『パープル・ハート』(1944)【海外映画の中の“日本”】
大戦中のプロバガンダ作品。
しかし色んな意味で、他のそれとは
一線を画す様に思う。
『東京上空三十秒』と、ある意味、対を為す一本。
両作品、続けて観たい所。
戦争映画だけど、戦闘シーンは一切無し。
主人公達が拷問されるけど、直接の拷問描写は無し。
観る側に色々と恐ろしい想像をさせる
余地の作り方が上手い。
不当な裁判の期間中、収監された主人公一隊は、
軍事機密漏洩の司法取引を迫られ、拷問を受け、
一人、また一人と、手を砕かれ、声を潰され、
脳に障害を負わされるのだった…!
普通なら裏切者が出る所だが、これは
プロバガンダ映画だ。彼等は決して屈しなかった。
隊長が寝言で全部吐いちまうんじゃないかと、
ヒヤヒヤしたけどな!☆
↓中国人キャストが演じる、理不尽極まる怪しい裁判官。
そして、フィリピン制圧の報せが舞い込むと、
裁判を中断して皆で喜びまくる場面が印象的。
↓
陸軍兵と海軍兵がペアになり、剣を抜いて
打ち合い、踊るのだ。
↓
傍聴席では、枢軸国と同盟国の記者が喜び合い、
中立国の記者は複雑な表情を見せる…。
一種異様な名シーンだった。☆
映像的には、ホラー映画っぽい陰影や音の使い方、
幾何学的?な人や物の配置などによる
ディストピア的な空気感が秀逸。
結末は衝撃的だが、ヒーロー然とした
晴れやかな面持ちで迎える終幕が、如何にも
これぞプロバガンダって感じだった。
あと、陸軍将軍の、ゲイシャっぽい女性をはべらせた
私生活が、如何にもな悪のイメージで、コレも良い。
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