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美術のインプットを優先したい日々

11月。四季で言えば秋真っ只中。
秋といえば、私の中では「芸術の秋」が一番光る。


今日は、最近ひしひしと感じている、"芸術を観る”ということについての思いを綴りたいと思います。

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◼︎最近新しいアートに触れたのはいつ?

なぜ急に芸術について書こうと思ったかというと、きっかけはデザイン画の授業で、課題に取り組んでいた時のこと。
それまでは、コレクション誌を見ながら、課題のテーマや自分が描きたいイメージに沿ったアイテムを探し、それらを組み合わせながら描いていたけれど、
その時の課題では「何も見ずに、自分で0から描いてみましょう」というものだった。

自分の中で好きなファッションの世界観もあるし、好みの色味やシルエットや装飾はもちろんある。
だけど、いざペンを取ってみたら、全然手が動かなくて、全然ファッションを生み出せなかった。

その時に、「私、アウトプットできるほどの中身が全然ない」と痛感した。

それが、9月末〜10月頭くらいだったかと思う。ちょうど様々な美術館で、魅力的な展示や企画展が開催され始めたところだった。

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そういえば、なんだかんだ毎日忙しいことを理由に、美術館に行く機会が全然なかった。最後に行ったのは、授業の一環で3,4ヶ月前だった。
新しいアートに、ましてやファッションの学校に通っているのに、そんなにも長い間触れていなかったなんて… 危機感を覚えた。
学生の今なら安く美術館に入れる。何より、自分の中のアートの引き出しを増やしたい、いや、増やさなくちゃ。

手元で開いていたSNSを速攻で閉じ、「今やっている美術展 都内」で検索をし、行きたいところを全部リストアップした。


◼︎言葉使いで品性を測るなら、アートの無さも下品だ

以前、何かで耳にした言葉に、こんなものがあった。「人は、吸収した言葉でしか、自分の言葉を紡げない。」

自分が持つ語彙の豊かさは、例えばたくさんの本を読むとか、いろんな年齢の方と会話をする機会を持つとか、そういったところの経験値に比例するし、
同じように、ある事をどんな言葉で表現をするのかも、自分が見聞きしてきた言葉や語順を使ってでしか表現できない。

ただ「泣く」としか言えない人もいれば、「涙が頬を伝った」と言う人もいるし、とある作家は「ミミズが頬を這うようだ」と表現をしていた。

最近の若者の語彙力のなさを嘆き、なんでもかんでも「やばい」とでしか表現できない人たちに「品がない」と言うのであれば、
私はアートにおいても同じことが言えると思う。


書くにしても話すにしても、必ず毎日使って必ず他人に示さないといけない言葉と違い、”自分が描けるアート"って、人に見せる機会がない。
だから、自分の感性を人と比較することもなかなか無いし、だからこそ自分がどれだけアートを蓄積しているか・どれくらいのセンスを持っているのかを実感しにくい。

「青」から連想するもので、空・海・涙・悲しい気持ち…などを挙げるのは、私からすると、ありきたりな発想だと思う。ちなみに私はこの程度のアウトプットしかできない。
けれど、これまで会った人の中には、水色の金魚を描く人や 青い瞳の少女の目に移る景色を描く人がいた。
この発想力は、どれくらいの語彙を持っているかに似ていると思う。

空や海以上の青を想像できないのは、それまで自分がそういった単調な世界しか知らないで生きてきたから。
黒目以外の人種を知らなかったり、赤い金魚を視覚で捉えても心で水色と捉えたらそれを描いていい世界もあることを知らなかったり…
これだけ広い世界にあらゆる文化があって、無数の人の数だけ価値観があって、
それをどれくらい見聞きして自分の中に持っているかで、自分が生み出せる発想=アートの幅は変わってくると思う。

「やばい」でもその会話は成り立つし、空や海しか挙げられなくてもそれも確かに青だ。
でも、「やばい」以上の言葉を紡げないことが品の無さなら、空や海以外の青を挙げられないことも同じく品が無いことだと思う。

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◼︎まずは、直接鑑賞するだけでもいいから始めたい

美術の講師をしている方から言わせると、美術や芸術の知識を知らないでアートを目にするのは言語道断なのだ。
時代や国によって描き方の特徴・型があって、それを踏まえた上でそのアートの中に込められた想いや意図を想像するべきなのだと。

けれど私にはまだまだ知識が足りなくて、例えばぱっと絵画を見ただけでは描かれた年代はわからない。
でも、それを理由に美術館を後回しにするのは違うと思うから、まずは自分なりに感じるものを得るためだけにでも、新しいアートに触れる機会を増やしていきたい。



言葉には「正しい言葉使い」はあるけど、アートは「正しい解釈」は無い。
もちろん厳密に言えば、作者の意図を記載した「見方の回答や解説」はある。
けれども、それを読んだとしても、最終的な捉え方は個人の価値観によるから、そういった意味では、アートのインプットには何のハードルもリスクもない。

今の時代は、ありがたいことに海外まで行かなくても、その国の美術館が所蔵している作品を期間限定で国内で見ることだってできる。
たくさんのアイデアを生み出せるようになるために、アートにたくさん触れたいと思います。


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