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短編集じゃないけど、薄い本の話(海外編)

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 かなり前に記事にした「薄い本」について、前回は(日本編)だったので、今回は(海外編)について”note”したいと思います。


 私の基準では、「薄い本」とは、”ブックカバーを合わせづらい、スピンの位置がずれる本” としています。
 ページ数で言えば200ページ前後ぐらいの本なんですが、この条件を満たす本を紹介していきます。


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 「薄い本」について、日本編で紹介した本は、癒し系の本ばかりだったのですが、海外翻訳本で考えてみると、思い出すのは過去の名作ばかりで、最近の本は、あまり思い出せないんですよね。


文豪たちの名作は「薄い本」から...

 海外の文豪と呼ばれる方々の作品は、ちょっとハードルが高いと思うのですが、「薄い本」ならば挑戦しやすいですよね。

 かく言う私自身も、海外文学はこれらの作品から読み始めさせてもらいました。
 ただ、名作と呼ばれる作品は、各出版社からいろんな翻訳が出てるので、いろんな訳者のを読んでみるといいかもしれません。(私の場合、新潮文庫版が多くなっていますがご了承ください。)


フランツ・カフカ『変身』121頁

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 ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見するという、ショッキングな出だしが有名ですね。
 多分、これ以上長かったら、読む側の精神がもたないかも...って感じなんですが、カフカを読むなら、やっぱりこの作品が入りやすいと思います。


アルベール・カミュ『異邦人』143頁

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 太陽の眩しさを理由に殺人を犯してしまった青年の不条理....というふれこみなんですが、不条理というよりも、人間が持つ闇や虚無という感じで、現代人のテーマとしても十分に通用するんじゃないかと思います。なので、不思議と古びた感じがしない作品なのです。


アーネスト・ヘミングウェイ『老人と海』 192頁

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 短いので、手に取りやすく、へミングウェイの代表作とされてますが、面白いかというと、そこは好みの問題で、個人的には他の長編の方が.....。


ジョン・スタインベック『ハツカネズミと人間』156頁

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からだも知恵も対照的なのっぽのレニーとちびのジョージ。渡り鳥のような二人の労働者の、ささやかな夢。カリフォルニアの農場を転々として働く男たちの友情、たくましい生命力、そして苛酷な現実と悲劇を、温かいヒューマニズムの眼差しで描いたスタインベックの永遠の名作。

 スタインベックは同年代のヘミングウェイに比べて認知度が低い感じがするんで、レビューを引用させてもらっています。
 ぜひヘミングウェイの『老人と海』と読み比べてほしい作品なのです。


サン=テグジュペリの『夜間飛行』186頁

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 文豪とはカテゴリーが異なりますが、星の王子様で有名なサン=テグジュペリの『夜間飛行』も読みごたえのある作品です。
 多少、くせはありますが、宮崎駿監督が、作品の中で飛行シーンのイメージの参考にしていたという作品です。



さらに、さらっと読める「薄い本」...


フランソワーズ・サガン『悲しみよ こんにちは』197頁

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 サガンのデビュー作である18歳の少女を主人公とした青春小説。中身はライトな感じでスイスイっと読めてしまいますが、青春ッといっても、ちょっと複雑な環境だったりするんですよね。
 この有名なタイトルの意味どおり、やっぱりビターな感じなのです。


リチャード・バック『かもめのジョナサン』198頁

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 かもめの話か〜と思ったら、読んでみるとビックリします。
 五木寛之さんの翻訳ってとこもポイントです。ぜひ、ジョナサンの生きざまを見てもらいたいのです!
 10年ぐらい前に第4章が付け加えられて「完成版」とされていますので、昔、読んだ人も、再読してみるといいと思います。


パウロ・コエーリョ『アルケミスト 夢を旅した少年』208頁

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 今回、紹介してる本の中では、もっとも新しい作品です。内容は寓話じみていますが、生きる意味をいろいろと考えさせてくれる本なのです。


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 海外翻訳本の「薄い本」は、すぐ読めてしまう分、読んでしまった後にいろいろと考えてしまうものが多い感じですね。

 きっと語り過ぎないことも大事なことなんだと思います。



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