#142 「どんぐりと山猫」の舞台とは?【宮沢賢治とシャーマンと山 その15】
(続き)
タイトルに猫が付く「どんぐりと山猫」の舞台も、花巻の大迫地域にあると言われる。
舞台は「笛貫の滝」という場所で、作品では「笛吹の滝」という名で登場する。
物語の中の「笛吹の滝」は、主人公の一郎が、山猫たちがいる場所へと向かう途中に通る滝だ。
実在する「笛貫の滝」は、早池峰登山へ向かう道の途中から、川へと降りていった先にあり、簡単な看板はあるものの、初めての人が一人で辿り着くには難易度が高い。ちなみに私は軽い気持ちで足を運び、危うく遭難しかけた。
こちらも、猫底と同様に独特の空気が漂い、何やら人の気配がするのだが、もちろん、私以外に人っ子一人いるはずもなかった。
この作品の山猫も、どんぐり達を束ねる、ある種の精霊的な、土地の神なのかもしれない。
「注文の料理店」の山猫(のような何か)も、ある種の神性を持つ存在でありながら、親分・子分の上下関係もある様子で、キリスト教的ないわゆる「神」のイメージからは遠くもある。
【写真は、花巻市大迫地域、早池峰山麓の笛貫の滝】
(続く)
2024(令和6)年3月4日(月)
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