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ミトコンドリアを増やす運動が、無理のないアンチエイジング&老化予防につながる。

昨年末、『はちみつ・ミトコンドリア・腸健康法』というKindle本を出版したことをお知らせしましたが、自然な老いを受け容れつつも、余計な老化を防ぐという意味での「健康的なアンチエイジング」を実現するには、ミトコンドリアを活性化することが大切だと思われます。

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<人生100年時代>といわれるようになった昨今、「健康長寿」や「アンチエイジング」について考えるためには、実は細胞内の「ミトコンドリア」の存在は避けて通ることができません。

その理由は、大ざっぱにいえば、体の老化とはフリーラジカルが与えるミトコンドリアへの影響だと言えるからです。

そのため、いつまでも若々しく生きるための<アンチエイジング>を実現するためには、ミトコンドリアを元気にするための活性酸素・フリーラジカル対策が必要不可欠なのです。

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では、ミトコンドリアとアンチエイジングは具体的にどのように関わっているのでしょうか?

例えば、医学博士の日置正人氏は『ミトコンドリア不老術』のなかで、以下のように述べています。

 アンチエイジングとはある意味、生命を維持し続けることですから、生命維持のためにはできる限りエネルギーを獲得し続けなければなりません。自動車ならガス欠でも止まってしまうだけで、まだガソリンを補給すればすぐにでも動くことができます。しかし私たちの細胞は、エネルギーが途絶えるとすぐに死んでしまうのです。

 そのためエネルギーが途切れないような仕組みが細胞には備わっています。

 それが解糖と呼吸です。私たちはこの2つの異なった方法でエネルギーを獲得しています。なかでも大量のエネルギーを得ることができる呼吸は、エネルギーを獲得し続けるには最適の方法です。そしてこの呼吸をおこなっているところが細胞質にあるミトコンドリアなのです。

(日置正人『ミトコンドリア不老術』p26~27)


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またミトコンドリアとフリーラジカルの関係については、『身体革命 世界最先端のアンチエイジングの法則』のなかで著者の根来秀行氏が、

ミトコンドリアからは自然の営みの中で、活性酸素、つまりフリーラジカルが発生します。このフリーラジカルは、何とミトコンドリア自身をも攻撃してしまうのです。年を重ねると、ミトコンドリアから産生されるフリーラジカルが増加し、そのフリーラジカルは同じ細胞だけでなく、周辺の細胞へと行きわたり、細胞機能全体に悪影響を及ぼすことになります。まさに悪循環です。

 そして、ついに耐え切れなくなった細胞は死んでしまい、脱落してしまいます。こうして徐々に細胞が脱落することが老化の原因となるのです。

(根来秀行『身体革命 世界最先端のアンチエイジングの法則』p28~29)

とし、さらに、

「過度な運動を続けたり、過食を続けたりすることは、大量のエネルギーを必要とするため、ミトコンドリアをフルに稼働させることになってしまいます。その分、同時に大量のフリーラジカルも産生され、体を老化させる方向に向かわせてしまうわけです。運動のし過ぎは体に悪いとか、食事は腹八分目が体には良い、といわれるのはこのためなのです」

と述べています。


つまり、余計な体の老化を防ぎ、いつまでも健康で元気に長生きするという意味での本当の「アンチエイジング」を実現するためには、心理的なストレスや過食、運動のしすぎなどによって大量の活性酸素・フリーラジカルが産生されるのを避け、細胞内のミトコンドリアを大切にしたり、元気にしたりするような生活習慣が大切になってくるのです。


なぜアンチエイジングのためには「運動」が必要なのか?

