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【心理学】環境によって自分が正しいと思わされている2/4【社会のルール】

前回に引き続き、自分が正しいと思う心理学について説明します。

前回はこちらです。

自分が正しいと思ってしまう原因を大きく4つに分けました。
今回のその中の2つめにフォーカスを当てていきたいと思います。

その4つの観点とは、

自分が正しいと思ってしまう4つの原因

1. 心の働きについて

  • 自分を守りたい気持ち: 自分が正しいと思うことで、自分を守ろうとする気持ちが強くなる。(自己防衛)

  • 間違いを認めたくない: 自分が間違っていると認めるのは難しいので、つい相手を責めてしまう。(認知不協和)

  • 他人のせいにする: 自分の不安や嫌な気持ちを相手のせいにして、非難することがある。(投影)

2. 社会の中での行動

  • 人と比べる: 他の人と比べて、自分が優れていると思うために相手を批判してしまうことがある。(社会的比較)

  • みんなのルール: 自分が信じているルールに合わないと感じたら、相手を非難したくなる。(規範意識)

  • 権力を守る: 自分の立場や力を守るために、他の人を批判することがある。(権威主義)

3. 考え方の違い

  • 自分だけが正しいと思う: 自分の考えが一番正しいと思っていると、他の人を否定しやすくなる。(絶対主義)

  • 道徳的に優れていると思う: 自分が正しい道を歩んでいると感じると、他の人を裁いてしまう。(倫理的優位性)

  • 自分には甘く、他人には厳しく: 自分には優しく、他の人には厳しくしてしまうことがある。(道徳的二重基準)

4. 文化や社会の影響

  • 文化による違い: 文化によっては、自分を正当化したり、他人を非難する行動が強調されることがある。(文化的影響)

  • 個人と集団の違い: 個人を重んじる文化では、自分の意見を主張しやすく、他人を批判しやすくなる。(個人主義)

  • 世代の違い: 年齢や世代によって、考え方や非難する姿勢が違ってくることがある。(世代間ギャップ)

のように分けることができます。

今回は

2. 社会の中での行動

  • 人と比べる: 他の人と比べて、自分が優れていると思うために相手を批判してしまうことがある。(社会的比較)

  • みんなのルール: 自分が信じているルールに合わないと感じたら、相手を非難したくなる。(規範意識)

  • 権力を守る: 自分の立場や力を守るために、他の人を批判することがある。(権威主義)

についてです。

Adoのルルって歌がまさにこのテーマですね!

その分厚く肥ったルールブックはお前自前の妄想
その無様に狂ったルールブックをすぐ他人に強要

Ado ルルより

2.1 社会的比較の例 SNSで比較

ある日、美咲さんはInstagramを開いて、同僚の彩香さんの投稿を目にしました。彩香さんは、最新の高級ホテルでの週末を楽しんでいる様子を写真付きで投稿していました。ホテルの美しいロビーや、おしゃれな朝食の写真、そして温泉に浸かるリラックスした表情の彩香さん。投稿には「自分へのご褒美に贅沢な時間を過ごしてきました!」と書かれています。

美咲さんは、それを見た瞬間、胸がざわつくのを感じました。自分も仕事を頑張っているのに、こんな豪華な体験はできていないと感じ、少し劣等感が湧き上がります。「私もこんな風に楽しんでみたいけど、時間もお金もないし…」と心の中でつぶやきました。

次第に、美咲さんは「彩香さんは見栄を張っているだけかもしれない」と思うようになり、彼女の投稿に対して批判的な感情を抱き始めました。「あんなに頻繁に贅沢をしていたら、将来困るんじゃないかな」「本当はあまり幸せじゃないから、こうやってSNSで見せびらかしているのかも」などと、自分の中で彩香さんの行動を正当化しようとする考えが浮かんできます。(社会的比較

美咲さんは、自分がこんな感情を抱くのは良くないと感じつつも、SNSを閉じることができず、他の人の投稿も次々とチェックしてしまいます。結果として、自分の生活が他人の華やかな投稿に比べて物足りなく感じるようになり、ますます自信を失っていきました。

このように、SNSは他人との比較を容易にし、自分が持っていないものに対する不満や劣等感を引き起こすことがあります。美咲さんのように、他人の華やかな生活を見てしまうと、自分の生活が地味に感じられ、それを正当化するために相手を批判する感情が生まれることも少なくありません。

2.2 規範意識の例 新型コロナワクチンの接種と規範意識

ある日、健一さんは、会社の同僚である亮介さんとランチに行くことになりました。食事の席で、ふとコロナワクチンの話題が持ち上がります。亮介さんが「実は、まだワクチンを打っていないんだよね」と言った瞬間、健一さんは驚きといら立ちを感じました。

