白兎の茶話会

森川紫帆(旧名 山上翔子)と申します。 因幡の白兎や神話説話を題材に小説を書いているう…

白兎の茶話会

森川紫帆(旧名 山上翔子)と申します。 因幡の白兎や神話説話を題材に小説を書いているうちに、奇妙な縁で棄てられていた白兎を飼い始めました。 ディスレクシア、アスペルガー症候群、毒親の三重苦を背負って生きてきまして、還暦過ぎてようやく少し楽になったところです。

マガジン

  • 白兎神の日々のできごと

    元因幡の白兎、今はウサギ神となったシロナガミミノミコトの現代の生活をコミカルに語った短編集です。

  • 白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語

    白兎神社に鎮座し白兎大明神となった因幡の白兎シロナガミミノミコト。 のどかに縁結びにご利益を与えて暮らしているうちに時は流れ江戸時代に。 一人の訪問者によって平和は破られ、日本を覆す大陰謀に巻き込まれる。 すべての謎は鹿島神宮にあるとわかり、味方の神々と共に鹿島を目指す冒険活劇。

  • 因幡の白兎、神となり社に鎮座するまでの物語

    『古事記』でおなじみのワニザメに皮をはがれ泣いていたところをオオクニヌシノミコトに助けられた因幡の白兎。 その後、どのようないきさつで白兎神社に祀られる神となったのかをコメディタッチで描いたウサギ神一代記です。

  • カノープスの冒険 2

    再び、うさぎのカノープスの冒険が始まります。 今回は下界に下りた月兎(地上での命が終わり、月に住むうさぎ)のきょうちゃんを探しに行きます。 決まった時間までに帰らないと、地上をさまようことになる月兎の掟。 それなのに、きょうちゃんは帰ってきません。 心配した月兎のドルチェとスピカが探しに来て、カノープスに協力を求めます。 時間までに、きょうちゃんを見つけられるでしょうか? そして、帰る時間を忘れて、きょうちゃんは何がしたかったのでしょうか?

  • カノープスの冒険

    キュウトグラフィックスさんの水彩画を基にした、うさぎのカノープスの小さな旅のお話です。 森の中で楽しく暮らしていたカノープスが、好奇心から森を出て様々な出会いと不思議な光景を目にします。 うさぎの男の子と夏らしい小さな冒険に出てみませんか?

最近の記事

うさぎ繋がりでイースターバニーを手伝うか迷った話

注 以前AmazonのKindleで販売していた『ウサギ神漫遊記』の中の一話を改訂したものです。  昨今の日本には、ずいぶん多くの神々がおいでです。  昔から外つ国よりおいでになる神々が多い国なので、たいへんな数です。  わたくしは神代の昔からこの国に住む白兎神ですが、すべての神々を存じ上げているわけではございません。  神代の昔からお住まいの神々は、おおむね知り合いです。  仏関係者は非常に多人数でいらっしゃるため、ごく一部の方にしかお会いしておりません。  さらに他の国

    • 悩める女神が夫婦問題の相談に訪ねてきた話

      注 以前AmazonのKindleで販売していた『ウサギ神交遊記』の中の一話を加筆した短編小説です。  こんにちは、海を見下ろす神社でのんびり暮らす白兎神シロナガミミノミコトです。  出雲大社や伊勢神宮のような大神様のお住まいとは異なり、参拝者はおりますが静かな環境でございます。  時折、神仏の来客があるとはいえ、この時のお客様が神社の入り口に立っておられたのを見たときそれは驚きましたとも。 「お久しぶりでございます。このような遠いところまで、お一人でおいでですか?」 「え

      • 仰天した贈り物の話

        注 以前AmazonのKindleで販売していた『ウサギ神交遊記』の中の一話を加筆したものです。  こんにちは、白兎神シロナガミミノミコトです。  わたくしは年に一度の出雲行き以外は、いつも白兎神社におります。  それでも、普段から全国の神々とのおつきあいはございます。  メールや〝つながり〟(人間のLINEに相当)、電話、昔ながらの手紙の他に、贈答品のやりとりもございます。  たいてい親しくしてくださる神々から季節ごとに定期的に贈られるものが多いのですが、時折思いがけない

