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カノープスの冒険 10

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「ほら、見てごらん」
月兎のドルチェに示されたのは、海でした。
子供を乗せた黒白の大きな姿があります。
カノープスは、森に来る鳥たちから聞いていたので、すぐにその動物がわかりました。
「人間がシャチに乗って、大丈夫なの?」
心配そうなカノープスに、ドルチェは親切に教えてくれました。
「あの子は人間の姿をしているけど、海の精霊。まもなく、あのシャチが天に昇るからお別れに来たんだよ」
「え?」
「うさぎは死ぬとお月様へ帰るけど、シャチは天に昇って、小さな星の一つになる。今夜はめったにない、シャチが天に昇る日だから、その姿が見やすいように、下界へ下りてきたんだ。君はラッキーだよ。下界のウサギはほとんどが見ることができないんだから」
カノープスは嬉しくなりました。

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