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うさぎのカノープスは、大きな森で暮らしていました。 天敵はいないし、他の動物とはみんな…
「うわあ~、広いな~!」 森の外へ出たカノープスは、目をまん丸にして見回しました。 そこ…
「ふう~、走っても走っても緑が続いているよ~」 遊び疲れたカノープスは、やわらかい草の…
近づくと、長いグレーの毛のかなり高齢な雌ウサギだとわかりました。 カノープスは、お行儀…
デネブの問いに、カノープスは森から初めて出たこと、草原を走ってきたことを話しました。 …
カノープスは、デネブおねえさまに教えられた方向へ全速力で走りました。 すぐに草原は終わ…
「うわあ~、本当に砂がいっぱいあって、お水が動いている~!」 カノープスは、腰を抜かさんばかりに驚きました。 デネブがバカンスに来ては、砂浜に寝そべって、波の音を聞きながらくつろいでいると話してくれましたが、カノープスは半信半疑だったのです。 「そんなにいっぱい砂があるのかな? お水がひっきりなしに動くなんて信じられない」 もしかしたらデネブにからかわれたのかも、という疑いは一気に消えてしまい、心の中で謝りました。 「ごめんなさい、デネブおねえさま。海って、すごいです」
砂浜で転がったり、波と追いかけっこをしているうちに、陽が暮れました。 「どこかで泊まっ…
「地元のうさぎさんがそう言うなら、見たいな」 カノープスの答えに、短毛のウサギはにっこ…
「ほら、見てごらん」 月兎のドルチェに示されたのは、海でした。 子供を乗せた黒白の大きな…
夜なのに、辺りがほんのり明るくなってきました。 他のシャチも泳いできます。 天へ昇るシャ…
海の精霊と遊んでいたシャチが海から飛び出し、そのまま夜の空へゆっくりと泳ぎながら飛んで…
夜空の中を、海を通り越し、草原や森の上へとシャチは泳ぐように進み、やがて夜空にシャチの…
カノープスは大きく目を見開き、すべてを見届けてから、はっとしました。 もうドルチェも海の精もおらず、カノープスは1匹で夜の浜辺に立っていたのです。 でも、少しも寂しくありません。 あまりにも素晴らしい出会いと体験がカノープスの全身全霊を包み込み、胸の中が感動でいっぱいになっています。 「朝になったら森へ帰って、みんなに話そうっと」 白み始めた夜空を、カノープスはいつまでもいつまでも見上げていたのでした。