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『クーキー』(2010)【この映画に注目!】

主人公の少年・オンドラを演じるオンジェイ・スヴェラークは、
ヤン・スヴェラーク監督の実子。
製作・撮影が長期間に渡ったため、彼が幾分成長しているのが
劇中で見て取れる。

ゴミとともに捨てられてしまった、熊のぬいぐるみ「クーキー」
「クーキーが無事でありますように…!」
オンドラ少年の祈りが通じたか、あわやショベルカーに潰されるその寸前、
ついにクーキーは、自らの意思を持って動き出す…!☆
そして、持ち主だったオンドラのもとに帰るための、大冒険が始まった。

チェコ発の、パペット操演ムービー。
CGアニメでも無い、パペットアニメでも無い、独特の世界が堪能できる。

チェコのパペット操演といえば、古くからの伝統芸として知られており、
「東のディズニー」と異名を取るほど、世界中から高い評価を得ている。
まるで、中に人が入って演じているかの様なリアルな動きが、
画面全体で一斉に、細部に至って繰り広げられるのだ。
一部にCG処理が施されているが、基本的には全て操演。☆

ゴミ処理場をからがら脱出し、迷い込んだ森の中が舞台となるのだが、
実際に、チェコの自然森の中で撮影が行われている。
本物の生きた鳥や小動物と、無機物のパペットが
ごく自然に共演しているさまは、とても不思議で幻想的だ。

話の内容は『トイ・ストーリー』に似た可愛いロードムービーだが、
世間では、そのヒャッハーなマシンバトル暴力的クーデターといった
サヴァイヴァルな内容から、『マッドマックス』だと囁かれている。
普通に考えると、交わる事の無い真逆の存在なのに。☆(笑)

↓【比較検証】↓
上 : 『マッドマックス 怒りのデスロード』
下 : 『クーキー』

←←もう、どっちがドッチだか判らんな…(笑)


カーチェイスシーンでは、模型車を実際に走らせて撮影しており、
その最中に、本物のリスが登場して本物の松ぼっくりが投げ込まれたり、
『マッドマックス 怒りのデスロード』と同じく、CG使用を極力抑え
「リアルアクションに拘っている」という点で、非常に共通している。

しかしどれだけ熟練の技術をもってしても、パペットの表情だけは
動かすことはできないので、ピクサーアニメの様な豊かな表現には
少々及ばない面があるものの、

その分、こちらでどんどん想像を膨らませて、感情を上乗せして、
カスタマイズしながら享受していく事が出来るという楽しみがある。
そういった意味では、上級者向け、大人向けの作品か?
実際、劇場では、子供や家族連れなど一切見かけなかった。(笑)

そんなこの作品が、本国チェコでは『トイ・ストーリー3』を
上回る人気
だというのだから、チェコの子供達には
優れた素晴らしい感性が備っているのだろう。


というワケで、『トイ・ストーリー3』
『マッドマックス 怒りのデスロード』がお好きな方は、
ぜひ観ましょう!!(笑)ぶはははは☆

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