここでしか聴けないものなんですよね。

4.「SEA SONG」

8.「THE BASS BATTLE」

 ほんと痺れるんですよね~


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 この夏、ヘビーローテーションで聴いた角松敏生さんの2枚のアルバムを紹介しましたが、あの80年代後半のイケイケ時代の2枚です。
 その後、角松さんは、内省的な世界へ入っていくわけなんですが、近年は、以前の曲をリメイクする活動が多かったようです。

 サブスクで解禁されてる数少ない音源の一つ『EARPLAY 〜REBIRTH 2〜』なんかも、そんなリメイク版の一枚です。


『EARPLAY 〜REBIRTH 2〜』2020.5

 まあ、ジャケットは ”エアプレイ” のパロディなんですが、ふざけたアルバムではないんでご安心を!
 リメイク曲はもちろんですが、実際、エアプレイの「Cryin' All Night」をカバーしてたり、ほんと楽しいので、ぜひ、ご一聴を!


 過去の曲を現代版にリメイクした曲は洗練されてるんですよね~聴きごたえあるんです。

 ただ、80年代の角松敏生さんを聴いてきた者には、何か足りない感じもあったりするんです。
 多分、それが、”チャラさ” の部分じゃないかと思うんですよね。(すみません💦)

 そんな時代の音も、また聴かせてもらえたらな~と、サブスクの解禁を待ってる今日この頃なのです。



 アルバムには収録されてないシングル曲、ミックス違いの曲も多くて… ぜひ、そちらも忘れずに解禁願います~

「もう一度…and then」1988.10