ブラジルと南港

昔、大阪のピンク街である女性と会った。

彼女は20歳だが、色々あってまだ高校に通っているらしい。

一応女子高生。

飲酒可能JK。

そのJK、仕事柄客さんに気に入られて色々プレゼントを頂くそう。

アロワナ好きのおっさんに気に入られた時は、当然の事ながらアロワナ5匹とクソデカ水槽を頂いた。

彼女は実家住みなので、深夜自宅に5アロワナと1水槽を搬入した訳だが、翌朝母親が発狂し、素手で1アロワナを掴んで放り投げてきたそう。

大阪のおかん恐るべし。

そんな彼女と話が弾み、今度遊びに行こうとなった。

飲酒可能JKとどこにデートに行くのが適切なのか悩んでいたところ、

「私が車出してもええ?」と予想外の一言。

大阪市内で20歳で車を持っている女子は中々珍しい。

JKの助手席に乗れる経験はそうそうない。

もちろん、ええに決まっている。

当日、彼女は近くまで迎えに来てくれた。

幅43.6 m、6車線を誇る大阪のメインストリート御堂筋の心斎橋。

終電がちょうど終わった頃とは言え、若者がごったがえしている。

遠くから爆音が轟く。

フェラーリのようなエロティック跳ね馬サウンドではない。

心臓に響く。

日産か?

でも車体からカルロスゴーン色は感じられない。

昔のGT-Rである。

ナンバープレートには赤い斜線が引いている。

それを見て私も引いている。

画像1

JKがウィンドウを下ろし、「お待たせ」と発声する。

俺はノー発声で助手席に乗り込み、次の赤信号でやっと発声した。

「ありがとう。これ自分のん?」

「そやで」

アロワナにもらったものではないらしい。

聞けば、子供の頃から車、とりわけ国産スポーツカーが大好きらしい。

車離れが叫ばれているなか、むちゃくちゃ貴重な人材である。

ゴーンも心入れ替えるかも知れない。

「なんでスポーツカーが好きなん?」

「ドリフトが好きやねん。これの前はシルビア乗っててん。」

あかん、ゴーンが帰ってくる。

でも、何故女子がドリフトに興味を持つのか。

兄貴がいるとか、彼氏が車好きとかなのかとか、浅はかな考えの自分を亀甲縛りしたい。全然違うらしい。

「私、子供のころ南港に住んでてん。夜窓開けたらドリフトしてる車いっぱいおるやん?だから、環境がそうさせてん。ネイマールはブラジルに生まれたからサッカー選手なったやん?それと一緒」

一気に捲し立てられた。

南港とは、大阪のドリフトスポットである。

環境がそうさせたらしい。

とりあえず「へぇ〜」と言った。

助手席に乗って3発声目である。

・・・

GT-Rはいつのまにか御堂筋を抜け、馴染みのない幹線道路をひた走っている。

そういえばこのデート、「私が車を出してもええ?」に賛同しただけである。

行先は一切不明。

幹線道路の照度はどんどん減少していっている。

「これどこ向かってんの?」

また良い酔い方したら続き書きます。





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