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透々実生
2024年5月5日 11:59
Prev.↓Sequence 9:"D"ragged "D"own by "G"irl. 戦いの火蓋が切って落とされた。 その瞬間、元下層の住人――現上層の手先が全員、駆け出す。「壮観だなァ!」 報炉は笑う。実に愉快そうに、実に爽快に。「なァ! そう思わねェか! 烏合の衆共!」「テメェッ!!」 淡落が再び怒号を浴びせる。だが報炉にとってはどこ吹く風だ。「俺様に怒ってる場合かよ?
2024年1月3日 16:42
Prev.↓Sequence 8:Open Fire.***「……承知しました。……はい。では、宜しくお願いします」 ツー、ツー、という通話切断後のトーン信号が、小柄な男の頭の中で鳴り響く。それを確認し、首に刺さっていたコードを抜く。手を離すと、巻尺の要領でコードは壁へと吸い込まれていった。 壁の中に完全に収容されたのを見てから、彼は「やっとだ!」と快哉を上げた。隣にいた大柄な男も
2023年7月24日 14:37
Prev.↓Sequence 7:Crows' Claws. 生存の存続という点で、隣人は敵になり得る。 狩猟採集を行なっていた時代は村同士が啀み合ったし、その村が巨大化して都市国家、ひいては国民国家となってもそうだった。反対に、その国家の中の小集団や個人にフォーカスしても、小競り合いや争いは繰り広げられている――自らの快適な生存を実現する為に。 それはこの、下層においても同じ事だった。
2022年12月15日 00:40
Prev.↓Sequence 5. H.S.R.***「いいにおい!」 幼い絡生は、中層に建てられた家屋(規格は平等であり、勝手な拡大も縮小も認められなかった)の階段を降りた。バターと卵の焼ける甘い匂いが強まり、起き抜けの空腹を刺激する。「あら、おはよマトちゃん。もう少しで朝ご飯出来るからね」「うん! おかーさんのたまごやき、だいすきっ!」「あらあら、よく分かったわね、マトちゃん。
2022年11月12日 00:36
Prev.↓Sequence 4. Three counts. 背中に走る痛みが、絡生の意識を叩き起こした。自分が地面に体を放り投げられた際の鈍痛らしいことを、辛うじて感じる事ができた。「っ……!」 薄らに目を開けると、暗闇の中、複数の輪郭があるのを視認できる。大小様々だが全て人の形を取っていた。全てが間違いなく敵意を持っていると察した絡生は、一体何をするんだと立ち上がるべく、手で地面を押
2022年10月13日 13:02
Prev.↓Sequence 3. Child Meat Pie.***「ぎゃはははっ」 ――処刑場で椅子に縛られた報炉は、笑っていた。 四肢は薬剤投与によって完全に死滅させられたものの、念には念を入れられ手首を肘掛けに、足首を椅子の脚に縛り付けられている。 そして首の接続口には処刑道具である太いコード。 推定殺害人数69人。両手足の指でも数え切れない程人を殺した彼は、これか