なぜ森林浴×マインドフルネスの健康効果がストレスによる慢性炎症・生活習慣病を防ぐのか?
毎日の不安や心配事による慢性的なストレスを減らすために、森林浴×マインドフルネスを日々のセルフケア習慣として始めてみませんか?
今回は、なぜ森林浴×マインドフルネスの健康効果がストレスによる慢性炎症・生活習慣病を防ぐのか、ということについてです。
先日、Kindle本『森林浴×マインドフルネスでこれからの健康管理 ストレス・慢性炎症・生活習慣病を防ぐためのセルフケア習慣』を、出版致しましたことをお知らせしましたが、森林浴×マインドフルネスの実践は、ストレスを解消することで、慢性炎症による生活習慣病を防ぐのに効果的だと思われるのです。
近年、緑を楽しむ「森林浴」や「森林セラピー」は、ストレス解消やリラックス目的など、ヘルスケアはもちろんのこと、森という場が人材育成のために利用されるなど、ビジネスでの分野でも注目されています。
森林浴の良いところは、ただその場にいるだけで、気持ちが安らぐということであり、ただ自然のなかでたたずむだけで、穏やかな気持ちになり、どういうわけか心身をむしばむストレスが消えていくのです。
さらに、世界からも注目されている日本の森林浴(shinrin‐yoku)と、ここ数年の間に話題になっているマインドフルネスをうまく組み合わせることも、ストレスの軽減に非常に効果的だと思われます。
ストレスによる慢性炎症と、生活習慣病の関係とは?
日ごろから何となくイライラして怒りやすかったり、お金のことで不安になったり、気持ちが落ち着かずザワザワしたりするといった、未来への不安や過去への後悔、幼少時からの心の傷などによって、精神的なストレスが続くと、うつ病、肥満、がん、アルツハイマー病といった様々な病気や生活習慣病の原因になってしまうことが考えられます。
一般的に生活習慣病の原因には、食生活の偏りや運動不足など、文字通り「生活習慣」が関係しているとされていますが、生活習慣病の多くには、実は「慢性炎症」が関わっていることが判明してきています(注1)。
そもそも「炎症」とは、皮膚が赤くなったり腫れたりするなど(発赤、腫脹、熱感、疼痛)、生体が傷害を受けた際に起こる免疫反応のことで、からだのなかの異常状態に対する防御反応です。
簡単に言えば、炎症とは体内で起きる火事のようなものなのですが、免疫系が正常に働けば、傷ついた細胞は修復され、生体は元の状態に戻っていきます。
このような一過性の炎症は「急性炎症」と呼ばれていますが、一方、なかなか自覚することなく、だらだらと続く「慢性炎症」というものもあります(注2)。
たとえば、医学博士であり前北里大学の教授でもある熊沢義雄氏は、「問題なのは、「炎症を起こしている」という自覚症状が比較的少ないにもかかわらず、長年にわたって体内で起き続けているタイプの慢性炎症」であると述べています(注3)。
では、長く続いてしまうこの「慢性炎症」の何が問題なのかといえば、このことに関しては、たとえば「炎症の悪影響が局所にとどまらずに全身に広がっていくこと」や「炎症を起こしている組織の性状や形態が次第に変わり、ついにはその組織の機能が低下してくること」などが挙げられています(注4)。
つまり、慢性炎症が続いてしまうと、そのぶん、体の組織は通常よりも早く傷んでしまうのです。
そしてそのことが、組織の老化を早めるだけではなく、がんや認知症、肥満症、糖尿病といった様々な病気を引き起こす原因にもなるのです。
では、慢性炎症が引き起こされる要因は何かといえば、「からだに悪影響を及ぼす異物」であり、主にストレス、電磁波、紫外線、活性酸素、食品添加物、化学物質、細菌などが考えられます(注5)。
すなわち、生体にとっての異物や不要物など、様々な物質が体内に入り込むことによって、気づかないところで炎症が起き続けていると考えられるのです。
それでは、慢性炎症の引き金になる物質はどこから入り込むのでしょうか?
その答えはやはり生活環境や日々の食生活からだといえます。
便利な文明社会や都市生活と引き換えに、蔓延する様々な化学物質に対して、免疫反応が起きるようになってしまったのです。
また「テクノストレス」や「キラーストレス」と呼ばれるような、情報社会や現代社会特有のストレスも、慢性炎症の要因になると考えられます。
したがって、マインドフルネス瞑想と森林浴を組み合わせることによって、ストレスを軽減したり、運動不足を解消したりすることを、慢性炎症を防ぐという目的で行っていくことは、これからますます増えていくであろう「生活習慣病」の予防対策として、大変重要になってくると考えられます。
ストレスがなぜ慢性炎症を引き起こすのか?
