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『脳を鍛えてブッダになる52の方法』は、苦しみの矢を抜くための実用的な一冊。

脳を鍛えてブッダになる52の方法』(リック・ハンソン著 サンガ文庫)は、前回ご紹介いたしました『ブッダの脳』よりも実用的な一冊です。

「自分の味方になる」
「良いものを取り込む」
「自分を許す」
「できることをする」
「自分の気質を誇りに思う」
「自ら矢を放たない」
「反応しても反抗はしない」
「もっと安心する」

など、広い意味でブッダの脳を育むための52の方法が紹介されています。


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 ここに書かれているのは、日常的に行うことができる簡単な実践法です。それは主に心の中で行います。安心感、自尊心、回復力、実効性、幸福、洞察、心の安らぎといったものを支え、それを高めます。内容の例をあげると、「良いものを取り込む」「脳を守る」「もっと安心する」「完璧でないことに対する不安を和らげる」「知らないままにする」「自分の手を楽しむ」「非難する」「心の穴を埋める」といった具合です。

 どの実践法、一見簡単そうに見えるため、あまり効果がないのではないかと思われるかもしれません。しかし、神経は経験によって変わっていくという性質を持っています。実践を続けることであなたの脳は徐々に変わっていきます。

(『脳を鍛えてブッダになる52の方法 Just One Thing :神経心理学によるブッダの智恵をもたらす脳トレーニング』 リック・ハンソン著 影山幸雄 訳 サンガ文庫 13‐14頁)


 実践は、基本的に心という庭の雑草を引き抜き、そこに花を植える作業です。脳でも同じことが起こります。庭がきれいになるだけでなく、あなたの庭師としての力量もあがります。上手に注意を向け、明晰に考え、感情を抑え、モチベーションを高め、回復力をつけ、人生というローラーコースターを巧みに乗りこなせるようになります。

(同 18頁)


ちなみに副題は「Just One Thing :神経心理学によるブッダの智恵をもたらす脳トレーニング」となっておりますが、心の安らぎを得るために大事なのは、同時に、もしくは一度にあれもこれもやろうとせず、「たったひとつのこと」や「一度にひとつ」を心がけることだと思われます。

 大事なのは粘り強く実践を続けることです。ですから、大事な実践法を1度にひとつだけ選び、それに集中して取り組むのが賢明です。忙しくて煩雑な現代生活においては1度に「たったひとつのこと」に心を向けるのが最善の策と思われます。

(『脳を鍛えてブッダになる52の方法』 21頁)


なお、この『脳を鍛えてブッダになる52の方法』のなかでは、お釈迦さまの教えについてはほとんど書かれていませんので、原始仏教についての一般的な知識があり、さらに見識を深めたいという方には勧められません。

しかしながら、日頃からの実践の積み重ねによって、脳と心にアプローチすることに主眼が置かれていますので、脳と心の関係に興味があり、難しい理論や議論よりも先に、苦しみの矢をとりあえず抜くことに関心がある方には、オススメの一冊です。

(ちなみに現在、株式会社サンガの本は事情により新刊で手に取ることが難しくなっていますので、書店に在庫がない場合、気になる方は、図書館で探してみてください。)


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 心と脳は互いに影響し合います。脳が変われば心は変わります。心が変われば脳も変わります。何に注意を向けるか、何を考えるか、どのように感じるか、何を欲しがるか、物事に対する自分の反応をどう扱うか、など全ての活動が多角的に脳に刻み込まれていきます。

(『脳を鍛えてブッダになる52の方法』 14頁)
 突き詰めて言えば、実践とは自分を変える作業です。大ざっぱな言い方ですが、欲、怒り、心の痛み、妄想などの根を徐々に引き抜き、満足、安らぎ、慈愛、明晰さといった良い資質で置き換えます。実践を進めると自分自身の内側を変えているように感じるかもしれません。あるいは、高潔さ、愛に満ちた心など前からずっと自分の中にあった素晴らしい資質を表に引き出していると感じるかもしれません。

 いずれにしても、あなたは実践により「ブッダ脳」を育てていることになります。苦しみの原因と苦しみの終わりを深く理解する脳です。「ブッダ」の根源的な意味は「知ること」「目覚めること」です(ここでは仏教の偉大な師であるブッダその人を指しているわけではありません)。

(『脳を鍛えてブッダになる52の方法』 19頁)


『脳を鍛えてブッダになる52の方法 Just One Thing :神経心理学によるブッダの智恵をもたらす脳トレーニング』 目次

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第1部 自分と仲良くする(自分の味方になる/ 良いものを取り込む/ 自分に同情する/ リラックスする/ 自分の良いところを見つける ほか)

第2部 人生を楽しむ(楽しく過ごす/ 「はい」と言う/ もっと休みをとる/ 喜ぶ/ 信じる ほか)

第3部 力を蓄える(力を見出す/ 気づく/ 耐える/ 謙遜を楽しむ/ 一時停止する ほか)

第4部 世間との関わりを持つ(好奇心を持つ/ 自分の手を楽しむ/ 知らないままにする/ できることをする/ 自分の影響力の限界を知る ほか)

第5部 心安らぐ(今何の問題もないことに気づく/ 自分の気質を誇りに思う/ 自分の心の中の子供(インナーチャイルド)を愛する/ 自ら矢を放たない/ 完璧でないことに対する不安を和らげる ほか)



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