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「自立」の新しい解釈

『こんな夜更けにバナナかよ  ~愛しき実話~』原案/渡辺一史、脚本/橋本裕志

映画のノベライズを読みました!映画はまだ見てません。

たまたま目に入って読んでみたので、まさか来週の金曜ロードショーでやるなんて思ってなかった!ビックリです(笑)タイムリー!!


介護、というものを扱っている作品としては明るく軽やかな印象だったので、映画もとても見やすいのではないかな?大泉洋がきっと面白くしてくれてるはず!

ノンフィクションで描かれた原作はやっぱりちょっと覚悟がいるのかなーと思います……気合い入れて読まないと。読むだけでも関係性を感じてしまうのが人の性かなと思うので。

その点このノベライズ版は読みやすい!鹿野さんの生き方、考え方を知れもするし、ラブストーリーとしてのお話にも夢中になれる。

真っ直ぐな感性の美咲ちゃんに感情移入する人、優しさと意気地無しの狭間を生きる田中くんに共感する人、鹿野さんの求める「自由」に心打たれる人、様々な観点で楽しめる作品だと思いましたね。

鹿野さんが語る「自立」の意味。無勉強で恥ずかしいんですが、ボクにはとても新鮮に響きました。

「自立とは、誰の助けも必要としないということではない。どこに行きたいか、何をしたいかを自分で決めること。自分が決定権を持ち、そのために助けてもらうことだ」(本文引用)

そうだったのか~~。

いや、無知。にのまえが無知だったのよね。そういう考えを知らなくて。

でも祖父の介護で薄々感じていたことでもあった。「世話になっている」という気持ちからなのか、中々わがままを言ってくれない祖父に対する気持ち。

生きることは、もっと楽しく自由であってもいいはずだ。

って、よく思ってます。もっと自由に生きてよ爺ちゃん……。

その「自由」を他者の『ボランティア』に支えられて実現してきた鹿野さん……本当に凄い人だなって、改めて思った。うん。

それは勿論ご自身が自由に生きたいという精神があって初めて成り立つことだろうけれども、鹿野さんは自らを沢山メディアに晒して「もっと(自分のように)自由に生きてもいい」と多くの難病患者本人に訴えかけていた。

それが本当に素晴らしい!すごい!!

自らの「生」に悩み苦しむ人に「手伝ってもらっても、迷惑掛けてもいいんだよ」って実体験から新しい価値観を作り出し、積み上げて、訴えていく。

そういう人助けってあるんだなって……本当に感動した。鹿野さんにしか出来ないことだったと思う。

誰だっていつ死んじゃうか分かんない身体抱えて生きていくなんて、しんどい。

その身体を利用しつつ心を強く「嫌われるかも」なんて怯えを隠して、堂々と『対等に』他者に接する。

そんなこと出来ないよボクには💦

身体動かなくて排泄物とか片してもらってる人を相手に軽口叩いたりとか、周りに人がいなくちゃ生きていけないのにガンガン無茶振りしていく姿勢とか。

多分、鹿野さんしか出来ない。それが許される可愛さと人望を持ち合わせてないと出来ないもん。

まぁ本当に放っておかれたら死ぬから、「人殺しになりたくないだろ」って脅されてる気分の人も居たかもしれないけど(/´△`\)

でも残っていく人はみんな「鹿野さんに生きていて欲しい」と願った人達だから、それはもう鹿野さんの人望とボランティアさんの優しさだよねぇ。

これを「優しさ」という言葉に置き換えるのも躊躇うんですけど、でもボクの語彙が追い付かなかった💦ボラの人達は「優しいから」鹿野さんを支え続けた訳じゃないんだよね。

でも優しくなかったらそもそもボランティアなんてやらないし、う~ん難しいぜちくしょう!

言いたいのは、 ボラの方々は、受身じゃなく主体的にボランティアに関わっていった、ということ。受入れた、というより受け止めにいった、というか。

それは優しさでもあるし、(ボラさん達)本人の「やりたいこと」でもある以上、本人の欲求なんだよね。「やりたいことをやっている」って、優しさかな?という疑問があって。まぁ周りから見ればそれは優しい行為ではあるんだけど……伝わるかな?

にのまえはたまに「優しい」と形容されることがあるんだけど、それは本当に思いやりで行った場合と「これやっときゃ後で文句言われないだろ」って計算の場合がある。

後者だった時「別に優しさじゃないんだよなぁ」って思うからさ。ボラの方々も中には「優しさだけでこんな大変なことやれるかよ!覚悟が違うんだよ!」って人もいるかも知れないじゃん。

祖父の介護も、優しさだけではないかな。

責任というか覚悟もそうだし、恩返しっていうか。「優しさ」で片付く感情ではないことは確か。ちょっと語彙足らなくて申し訳ない。

でも関わる以上、優しくしてあげたいって気持ちも確かにある。う~ん「優しさ」ってなんだろう。


とにかく、読後感が爽やかで素敵な作品でした! 映画も観るよ。

「自立」というものの考え方に一つ視点が増えて、とても勉強になりました。自己決定を社会から手助けしてもらうライフスタイルって、障害者だけじゃなくて健常者にも響く教訓になると思った。

支え合いながら「社会」は育っていくんだなぁ……。

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