「どうして?今の時代、ワクチンを打つのは当然のことじゃない?」と、健一さんは少し強い口調で問いかけました。亮介さんは、「副作用が心配だし、まだもう少し様子を見たいんだ」と穏やかに答えましたが、健一さんの中では、亮介さんの行動が規範に反しているという感情が膨らんでいきました。

健一さんは、コロナワクチンの接種は社会的な責任であり、みんなが接種することで集団免疫を獲得できると信じています。そのため、亮介さんが接種を拒否していることに対して「無責任だ」と感じ、「自分勝手な行動が感染を広げる危険性がある」と思わず批判的な言葉を口に出してしまいました。(規範意識

しかし、亮介さんは冷静に「それぞれの体調や考え方があるし、無理強いするものじゃないと思うよ」と答えました。この言葉に対して健一さんは少し黙り込みましたが、内心ではまだ納得できていません。自分の中の規範意識が、亮介さんの選択を受け入れることを難しくしていたのです。

ランチの後、健一さんは自分の反応について考え始めました。「もしかして、自分の考えを押し付けすぎたかもしれない」と反省し、他人の意見や選択を尊重することの大切さを改めて感じました。それでも、健一さんの中には、「やはりワクチンは打つべきだ」という強い信念が残っており、それが周囲の人々にどう影響を与えているのか、もう一度考えてみる必要があると思ったのです。

コロナワクチンの接種に対する規範意識が、他人との関係にどのような影響を与えるかを描いています。健一さんのように、ある行動が社会的に「正しい」とされると、それを守らない人に対して批判的な感情が生まれることがあります。しかし、他者の選択を尊重し、多様な考え方を受け入れることが、良好な人間関係を保つためには重要であることを示しています。

2.3.1 権威主義の例 職場での決定権と権威主義

ある日、山田さんはチームのメンバーと一緒にプロジェクトの進捗状況を報告するため、佐藤部長のオフィスに呼ばれました。チームはこれまでの成果と、今後の方針についての提案を持参していました。山田さんとチームは、新しいアイデアを取り入れることで、プロジェクトの効率をさらに高めることができると考えていました。

山田さんが報告を始め、チームが考えた改善案を説明し始めた瞬間、佐藤部長は彼の話を遮り、「その話はもういい」と言いました。「私はこのプロジェクトの全体像を見ている。君たちの提案は必要ない。すべて私の指示通りに進めてくれ」と、佐藤部長は強い口調で言い放ちました。

山田さんは一瞬言葉を失いましたが、なんとか勇気を振り絞り、「部長、私たちは現場での具体的な問題点を見つけて、それを解決するためにこの提案を考えました。少しでも効率を上げるために、ぜひ一度ご検討いただければと思います」と申し出ました。

しかし、佐藤部長は厳しい表情を崩さず、「私はこの会社で20年以上働いてきた。このプロジェクトの成功の鍵は、私の経験と判断に基づいて進めることだ。部下が上司に意見を述べるのは君たちの仕事ではない。私が指示する通りに動いてもらいたい」と言い、山田さんの意見を一蹴しました。(権威主義

会議が終わった後、山田さんはチームメンバーと顔を見合わせ、無力感を覚えました。彼らの努力や創意工夫が認められないばかりか、意見を述べることすら許されない状況に、チームの士気は一気に下がってしまいました。山田さんは、部長の権威主義的なリーダーシップがチーム全体に悪影響を与えていることを痛感しながらも、どうすることもできずにいました。

職場での権威主義がどのようにチームの士気を低下させ、クリエイティブなアイデアや改善の機会を失わせるかを描いています。佐藤部長の強権的な態度は、チームの意見を無視し、自らの決定だけを重視するものでした。その結果、山田さんとチームメンバーは自分たちの価値が否定されたと感じ、モチベーションを失ってしまいました。

2.3.2 権威主義の例 家庭でのルールと権威主義

ある日、夕食の席で、翔太さんがスマートフォンを見ながら食事をしていました。父親はそれを見つけると、眉をひそめ、「翔太、食事中にスマホを見るのはやめなさい。これは我が家のルールだ」と厳しく注意しました。

翔太さんは一瞬動きを止めましたが、すぐに「でも、友達から大事なメッセージが来てるんだ。ちょっとだけ確認するよ」と答えました。これに対し、父親はさらに声を強めて、「家でのルールは絶対だ。私が言ったことには従いなさい」と命令しました。(権威主義

美恵子さんが「翔太も成長しているし、少し柔軟に考えてもいいんじゃない?」とやんわりと助言しましたが、父親は「家の中では私が決めたルールに従うのが当然だ。家族の秩序を守るために必要なことだ」と一蹴しました。