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しかし活性酸素やフリーラジカルを大量に発生させてしまうという理由から運動をほとんど行わなければ、このこともまた老化を加速させてしまいますので、ミトコンドリアを増やしてアンチエイジングを実現するためには、適度な運動を習慣として実践することが必要になります。

このことに関して、たとえばミトコンドリア研究の第一人者として知られている太田成男氏の『体が若くなる技術』のなかでは、

 私たちの体は、エネルギーを溜めておくことができません。必要に応じて、その都度つくっています。

 ですから、いつでもたくさんエネルギーをつくれる健康な体でいるためには、コンスタントに運動して、「これくらいのエネルギーがいつも必要です」と、体にオーダーをかけることが必要なのです。

 疲れるから、体力がないからと、体を休めてばかりいると、ミトコンドリアが極端に減り、エネルギーのつくれない「老いた体」になってしまいます。

 そうすると「老いと不健康の悪循環」に陥ります。

(中略)

 しかし、ミトコンドリアの量と質を高める生活を意識しさえすれば、潤沢なエネルギーが体に生まれ、老化を防止するだけでなく、代謝も活発になり、体の機能は向上します。また、肌も若くきれいな状態になるなど、まさに「若さと健康のいい循環」を生むのです。

(太田成男『体が若くなる技術』 p38~40)

と述べられています。


このように、いつまでも若々しく、健康的に生きるための「アンチエイジング」を実現するためには、適度な運動によってミトコンドリアを増やすことでエネルギーを余分に作り出すことで、フリーラジカル対策を行うことが必要不可欠なのです。


鳥類はフリーラジカルの漏出が少ない。

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ちなみに、ネズミのように素早く動き、心臓の鼓動が早い動物は寿命が短いですが、カメやゾウのようにゆっくりと動く動物は寿命が長いとされています。

しかし鳥類はゆっくりと動いているわけではないのに、体のサイズから考えると非常に長寿です。その理由には、鳥類のミトコンドリアからは非常に多くのエネルギーが作られ、フリーラジカルの漏出が少ないからであるといいます。


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鳥類では、代謝率や脱共役の度合いが同等の哺乳類に比べ、安静時にも余力が維持される。要するに、ほかのすべてが等しくても、鳥類は哺乳類より多くの余力をもち、そのため漏れ出すフリーラジカルは少ないのである。そして漏れ出すフリーラジカルが少ないから、長生きするのだ。

(『ミトコンドリアが進化を決めた』 ニック・レーン 著 斉藤隆央 訳 435頁)


すなわち、ミトコンドリアが生み出すエネルギーに余力があればあるほど、フリーラジカルによる害は少ないと考えられるのです。


このことに関して、たとえば『ミトコンドリア不老術』のなかで医師の日置正人氏は、

「エネルギー不足が老化の最大の原因」ですから、老化を遅らせるにはエネルギーをたくさん生産させればよい。でもエネルギーは蓄積できないので、常に必要に応じて生産させる必要がある。それをフォローするのがミトコンドリアを使った有酸素活動です。

と述べています。


ミトコンドリアを運動によって増やすにはマグロトレーニングが有効であるということは、ミトコンドリアを増やすための方法の記事で述べましたが、ミトコンドリアがより多く存在するのは、瞬発力を出す時に使われる速筋(白筋)ではなく、持久力を必要とする運動時に使われる「遅筋」(赤筋)です。


したがって日置氏は、運動のなかでも、「体からエネルギーがなくなるような激しいマラソン」よりも「ウォーキング」を、さらに、辛いポーズを維持することで遅筋・インナーマッスルを鍛えることが出来る「ヨガ」を勧めています。

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 インナーマッスルに有酸素活動をさせるヨガは、アンチエイジングにとって最適の有酸素活動といえます。

 動きが少ないとどうも運動をした気になれませんが、筋肉が収縮し続けることはものすごい運動量になるはずです。それでも有酸素活動は乳酸を作りもためもしませんから、疲れることもあまりありません。疲れるということはミトコンドリアを作り出すエネルギーがまだまだ少ないということです、酸素も足りないのかもしれません。しかし鍛えることは可能です。マラソンなどの有酸素運動をしていると、今までしんどかった距離がなんともなくなっていることはよく経験されることです。

(日置正人『ミトコンドリア不老術』 133‐134頁)


抗酸化サプリメントはアンチエイジングのために必要なのか?

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このように健康長寿のための<アンチエイジング>を実現するためには、ミトコンドリアによってエネルギーを作り出すための「運動」がフリーラジカル対策のために必要不可欠なのです。

ところで一般的には、野菜や果物に多く含まれる、ビタミンCやビタミンEなどの栄養素や、アントシアニンやレスベラトロールといったポリフェノール類には、活性酸素/フリーラジカルの害を抑える「抗酸化作用」があるとされており、健康情報を扱ったテレビ番組や書籍では、活性酸素やフリーラジカルによる老化の害を減らすために、抗酸化物質が含まれたサプリメントを摂取することが推奨されることがあります。

しかし果たして抗酸化物質をサプリメントから摂ることは、アンチエイジングのために有効なのでしょうか?