        • 彼氏との交際に疲れた女神の相談にのった話

          注1 以前Kindleで販売していた『ウサギ神交遊記』の中の一話を加筆したものです。 注2 今回登場するミホツヒメノミコト(美穂津姫命)は、『日本書紀』ではヤエコトシロヌシノカミの母ですが、鶏鳴伝説では妻問いの相手。ここではつきあっている彼女として登場しています。 注3 美保神社のヤエコトシロヌシノカミは神無月に出雲へ行かない神様ですが、ストーリーの都合上顔出しはしていることになっています。  いかがお過ごしでしょうか?  毒にも薬にもならないウサギ神の日常や思い出を語

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        • 白兎神の日々のできごと
          7本
        • 白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語
          7本
        • 因幡の白兎、神となり社に鎮座するまでの物語
          7本
        • カノープスの冒険 2
          17本
        • カノープスの冒険
          14本

        記事

          白兎神のもとに思いがけない来客があった話

          注 以前AmazonのKindleで出していた『ウサギ神交遊記』の中の一話です。  こんにちは、白兎神社の神、シロナガミミノミコトです。  今日は思いがけないお客様のことをお話ししましょう。  前もって連絡のある訪問もありますが、ふいにおいでになるお客様もおいでです。  知り合いの来訪だけではなく、未知のお客様がいらっしゃることもたまにはございます。  出雲大社や伊勢神宮のような大神様のお住まいに比べれば、人間の参拝者も神仏の来訪者もそこまで多くはございません。  だからこ

          白兎神のもとに思いがけない来客があった話

          白兎神、スマホに悩む話

          注 『ウサギ神交遊記』として以前にKindleで販売していた短編集の中の一つを加筆した物語です。  こんにちは、白兎神社に鎮座するウサギ神シロナガミミノミコトと申します。  昔は因幡の白兎と呼ばれていたと言えば、ご存じの方も多いでしょうか。  さて神代の昔に鎮座して人間界を見守るうちに、時代の変化は神々の世界にも容赦なく押し寄せます。  神代以来の伝達手段である手紙から携帯電話に替えただけでもウサギ神としては大進歩だったのですが、さらにスマホへ替えることになってしまいました

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          二柱の歳神と二柱の白兎神、大晦日に奇妙な出来事に遭遇する話

           早いものでもう大晦日。  今年は様々なことがございました。  失礼、自己紹介が遅れました。  白兎神社の神、白兎大明神ことシロナガミミノミコトです。  年越しの準備が終わり、夜になりました。  のんびりと除夜の鐘の音を待ちつつ、出雲のオオクニヌシノミコトとスセリビメが送ってくださったお蕎麦をいただこうと準備をしております。  ワニザメをだまして皮をはがれ、通りかかられたオオクニヌシノミコトにお助けいただき因幡の白兎と呼ばれていた頃からおつきあいが始まり、長い年月がたちました

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          白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語7 陰謀の結果は大団円へとつながりし話

          鹿島の大神様は、なだめるような口調になられました。 「それすらも危険だったのだよ。いや、ナマズたちが結託して何かを企んでいるということも、おそらく誰よりも早く気付いておられただろう。何しろ、あの御方が造られた国だからな。だが、ご自身が持つ力の大きさもよくご承知だった。たとえ神々に注意を促しただけでも、言霊によってご自身の〝地と黄泉の気〟が悪影響を与え、ナマズたちの陰謀に加担してしまうとわかっておられたのだ。だから、鳥が尋ねても教えるわけにはいかなかったのさ。ただ他の神々がナ

          白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語7 陰謀の結果は大団円へとつながりし話

          白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語6 タケミカヅチノカミに会い謎が徐々に明らかになりし話

          「それは、親玉の気配ですか? それとも、神宮の中の手下の気配ですか?」 トオミノミコトが、不安な面持ちになりました。 「両方です。手下はともかく、首領の気配が消えるなどありえない。そして……見えないんです」 「あの……何が見えないんですか?」 だんだん不吉な予感が強まってきます。 トオミノミコトは、絶望的な声音になりました。 「何も見えません。肉眼に映る周囲の景色だけで、私の遠見が全くきかない……タケミナカタノカミの位置も毘沙門天の動きも……敵がどこにいるのかも…

          白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語6 タケミカヅチノカミに会い謎が徐々に明らかになりし話

          白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語5 鹿島神宮に至りしが、敵味方混在して事態が混迷せし話

          とまどうわたくしに、毘沙門天は静かな声音でお答えになりました。 「いいや、おまえと遣いの男が会ったのは、おまえの神社で一度だけだ。それ以前には会っていない。あの男がなぜおまえを助けようとしているのかは今は話せぬが、鹿島へ着けばわかるだろう」 考え込んでしまいました。 あの遣いの男は、鹿島にいる「お頭」の手下に間違いありません。 それなのに、その「お頭」や仲間を裏切ってまで、わたくしを助けてくれたのです。 わからないことばかりでございます。 わたくしは、本当に「お頭