翔太さんは不満そうにスマートフォンをテーブルに置きましたが、その後、夕食中は終始無言で、食事が終わるとすぐに自分の部屋に引きこもってしまいました。美恵子さんもため息をつき、家の中には重苦しい空気が流れました。

その晩、翔太さんは部屋で考え込んでいました。父親の決定には逆らえないと感じつつも、自分の意見がまったく聞き入れられないことに強い不満を抱いていました。「どうして僕の気持ちをわかってくれないんだろう」と思いながら、次第に父親に対する反発心が芽生えていきました。

家庭内での権威主義がどのように家族関係に影響を与えるかを描いています。父親の強硬な態度は、家族の秩序を保つためのものでしたが、結果として息子の翔太さんとの間に溝を生み出し、家族のコミュニケーションを断絶させてしまいました。

2.3.3 権威主義の例 学校での規則と権威主義

ある日、学校で「制服の着こなし」に関する新しい規則が発表されました。校長は、生徒たちが制服をもっときちんと着用するようにと、細かい規則を追加しました。例えば、シャツの裾をきちんとズボンやスカートに入れること、ネクタイやリボンは厳密に指定された位置に着けること、そして、靴下の色や靴のデザインも制限されることになりました。

この新しい規則に対して、生徒たちの間で反発の声が上がり始めました。特に3年生の生徒たちは、「この規則は厳しすぎるし、個性を奪っている」と感じていました。クラスの代表である田中さんは、生徒たちの意見をまとめて、校長に対して改善を求める手紙を書きました。

ある日、真理子校長は田中さんを校長室に呼び出しました。田中さんは少し緊張しながらも、生徒たちの意見を率直に伝えました。「校長先生、この新しい規則は私たちにとって厳しすぎます。少しでも自由な選択ができるように考えていただけないでしょうか?」と田中さんは真剣な表情で言いました。

しかし、真理子校長は冷静に田中さんを見つめ、「この学校の規律を守ることは、生徒の将来のために必要なことです。私は校長として、この規則が学校全体の秩序を保つために最善だと判断しています。意見は聞きましたが、この規則は変更されません」と一言で片付けました。(権威主義

田中さんは落胆しながら校長室を出ました。その後、生徒たちはますます不満を募らせ、学校全体に規則に対する反発のムードが広がっていきました。生徒たちは規則を守るどころか、無言の抵抗として制服をあえてだらしなく着るようになり、学校内の雰囲気はますます険悪になりました。

学校における権威主義がどのように生徒との信頼関係を損ね、逆に秩序を乱す結果を招くかを描いています。真理子校長の厳格な規則は、生徒たちの規律を保つためのものでしたが、一方的に押し付けられた結果、生徒たちの不満や反発を招き、学校全体のモラルを低下させてしまいました。

まとめ: 社会の中での行動と「自分が正しい」と思う心理

社会の中で、私たちが「自分が正しい」と感じるのには、次の3つの要因が影響しています。それぞれが、どんなふうに他人との関係に影響を与えるかを、具体的な例を通じて説明します。

  1. 社会的比較
    私たちは、つい他人と自分を比べてしまうことがあります。たとえば、SNSで他人の華やかな生活を見たときに、自分と比べて劣等感を感じることがあります。その結果、「自分ももっと頑張らなきゃ」と感じたり、逆に「相手は見栄を張っているだけ」と批判的になってしまうこともあります。美咲さんの例では、同僚の彩香さんのSNS投稿を見て、自分の生活に不満を感じ、彩香さんを批判的に見てしまいました。

  2. 規範意識
    私たちは、普段から「こうあるべき」というルールや価値観を大切にしています。でも、他の人がそのルールに従わないと、つい非難したくなることがあります。たとえば、健一さんの例では、コロナワクチンを接種しない同僚に対して「無責任だ」と感じ、批判してしまいました。こうした規範意識が強いと、自分と違う考え方を持つ人に対して批判的な気持ちが生まれやすくなります。

  3. 権威主義
    立場や役割にこだわる
    と、自分の意見や決定が正しいと信じてしまいがちです。その結果、他の人の意見を聞かずに押し付けることがあります。たとえば、職場では上司が部下の意見を無視して自分の決定だけを押し付けるケース、家庭では父親が家族に一方的にルールを押し付けるケース、学校では校長が生徒たちに厳しい規則を強要するケースがあります。これらの例では、権威主義的な態度が他の人との関係を難しくしてしまうことが描かれています。

これらの要因が絡み合うと、他人を批判したり、対立が生まれやすくなります。私たちがどうして「自分が正しい」と感じるのか、その背景を理解することで、人間関係をより良くするためのヒントが得られるかもしれません。

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