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透々実生
2024年5月5日 11:59
Prev.↓Sequence 9:"D"ragged "D"own by "G"irl. 戦いの火蓋が切って落とされた。 その瞬間、元下層の住人――現上層の手先が全員、駆け出す。「壮観だなァ!」 報炉は笑う。実に愉快そうに、実に爽快に。「なァ! そう思わねェか! 烏合の衆共!」「テメェッ!!」 淡落が再び怒号を浴びせる。だが報炉にとってはどこ吹く風だ。「俺様に怒ってる場合かよ?
2024年1月3日 16:42
Prev.↓Sequence 8:Open Fire.***「……承知しました。……はい。では、宜しくお願いします」 ツー、ツー、という通話切断後のトーン信号が、小柄な男の頭の中で鳴り響く。それを確認し、首に刺さっていたコードを抜く。手を離すと、巻尺の要領でコードは壁へと吸い込まれていった。 壁の中に完全に収容されたのを見てから、彼は「やっとだ!」と快哉を上げた。隣にいた大柄な男も
2023年1月30日 09:39
Prev.↓Sequence 6:Not Acknowledge. 戦に必要なのは、まず自らの戦力を知る事だ。 『彼を知り、己を知れば、百戦殆うからず』という有名な言葉には『彼を知らずして、己を知れば、一たび勝ちて、一たび負く。彼を知らず、己を知らざれば、戦う毎に必ず敗る』という続きがある。要は己の戦力を知らなければ、どの程度の敵ならば相手に出来るのか、またどの様な手法が取れるのかを計画する
2022年11月12日 00:36
Prev.↓Sequence 4. Three counts. 背中に走る痛みが、絡生の意識を叩き起こした。自分が地面に体を放り投げられた際の鈍痛らしいことを、辛うじて感じる事ができた。「っ……!」 薄らに目を開けると、暗闇の中、複数の輪郭があるのを視認できる。大小様々だが全て人の形を取っていた。全てが間違いなく敵意を持っていると察した絡生は、一体何をするんだと立ち上がるべく、手で地面を押