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物食日記

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美味しいもの、美しいものが好き。 散歩とスナップに夢中。
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2023年8月の記事一覧

ノウゼンカズラの夢

ノウゼンカズラの夢

このところ町内の低山へ山歩に向かうのに葉山町一色から堀内、長柄の路地を歩き抜けて、家々の軒先や外構でオレンジ色のトロピカルな花が咲き誇るシーンにたびたび眼を奪われた。

このあたりでは8月に開花するノウゼンカズラである。パッと見、とても華やかでリゾートっぽいムードを醸すが、中国中部から南東部に分布する落葉性つる性植物。日本でも栽培は容易で、平安時代から育てられてきたようだ。ヴィヴィットな花の色合い

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テッポウユリの戦略

テッポウユリの戦略

今夏も狭い前庭の同じ所からテッポウユリの茎がニョキニョキと伸びてきた。

秋には跡形も無く消え去るんだけど、地中に潜む球根が翌年の機会を伺い続けているんだろう。暑くなり始めて、気づいたら現れて一気にグーンと伸びる勢いには毎年驚かされる。

8月に入って開花寸前まで蕾が膨らみながら、なかなか開かない。家の北側に群生するテッポウユリはとうに咲いているのに、何かタイミングを慎重に計っているみたい。そこに

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ひとり久里浜

ひとり久里浜

土曜日は久里浜の職場でひとり造園作業。鎌倉での面倒くさい人間関係と責任をすべて放りだして新天地に逃れてきて良かった。ぼくにはやっぱりチームワークではなく、ただひとり黙々と打ち込む仕事が向いている。気づいたら、その環境に立てている現況を幸運に想い、境遇に感謝しなくては。

広大な花畑に着いたら野良鶏のコケオがお出迎え。おっ、励ましてくれるのかと気が引き締まる。転属一週間早々に現場の単独作業を任せてく

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西陽の美と苦

西陽の美と苦

クーラーが無いぼくの家。高性能の断熱材、庭と屋上の緑化、自然光の取り込み。この3つの工夫で真夏も扇風機だけでやり過ごしている。

家の西側には網戸付きの大きな引き戸を設け、ほぼ一日じゅう全開して目前の海と裏山から吹く風が室内を吹き抜けていく。夏もクーラーどころか扇風機すら要らないほど涼やかに過ごせた東京佃島の古い木造家屋の実家での心地いい記憶、体験へのオマージュとして建てた家。さまざまな工夫は功を

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今夏の自由研究

今夏の自由研究

数年ぶりの夏休み。初日だけ都内に出かけて、あとは近所や家でのんびり。気づいたら8月も後半にさしかかったので、夏休みの課題仕上げよろしく今夏から夢中になったヴィーガン・アイスクリームづくりに精を出した。

レシピは白崎茶会の「発酵アイスクリーム」。雑誌『クロワッサン1096号』に掲載されている。甘酒(甘糀)とアガベシロップで甘くするのがポイントで身体に優しいのが特徴。甘酒は濃縮タイプを使うんだけど、

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画伯と愛用道具

画伯と愛用道具

葉山一色のギャラリー「MOMOYAMA」で開催中のイラストレーターつがおか一孝さんの個展も20日までと、あと残りわずかに。

先日は展示作品の一部が入れ替わり、つがおかさん自身の愛用道具を描いた雑誌広告、記事の原画が多くお目見えになった。道具好きな酔狂者は見逃すわけにはいかないと再訪した。

50年以上の画業で初めて原画の販売をおこなう貴重な機会。アウトドア雑誌や一般誌、書籍で眼にしてリアルで道具

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山歩きを誘うベーカリー

山歩きを誘うベーカリー

お盆休みのさなか、近所の低山を散歩。三浦アルプスの一端を1時間半ほど歩くショートコース。毎夏の盛りに向かいたくなるが、たいていはひと夏に一度きりというのが定例だった。それが今夏は土曜日ごとに目指す勢い。そのモチベーションの根源には山の麓にあるベーカリーの存在がある。

お気に入りのコースは葉山町を流れる森戸川の源流地が入り口なのだが、その起点そばに今年の春、自家製天然酵母パンの工房兼ショップ「ea

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羽根木のオアシス

羽根木のオアシス

世田谷区羽根木。30年近く都内で仕事して一度も訪ねたことが無かったのに、ミュージアム&ギャラリーショップ「out of museum」とその店主、小林 眞さんに出会って以来、最近はほぼ毎月足を運んでいるのだから地域との縁は不意に降りてくるものだ。

逗子から湘南新宿ラインで新宿へ。そこから京王線で2駅。最寄りの代田橋駅周辺は新宿駅構内の嵐みたいな人の激流とは対照的で、静穏さに心鎮まる。店までは住宅

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昭和のラーメン

昭和のラーメン

鶏のガラでスープを作った、昔ながらのシンプルな細麺ラーメンをときどき食べたくなる。知人のインスタ投稿を参考に、家から近い横須賀界隈にないか調べてみたら安浦町2丁目に、まさしく「THE昭和」なラーメンを供する「ラーメンささもと」があるとわかり初訪問。

木造家屋の1階土間部分を店にした渋い佇まいにグッと惹かれる。暖簾をくぐるとカウンター席とテーブル席がひとつ。

ミニマルな飴色空間にすうっと取りこま

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ハロー、久里浜

ハロー、久里浜

8月お盆前からゴジラの居る久里浜の海辺に職場が変わり、花のケアを主とした仕事に就く。台風接近のあいにくなタイミングだけど心機一転、前へ前へと進まなくては。

ということで、まずは現場の現況を視察し、広大な敷地を速足で回って環境、花畑の様子、使われている道具類をささっと確認。

鎌倉の現場とは動きかたがまるで変わりそうなので、これを機に足袋より農作業の用途に適したミドルカットシューズ『親方寅さん』を

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感動、気まぐれフーガス

感動、気まぐれフーガス

葉山町長柄の自家製天然酵母パン工房「earth7716factory」がサマータイム営業実施中。夕方まで店開きしてくれるおかげで、仕事帰りに寄って電話予約したパンを受け取れるようになった。

この嬉しさを今夏、何度もかみしめたくて2週連続、金曜日に目指した。

秋虫が鳴き始め、徐々に日が短くなっていく8月初頭。山の麓に立つ工房には尾根を渡る風が吹き抜け、日中の猛暑で火照った身体を涼やかに冷ましてく

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夏のジン

夏のジン

バナナの木、月桃、ブルーポテトブッシュ(ムラサキハナナス)、アガベなど我が家の狭い前庭、裏庭には沖縄やメキシコなど南方系植物を地植えしている。

葉山一色の温暖な気候と植生がマッチしたのか、繁茂してトロピカルガーデンの様相。

亜熱帯みたいな濃緑の景色を愛でながらの、今夏、目下のマイブームはジンのロック割り。

コストコで買ってきた安価な『カークランド・ロンドン・ドライ・ジン』にコンビニで売ってい

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