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白兎神の日々のできごと

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元因幡の白兎、今はウサギ神となったシロナガミミノミコトの現代の生活をコミカルに語った短編集です。
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うさぎ繋がりでイースターバニーを手伝うか迷った話

うさぎ繋がりでイースターバニーを手伝うか迷った話

注 以前AmazonのKindleで販売していた『ウサギ神漫遊記』の中の一話を改訂したものです。

 昨今の日本には、ずいぶん多くの神々がおいでです。
 昔から外つ国よりおいでになる神々が多い国なので、たいへんな数です。
 わたくしは神代の昔からこの国に住む白兎神ですが、すべての神々を存じ上げているわけではございません。
 神代の昔からお住まいの神々は、おおむね知り合いです。
 仏関係者は非常に多

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白兎神、スマホに悩む話

白兎神、スマホに悩む話

注 『ウサギ神交遊記』として以前にKindleで販売していた短編集の中の一つを加筆した物語です。

 こんにちは、白兎神社に鎮座するウサギ神シロナガミミノミコトと申します。
 昔は因幡の白兎と呼ばれていたと言えば、ご存じの方も多いでしょうか。
 さて神代の昔に鎮座して人間界を見守るうちに、時代の変化は神々の世界にも容赦なく押し寄せます。
 神代以来の伝達手段である手紙から携帯電話に替えただけでもウ

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二柱の歳神と二柱の白兎神、大晦日に奇妙な出来事に遭遇する話

二柱の歳神と二柱の白兎神、大晦日に奇妙な出来事に遭遇する話

 早いものでもう大晦日。
 今年は様々なことがございました。
 失礼、自己紹介が遅れました。
 白兎神社の神、白兎大明神ことシロナガミミノミコトです。
 年越しの準備が終わり、夜になりました。
 のんびりと除夜の鐘の音を待ちつつ、出雲のオオクニヌシノミコトとスセリビメが送ってくださったお蕎麦をいただこうと準備をしております。
 ワニザメをだまして皮をはがれ、通りかかられたオオクニヌシノミコトにお助

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白兎神のもとに思いがけない来客があった話

白兎神のもとに思いがけない来客があった話

注 以前AmazonのKindleで出していた『ウサギ神交遊記』の中の一話です。

 こんにちは、白兎神社の神、シロナガミミノミコトです。
 今日は思いがけないお客様のことをお話ししましょう。
 前もって連絡のある訪問もありますが、ふいにおいでになるお客様もおいでです。
 知り合いの来訪だけではなく、未知のお客様がいらっしゃることもたまにはございます。
 出雲大社や伊勢神宮のような大神様のお住まい

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彼氏との交際に疲れた女神の相談にのった話

彼氏との交際に疲れた女神の相談にのった話

注1 以前Kindleで販売していた『ウサギ神交遊記』の中の一話を加筆したものです。

注2 今回登場するミホツヒメノミコト(美穂津姫命)は、『日本書紀』ではヤエコトシロヌシノカミの母ですが、鶏鳴伝説では妻問いの相手。ここではつきあっている彼女として登場しています。

注3 美保神社のヤエコトシロヌシノカミは神無月に出雲へ行かない神様ですが、ストーリーの都合上顔出しはしていることになっています。

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仰天した贈り物の話

仰天した贈り物の話

注 以前AmazonのKindleで販売していた『ウサギ神交遊記』の中の一話を加筆したものです。

 こんにちは、白兎神シロナガミミノミコトです。
 わたくしは年に一度の出雲行き以外は、いつも白兎神社におります。
 それでも、普段から全国の神々とのおつきあいはございます。
 メールや〝つながり〟(人間のLINEに相当)、電話、昔ながらの手紙の他に、贈答品のやりとりもございます。
 たいてい親しくし

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悩める女神が夫婦問題の相談に訪ねてきた話

悩める女神が夫婦問題の相談に訪ねてきた話

注 以前AmazonのKindleで販売していた『ウサギ神交遊記』の中の一話を加筆した短編小説です。

 こんにちは、海を見下ろす神社でのんびり暮らす白兎神シロナガミミノミコトです。
 出雲大社や伊勢神宮のような大神様のお住まいとは異なり、参拝者はおりますが静かな環境でございます。
 時折、神仏の来客があるとはいえ、この時のお客様が神社の入り口に立っておられたのを見たときそれは驚きましたとも。

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