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          白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語4 ついに謎の敵と遭遇し、さらに謎が深まりし話

          きょろきょろとあちこちを確かめるように見ています。 もちろん問いかけられましても、わたくしにはわかりませんが……。 「違う場所に来てしまったのですか?」 (きっと自信満々で、『誰に言っている!』とか答えるのでしょうね) ところが予想に反して、太郎坊は堅い声音になりました。 「妙だ。海の景色と陸の景色が違っている」 わたくしはあわてて両方を見比べましたが、特に変わったことはありません。 「どちらもちゃんと人間の世界ですが……」 「そうだ。だが東海道のこの宿では海

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          白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語 3  親しき女神たちの助けを得て鹿島を目指す話

          〝神の道〟ではありません。 日の本の人間の住まう場所のようです。 辺りを見回しました。 山々があり、あちこちに木立もありますが、見たことのない場所です。 もちろんわたくしが知っているのは、因幡と伯耆と出雲、奈良の三輪山、信濃国の諏訪くらいですから、知らない土地のほうが多いのです。 「どこかに社はないでしょうか? そこの神に会えれば、ここがどこなのかわかるのですが……」 全国のほとんどの神々とは毎年出雲で会っておりますので、顔見知りです。 どなたかにお会いできれば

          白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語 3  親しき女神たちの助けを得て鹿島を目指す話

          白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語 2白兎神、鹿島の謎に挑まんとし謎の敵に遭遇せし話

          オオモノヌシノカミ(大物主神)が、嫌そうな表情をなさいました。 「あのさあ、オオクニヌシノミコト(大国主命)は天孫に国を譲って引退したんだよ。今は政治上は人間の将軍が治めているけれど、国土そのものをゆるがすような事柄が起きれば神々の出番だ。実質上のこの国の支配者は、高天原の神々とその子孫である帝だよね。どうして、そっちへ行かないの? こっちはおとなしく国を譲ったんだから、高天原側も責任を持って処理してほしいんだけど」 むっとしておいでなのは、密かに国譲りの恨みをいまだにお

          白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語 2白兎神、鹿島の謎に挑まんとし謎の敵に遭遇せし話

          白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語1 鹿島より因幡へ使者が来たりし話

          お久しゅうございます。 白兎神社の白兎大明神、シロナガミミノミコトです。 覚えていらっしゃいますか? 先日はわたくしがどのようないきさつで神となりこの神社に鎮座したかをお話しいたしました。 その後はつつがなく暮らして現在に至る、とは申せません。 いろんなことがありました。 特に江戸時代に起きた大事件は、今でも忘れることができません。 今日はそのお話をしましょう。 お茶や珈琲など用意して、くつろいでお聞きください。 江戸時代に入って、どのくらいたった頃でしたか

          白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語1 鹿島より因幡へ使者が来たりし話

          ウサギ神シリーズ第二弾のお知らせ

          明日から『白兎神、大いなる陰謀に巻き込まれ日の本を救いし物語』の連載を開始します。 全5話。 前作『因幡の白兎、神となり社に鎮座するまでの物語』に続く江戸時代のエピソード。 白兎神社でのどかに暮らすウサギ神シロナガミミノミコトに風の精霊が手紙を届けにやってきます。 鹿島神宮に鎮座するタケミカヅチノカミから意外な依頼をされてとまどいつつも、鹿島へ旅立ちます。 すでに高天原、根の堅洲国では大きな異変が起こり、人間界である日の本に原因が。 謎の敵に襲われつつ鹿島を目指す

          ウサギ神シリーズ第二弾のお知らせ

          物語の舞台を一部ご紹介

          『因幡の白兎、神となり社に鎮座するまでの物語』をすべて公開しました。 ワニザメに皮を剥がれ、オオクニヌシノミコトに助けられた白兎がどのように神になったのか? 『古事記』には無い部分を想像して、神々とのドタバタを紡いだウサギ神一代記。 少しネタバレも含みますが、私が実際に訪れた神社の写真で物語の雰囲気をお伝えしましょう(^_^) オオクニヌシノミコトに助けられた白兎、自分の身に次々に変なことが起こりショックで寝込んでしまいます。 そこへ呼び出しをかけたのがオオクニヌシ

          物語の舞台を一部ご紹介