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【企業インタビュー】100年以上続く茶農園では、副業人材の支援でクラウドファンディングにチャレンジ

さわやかな味と高い香りを持つ緑茶「美濃白川茶」の産地として知られる、岐阜県白川町。この地で100年以上前から緑茶の製造販売を行っているのが、有限会社ホラシンです。現在は茶葉だけではなく、緑茶を濃縮した飲料「割る緑茶」などの加工品も手掛けています。

しかし近年は茶葉の売り上げが減少。そこで同社は営業やマーケティングへの取り組みが必要と考え、副業人材の活用を決断しました。その結果、クラウドファンディングなど新しいチャレンジにつながったと言います。今回は副業人材を活用した経緯や成果について、同社代表の新田邦彦さんにお話を伺いました。

―現在の事業内容を教えていただけますか?

茶畑でお茶を栽培するところから、自社工場での加工や販売まで、全て自分たちで行っています。大正の終わりごろに創業しましたので、およそ100年の歴史があります。

10年くらい前からは、「割るお茶」という製品の製造と販売も行っています。「割るお茶」は濃縮した液体のお茶を瓶に詰めたもので、お酒などで割っていただく他、料理にも使っていただける製品です。

割る緑茶

―副業人材を活用しようと思われた背景を教えていただけますか?

実はここ数年、茶葉の売り上げがだいぶ落ち込んできていました。うちは長い歴史を持つ会社ですから、昔からお付き合いのある年配のお客様が多いんですよね。ですから、お客様が亡くなられると注文も無くなり、売上が下がってしまいます。

それでも液体のお茶「割るお茶」の売り上げが少しずつ伸びていけばいいと思っていたのですが、想定以上に茶葉の売り上げが大きく下がってきて、危機感を感じていました。

そこで「割るお茶」の販売をより増やすため、4年くらい前から都心などで行われている展示会に行くようになりました。居酒屋などの飲食店に置いていただければという狙いです。
ただこういった活動を始めてみると、やはり私ひとりでは難しいなと感じるようになったのです。私はネットにも詳しくないですし、販売やマーケティングなど全体的にアドバイスしていただける方が必要だと感じていました。

そんな時に地元の信用金庫の方から、Skill Shiftを紹介していただきました。地元の白川町ではこうした副業人材を活用する地元企業を支援していて、一部費用の補助が出るという話を聞き、試してみることにしました。

―求める副業人材のイメージはありましたか?

「割るお茶」にはいくつか課題がありました。まずは瓶のラベルですね。これまでのラベルは、字の上手な親戚に書いてもらったものを、そのまま印刷しただけだったんです。あとホームページも当初なかったので、作りたいと考えていました。ですから、そういう私の得意ではないデザインやネットの分野に強い方にお願いしたいなという想いはありました。

―副業人材の募集から採用までの経緯を教えてください。

募集をかけたところ、20名の方からご応募いただきました。Skill Shiftをご紹介いただいた信用金庫の方に相談しながら、書類選考で5名に絞りました。私としては、実績をあまりにもアピールされる方は難しいかなと思い、候補から外させていただきました。あまりにレベルが違いすぎると、こちらがついていけないという心配があったものですから。

あとは私と信用金庫の方でそれぞれいいなと思う方を選んだところ、重複する方が5名だったという感じですね。女性の視点でデザインも見ていただけるかなという想いで、女性の方も候補に入れさせていただきました。

候補となった5名の方と面接をしまして、面接では「製品をどのように販売したらいいか」「どうネットを使っていけばいいか」といった方向性について聞いてみました。信用金庫の方は大変熱心な方で、ありがたいことに面接にも同席していただきました。

かなり迷いましたが、最終的に1名の方を採用させていただきました。採用した副業人材の方は東京にお住まいの60代の方で、企業のコンサルティングを手掛けている方です。普段から全国各地を飛び回って、地方企業にもいろいろとアドバイスをされていると聞きました。

―採用したポイントや決め手を教えてください。

決め手となったのは、まず関東圏にお住まいだったということですね。私は展示会などで関東に行く機会が多いですし、都心に販売していくことを考えると、関東の方がいいかなと思いました。

あと採用した方はデザイン系の大学のご出身で、デザインやネットの分野にも強いということもポイントでした。

もう1つ決め手になったのは、面接に同席していただいた信用金庫の方が、この方を強く薦めてくれたことですね。信用金庫の方は「この方は面接で全てを語っているわけではなく、心の中にいろいろな想いがあるようです。ですから今後いろいろなアドバイスがもらえるのでは」というお話をされていました。

―副業人材の方に依頼した業務内容や期間について、教えてください。

副業人材の方とは2022年の8月に契約をしました。現在も継続中ですので、2年弱になります。最初に1回こちらに来ていただき、茶畑など製造や加工の現場を見ていただきながら、現状についてお話しました。また現場を見ていただくという意味で、東京の展示会に出展した際には、手伝っていただいたこともあります。

普段のやり取りは、聞きたいことがある時こちらからLINEを送って、その後Zoomでオンラインの打ち合わせをするという感じですね。打ち合わせは月に1~2回、1回あたり1時間くらいです。

―副業人材を活用した成果があれば、教えていただけますか?

売上というところでは正直まだまだですが、まずホームページを立ち上げることができたのは、ひとつの成果です。あと副業人材の方からアドバイスいただいて、インスタグラムのアカウントも作りました。

また副業人材の方のアイデアをもとに、クラウドファンディングにチャレンジしました。これは茶畑のオーナーになっていただいた方に、お礼として収穫したお茶や弊社の製品をお送りするというものです。当初の目標には達しませんでしたが、こういう仕組みがあるということを知る機会になりましたね。今までやったことのないことにチャレンジできたのは、副業人材の方のおかげです。

もともと課題だった「割るお茶」の瓶ラベルも、副業人材の方にサポートしていただいて、今年になって新しいラベルが完成しました。

新ラベル

―副業人材を活用したご感想と、今後の展開を教えていただけますか?

今回、すごくいい副業人材の方と出会えたと感じています。今お願いしている方はこちらから連絡するとすぐに返してくれるので、とても助かっています。普段はひとりで仕事をしていますから、ちょっとしたことをすぐ聞ける相手がいるというのは、社外の取締役がいるみたいな感じで心強いですね。

今後の展望としては、「割るお茶」に関しては新しいラベルになりましたし、今後も展示会に積極的に出して、売り上げを伸ばしていきたいと思っています。

実は新製品として、お菓子にも使えるお茶のスプレッド(編集部注:パンなどに塗るペースト状の食品)を開発中です。「割るお茶」は主に居酒屋さん向けですが、スプレッドならもっと幅広く展開できるかなと思っています。新製品の販売も副業人材の方にアドバイスをいただきながら、いろいろなことに取り組んでいきたいと考えています。

COMPANY PROFILE

有限会社 ホラシン
〒509-1102 岐阜県加茂郡白川町中川704

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