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毎日

今日も大きな虫たちがわらわらとやってきてはただ音が鳴り光る機械にいくつものお金をやって鉄くずをプラスチックを大事そうに抱えて帰っていく ふたりのギャンブルで産まれた私にはその光がうるさくてニコニコするのにもいちいち嫌気がさす 仕事から帰ってきたら首が真っ赤になるほど痒くなるのに、仕事に行くと真っ白に戻って、普通になれたみたいな気分になる うるさいなあ。うるさい。ホールを飛び回る虫を追いかける目が揺れてる

    • 弱虫

      みんなが虫が嫌いなように私にはその虫が人間なのです 虫が嫌いじゃなくてもおばけとか嵐とか地震とかみんなが思い描く自分が1番畏怖してるものが私にはイコール人間なのです その虫がわらわらとやってきてその虫が話しかけてきたりその虫に話しかけたりその虫にニコニコしたりその虫が怖い事を隠してバレないように過ごしたりするのが当たり前で皆は人間が怖くないのが当たり前でいかにも虫が好きみたいな顔をしながら私はずっと気持ち悪いな、怖いなと思って飛び跳ねる心臓の音と震える手をなんとか隠してる、つ

      • アンハッピー・バースデー

        昨日 ハタチになった オトナの形をした数字がついた 私はこんなおめでたい誕生月に好きな人から振られるので、ハタチになって浮かれてる足と一緒に何もかもどうでもいいフリをして携帯とイヤホンだけ持って街に出た 馬刺し専門の美味しい居酒屋に入って、不安とワクワクでまるで私は落ち着けない 誰も居ない店の靴箱の前、「いらっしゃいませ〜」可愛らしいお姉さんの店員さんに慣れない口振りで 「あの、すみません一人で」「今からいけますか?」 もうそれも絵に書いたみたいなドキドキ加減で席まで案

        • 青い太陽

          薬の届かないところに傷があるので、当然薬は宛にならず、ただ内臓のなかを転がるだけで。首をねじらないと見えない背中のように、私の心はできている。 呪いは、かけた本人にしか解くことができないとSFの物語のなかでよく聞く。 私はあの日レイプしてきた人を、私に産まなきゃ良かった、死ねばいいと言ってきた母を、私を押し入れに閉じ込めて、私を殴り母を怒鳴る父を、お前は生きている価値がない、逃げて甘えてるだけのゴミだと言ってきた担任教師を、忘れて、気にしない訳にはいかないのだ。 忘れること

          瞼の裏はパプリカで

          朝が今日という悪夢を連れてやってくる 起きたらかけ直そうとしてた不在着信は最初から来てなくて小銭があったから煙草を買いに行こうとぼんやり思って そう言えばそんな小銭も無かったし 夢と現実の区別がつかなくって、たったそれだけのちっぽけなことで泣きたくなって、あといくつ春を見れば、悪夢から覚めるのかと思ったらもうたくさんで。 わたしはまるで今敏作品のパプリカで、 瞼の裏が悪夢へのドアで 気がついたらパレードで 空に浮いて、過去にワープして、なにかから逃げて 起きたら現実かど

          瞼の裏はパプリカで

          ゴミ箱の底はかなしさのケーキ

          薬の殻と吸い殻と涙をぬぐったティッシュを 悲しみと死にたさを一緒にゴミ箱に捨てて、 ゴミ箱の底はまるで鬱のケーキで また涙でぬれたティッシュが放り込まれるのです もし死にたいケーキを餌にする虫がいるのなら 全部食べて 羽ばたいてどこかに持って行って下さい

          ゴミ箱の底はかなしさのケーキ

          来世への渇望は死への片道切符

          あれ以来、あたしの18の誕生日 パパに話しかけた夜から 今迄通り何も音沙汰はない パパと左右対称にあるホクロ 中学生の頃カミソリで搔き切った傷あと もう、同じ肌ではない パパはあたしのパパじゃない 陽彩と云うあたしの名前は、 太陽のように人生を彩ってほしいから らしい あたしは赤色が好きだ 春の木漏れ日に揺らる今日なら、此の名前もホクロも あたしにとってはパパへのアイロニー 母に昔よく言われてた 悪いとこばかり全部似たのねと 今なら全部笑える

          来世への渇望は死への片道切符

          さようなら、しあわせになってね

          ハッピーバースデー、あたし 7歳の時から絶縁状態の父親に、ショートメールを送った。 18歳になった 家庭崩壊した約10年前 忘れ物を取りに その頃父と母と俺の3人で住んでたアパートの部屋に母とふたりで行った 最後に 「さようなら、しあわせになってね。」 そう書いた手紙と 手作りのストラップをテーブルに置いた 其の儘 ゴミ箱に捨てられていた ショックで、涙も出なかった あまりにも当然のように捨てられているから、もう考える必要が無かった ときが経っ

          さようなら、しあわせになってね

          あたしが絵を描くのは

          誰もあたしの絵を見てくれないんだ 何個もハッシュタグをつけても、いいねとかRTとかコメントとかして媚びを売っても、万人に評価されて愛されて受け入れられて売れるのは今流行りのアニメのオマージュやパロディ作品 故に二次創作が大半を占めてる 絵が描けるっていいね!そう言われる度 苦しくなる 俺はまだまだ下手だ。上には上がいるから。 もっともっと上手くなりたい。 ピカソもゴッホもモネもバンクシーも超えたい なりたいんじゃなくて、納得行く迄、満足行く迄 ただ良いと思いた

          あたしが絵を描くのは

          ニヒル

          救えなかった幼い時の俺が、悪夢の中をひた走ってはサクセスストーリーをサルベージしようとするんだ 小学生の頃から俺は悪夢しか見たことがない 俺の見る夢はいつも五感があってフルカラーだ 布団に入って眠りにつく 其処は5年3組 金色でピカピカの楽器たち 低音パートでバリトンサックスが担当だった 俺はバリトンサックスを吹いている ヒステリックな顧問のおばさんが癇癪を起こして俺に怒鳴る メンブレのタトゥー 俺は楽譜が読めない 読めた事は無い 暗号とか知らない国の文字にし

          泪の夜に手を引いて、誰でも善いからあたしの死にたいを壊して

          俺は絵を描くこと以外何ひとつ出来ない 去年の夏頃 毎日朝から晩まで 日付けが変わる迄絵を描いていた 腱鞘炎でシャーペンを握れなくなった 一度腱鞘が傷を負うと、傷んだ部分を筋肉が庇ってかたくなるらしい もう二度と絵を描けなくなるんだと 涙が止まらなかった ふと思い出したんだ クーラーの下でひとり 真っ白なスケッチブック シャーペン MONOの消しゴム よく「色は塗らないの?」 「色がある絵が見て見たい」と云われる モノクロだからと 俺にとっては

          泪の夜に手を引いて、誰でも善いからあたしの死にたいを壊して

          ママとパパ

          令和3年12月18日16時49分 雪が吹雪いて、雲がまとうように街が冬の色をしている 生理前でトラウマがフラッシュバックされて文字のままに悲しい、いつもの最悪なフェーズに居る 無理に切り替えようとしても後から皺寄せが来そうだから俺の生い立ち、昔話をしようと思う。 共感ポルノ、悲劇のヒロイン症候群 多分他人から見たらそうなんだと思うけど普通に両親に愛されて妥当な幸せを知り家族の温かさを知ってる人達が家族の話をするのと同じく、慰めて欲しいだの可哀想だの心配して欲しいだのと

          ママとパパ