実は「老い」を気にするあまり、健康や美容のためにサプリメントなどからビタミンCやポリフェノール類などの「抗酸化物質」を摂り過ぎることは禁物なのかもしれないのです。

というのは、抗酸化物質をとりすぎてしまうと、フリーラジカルの漏出が引き金になって起きる「アポトーシス」(プログラム細胞死)の妨げになる可能性が出てくるからです。

このアポトーシスとは、簡単に説明すると、遺伝子に組み込まれた細胞の自然な死に方(自滅システム・プログラム細胞死)のことです。

細胞はアポトーシスを起こすと細胞の形が丸くなり、次第に凝縮していき、最終的に「アポトーシス小胞」と呼ばれる小型の構造に分解され、マクロファージ(免疫細胞)に食べられます。

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このアポトーシスという不必要な細胞を除去するシステムによって、私たちはがんなどの病気から守られているのですが、このアポトーシスの命令に実は、ミトコンドリアが関わっているのです。

アポトーシスという複雑な仕組みのコントロールは、細胞核が行なっていると考えられてきましたが、近年、ミトコンドリアが、このアポトーシスの中心的な役割を果たしていることが判明してきたのです(たとえばミトコンドリア内部の呼吸鎖にあるシトクロムCの関与)。

ちなみに「アポトーシス」の他にもう一つ、細胞死として知られているのに「ネクローシス」があります。こちらは、日本語では「壊死」と呼ばれ、細菌感染や外傷などの外的要因によって生じることが多く、体内で炎症も伴います。

しかし「アポトーシス」の方は、いわば「クリーン」な細胞除去の仕組みであり、そのアポトーシスがきちんと行われるために、実はフリーラジカルがシグナルとしての役割を果たしているといわれているのです。


健康長寿/アンチエイジングのために必要なのは、適度な運動の実践。

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たとえば『ミトコンドリアが進化を決めた』の著者であるニック・レーン氏が、『生命、エネルギー、進化』のなかで、

「抗酸化物質のサプリメントを大量に摂取すると、ある程度だが確実にリスクがある。抗酸化物質のサプリメントを飲むと、早死にする可能性が高まるのだ」

と述べています。

その一方で、「食事が粗末だったりビタミンが不足したりしていたら、抗酸化物質のサプリメントを飲むのは良いことですらある」ともしていますが、

「バランスのとれた食事(酸化促進剤も抗酸化物質も含む)に加えて抗酸化物質のサプリメントを詰め込むのは、逆効果だ」

とも述べており、フリーラジカルによる老化を防ぐために、必要以上に抗酸化物質のサプリメントを大量摂取することに対しては疑問を呈しています。

抗酸化物質のサプリメントを大量に摂取すると、ある程度だが確実にリスクがある。抗酸化物質のサプリメントを飲むと、早死にする可能性が高まるのだ。多くの長命な動物には、組織に含まれる抗酸化酵素が少なく、短命な動物には、それがはるかに多い。不思議なことに、酸化促進剤は、実は動物の寿命を延ばしうるのである。

(ニック・レーン『生命、エネルギー、進化』 斉藤隆央 訳 みすず書房 309頁)

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私自身も、野菜や果物をほとんど摂らずインスタント・ラーメンなどの加工食品ばかりを食べる食生活を送っているのであれば、ビタミンCやポリフェノールといった抗酸化物質が含まれたサプリメントを摂ることは有効かもしれませんが、普段から栄養バランスの良い食事が出来ていれば、あえて老化を防ぐために抗酸化物質を摂る必要はないと考えます。


すなわち、抗酸化物質のサプリメントは補助的な役割を果たすものだと捉え、健康や美容のために摂り過ぎないことが大切になってくるのであり、健康的なアンチエイジングのためにより必要になってくるのは、栄養バランスの良い食事を摂るとともに、ミトコンドリアを増やすための適度な運動を実践することなのだと思われるのです。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます(^^♪


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