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テッポウユリの戦略

今夏も狭い前庭の同じ所からテッポウユリの茎がニョキニョキと伸びてきた。

秋には跡形も無く消え去るんだけど、地中に潜む球根が翌年の機会を伺い続けているんだろう。暑くなり始めて、気づいたら現れて一気にグーンと伸びる勢いには毎年驚かされる。

8月に入って開花寸前まで蕾が膨らみながら、なかなか開かない。家の北側に群生するテッポウユリはとうに咲いているのに、何かタイミングを慎重に計っているみたい。そこに植物の意図を感じて、こちらがソワソワしてしまう。

8月に台風接近由来の大雨が久しぶりに降った翌日、突如花開いた。生き延びて種の保存へと向かうのにベストな頃合いだったのか。しかし、なぜこの場所なのか。ここはクロスカブを停める場で、しかもポストの前。邪魔で仕方ないのだ。実際にバイクやポストの扉が当たって、昨年までは不意に花を折り、散らしてしまいがちだった。

そのアクシデントを学習したのか、今夏は花の位置がバイクとポストに干渉しない、より高い位置になった。この環境への順応ぶりに植物の賢さと生命の神秘にはじつに魅せられる。久里浜にて花咲爺さん的仕事に就いている現況へのテッポウユリからのエール、メッセージと受け取るのは勝手過ぎるだろうか。

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