歌のはじまり【2】
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前回の続きで今回がラスト✩
2年生になり後輩が入部し、それなりに立場が変わり始めていた時でした。
定演での演目の一つとして、今の2年だけで歌うことが企画された。
当時私達の学年は6人。それぞれ各パート一人一人いて、私がいたパートには2人いた。ちなみにメゾソプラノ。(個人的にはアルトっぽい音域なのかと思ってたら、入部当初の部長さんにメゾソプと判断されました。)
声量のバランスのため、どうしても2人では歌えず、どちらか1人がメンバーから外れることになった。そのための選抜テストが開かれることに。
これまでの歌のテストのことが甦った。
今まで散々怖気づいてきたけど、もう違う。歌いたい、選ばれたい。
そんな気持ちが溢れた。
でも結果はダメだった。音程どうのよりも、声量からして全然足りてなかったんだと思う。
すごく悔しかった。後輩がいる手前、自分だけ参加出来ないなんて先輩として惨めに感じた。
平気な振りしてたけど、泣くのも我慢したけど、内心悔しくて悔しくて。
こんな悔しい思いは生まれて初めてだった。
今までなら、選ばれなくてラッキーくらいに思ってたはずだ。
残念ではあったけど、もっと上手くなりたいと思うようになった。
このことで、自分でも随分変わったなと実感した。
これが転機の一つ。
高校ではギターも始めた。念願のアコギ。ノリで部室にギター持ち込んだこともあった。軽音部でもないのに。制服でギター背負うのにも憧れがあったのもある。
同時期に始めた子がいて、覚えるのに張り合いがあったけな。
カラオケにはめちゃくちゃ行くようになった。クラスの子とも部活の子とも。真剣に歌う部活とはまた違って、好き放題歌うのがもう楽しくて。
進学はしなかったから卒業して働くようになってからも、ギターはずっと変わらず弾いてた。好きな曲を見つけては夢中になって弾いてた。
ある時、ふらりと電車とバスを乗り継いで公園にギターを持って出かけたことがあった。
何だか、無性に家に居たくなくて。
家出じゃないけど、誰にも言わずに出かけた。そこではまだろくにちゃんと弾けるわけでもなかったから、練習がてらっぽく弾いてた。
でも人がちらほら見てきていたたまれず、2時間程ですぐに帰ったんだけどね。
路上ライブなんて、夢のまた夢の話だった。
「好きこそ物の上手なれ」
当時一緒に住んでいたおばあちゃんは口癖のように、私にそう言っていた。励ましてくれていたんだろうな。
「1人くらい有名になってよ」
家でギター弾く私にうるさいだろうに、文句1つ言わずにそう言ってもくれた。
それからエセ路上ライブをして数ヶ月後、私は突発性難聴を患った。朝起きたら、片耳だけがどうにも違和感。
このことを境に、音楽との向き合い方もまたガラっと変わった。ずっと音楽に救われていたのに、急に音楽が取り上げられたようで、とにかく怖かった。
聴こえ方がとにかく歪で気持ちが悪い。好きな曲さえも聴くのが嫌になった。あまりにショックでしばらく音楽と離れた。ギターも弾くのを辞めた。
初めてのことだった。
でも、好きなものとはやっぱり離れられなかった。
歪に聴こえても構わない。今片っぽでも聴こえてることが何より大事じゃないかって。
ギターもまた1ヶ月後には再開していた。
約2年間の投薬と通院をし、聴力は回復した。完治というより回復。
だから、100%治癒したわけじゃない。説明するのが難しいけど、正直恐らく85%くらいかな?あの頃の歪さは無くなったけど、どちらかというと片耳は聴こえにくいと思う。
それでも生活に支障はないまでに回復できたことは本当に本当によかった。
でも、病気中は本当にしんどくて、その時の気持ちは歌詞にぶつけまくってた。だから詞だけのものがたくさんある。家族にも友達にも病気のことはあまり弱音吐けなかったから。今でもたまに怖くなる。朝起きてまた聞こえなくなっていたらって。忘れたいけど、忘れちゃいけない暗闇みたいに。
難聴にならなかったら、きっと生まれない気持ちだと思うし、それにもっともっと音楽と離れたくなくなった。
病気は最大の転機だった。
難聴を患い聴力が戻ったことで、曲を作るという行為は、好きで夢中で作ってることは今も同じだけど、よりそれが研ぎ澄まされたように思う。
もっとシンプルに、難しいことは考えないようにって。あれやこれや、訴えたい、伝えたい、知ってほしいというメッセージより、まず今自分が思って感じた言葉と音がもう全部。
だから最近はやたら難しい言葉もコードも多用できなくなってる。奇をてらって尖った感じで作ったこともあるけど。そういうのも楽しかったりするし。たまにやりたくなるし。
ほんとにどんどんシンプルになっていく気がする。
いっそ、童謡とか唱歌みたいなの作るようになるんかも。
原点の音楽の授業、みたく。
ということで、これにて徒然音楽語り、おしまいです♪
初めて話すことも多く、あえて傷口えぐるようにしんどかった事をわざわざ思い出すのもどうかと思ったけど、音楽に触れる以上切っても切れない出来事でした。
長々と読んでくださった方、どうもありがとうございました(*´▽`)ノノ
これからも、まったり音楽と物語の創作活動していくので、興味持っていただけましたら、ふらっとお立ち寄りください。
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