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小4まで読み聞かせを続けた結果


何を隠そう私は小学校四年生まで母に寝る前の読み聞かせをしてもらっていた。

私が頼んだわけでもなく、習慣ともいえる我が家の当たり前だった。


小学校高学年ともなると、学力テストの類を受ける機会が何度かできた。

それまでは学校や塾でテキストに沿った問題しか解いたことがなかったのだが、学力テストでは初見の問題を解くことになる。

小学校から真面目に勉強に取り組む方だったので、親も塾の先生も、まぁまぁ平均以上はとれるだろう的なかんじだった。

それが、本人さえも驚くほどに国語の点数だけがとびぬけて良かった。

塾内の全国上位ランキングに貼り出されるほどだったのだ。

親も喜び勇んで、個人懇談のときに
「我が家は毎晩読み聞かせしています。」と言った。
それはそれは堂々と。
先生はびっくりしたのだろう、愛想笑いし、私は恥ずかしくて、うつむいた。

いつしか母が読み聞かせをしなくなった。
それは私が自分で毎晩本を読むようになったからだ。

中学高校と本を読み漁り、大学時代は古典文学を網羅した。

大学に入るころには読解力だけでなく、人の気持ちを汲み取るのが上手になった。


本は付箋だらけになり、マーカーで線を引くほどに読み込んだのに、今となっては内容をあまり覚えていない。

それでも私は今も文章が好きだ。読むのも書くのも好きだ。
有難いことにライティングの仕事も頂けるようになった。


きっと母が読んでくれた一文字一文字が私の中に息づいている。
自分で読んだ本たちのストーリーが染みついている。

活字が私の一部になっている。


そのきっかけをくれた母に感謝しかない。

私は今、息子に同じことをしている。

図書館で山のように本を借り、読み続けている。

今はボーっと聴いているけれど、将来きっと息子の糧になる。


文字のプレゼントだ。






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