先ほど生活習慣病を引き起こす「慢性炎症」について述べましたが、この「慢性炎症」が起きる要因は、先述した通り、化学物質をはじめとした、免疫が反応してしまうような様々な異物であると考えられます。
ところが問題なのは、実際に体内で慢性炎症が起きていることに気づくのは難しく、その原因を個人で特定するのも困難であるという点です。
しかしながら、慢性炎症の原因を特定することは難しいとしても、大ざっぱに「ストレス」であると捉えることで、慢性炎症を防いだりやわらげたりすることは可能であるように思うのです。
というのは、人間関係や親子関係などによる精神的なものであれ、大気汚染や電磁波といった環境によるものであれ、生体にとって負荷がかかり、生命にとって危険だと感じられるようなものは、どれもある意味「ストレス」になるからです。
ストレスの要因には、心理的なものだけではなく、化学物質、食べ物に含まれる食品添加物、電磁波、気温、近年の気候変動など、生活環境における様々な種類のものが考えられますが、不調の犯人さがしをしたところで、個人でその原因を特定するのはなかなか難しいのです。
つまり、もし何らかの不調を抱えていた場合に、今より少しでも健康になるためには、自分がいる環境そのものを変えてみることが必要になってくるのです。
特に大都市での生活は便利で快適であるかもしれませんが、そのことと引き換えに、人のからだの進化という観点からは、気づかないうちに様々なひずみが生じているようにも思えます。
心身のなんとなくの不調と「文明病」の関係。
つまり様々なからだやこころの不調の原因は、都市生活では当たり前になっているライフスタイルにあるかもしれず、すなわち、六〇〇万年前の狩猟採集時代には考えられなかった生活環境の変化が、「文明病」とも言うべき事態を引き起こしているとも考えられるのです。
たとえば、2018年に出版されて話題になった、鈴木祐氏の『最高の体調』のなかでは、「文明病を引き起こすひとつめの要素が「炎症」」であることが指摘されています。
また、森林浴の研究に長年取り組んでおられる宮崎良文教授は、『森林浴はなぜ体にいいか』のなかで、
五〇〇万年にわたる人類の歴史の九九・九九パーセント以上を、人は自然環境下で過ごしてきた。我々は自然環境下で、進化という過程を経て、現代文明下に住む今の人となったのである。人の体が自然対応用にできていると考えられている由縁である。
と述べていますが、通勤のための移動には、必ず自動車や電車を使い、勤務中はほとんどパソコンの前で座って過ごし、家ではテレビやインターネットを利用して、ドラマや映画、動画などを楽しむのが日課である場合は、ほとんど歩く機会がありません。
(ちなみに、初めてnoteに書いたのは、「ヒトは歩かなければならない」ということでした。)
また、普通に生活していても、加工食品に含まれる食品添加物や洗剤などに含まれる化学物質、重金属など、知らない間に私たちの体内に有害な物質が入り込んでいることは十分考えられます。
さらに、電磁波による健康被害は日本ではほとんど問題にされませんが、特に2020年以降に社会に浸透し始める次世代通信規格「5G」が人体に及ぼす影響も懸念されます。
ほかにも、生活するためだとはいっても、仕事にやりがいを感じられず、速さと効率ばかりが常に求められ、長時間頑張り続けることや我慢し続けることを誰かから強いられてしまえば、よほどタフでメンタルが強い人でない限り、そのことは大きな精神的ストレスになってしまいます。
ストレスを減らすためには環境そのものを変えてみる。
そして、環境によるものであれ心理的なものであれ、もし自分が毎日生活するなかで、何となくストレスを感じることが多いというのであれば、時々、自然の中に数時間身を置くことで、環境そのものを変えてみるのが有効なのです。
特に欧米では子供を自然の中で遊ばせないことによる「自然欠乏症候群」が問題になっていますが、毎日ほとんど自然に触れる習慣がないという方は、まずは月に5時間程度、森林浴によって自然と接する機会をもってみるのがオススメです。
私自身、自然のなかをぶらぶらと歩く森林浴を実践するだけでも、日ごろのストレスは減っていって気分が爽快になるのを実感しているのですが、同時に、過去や未来ではなく、「今・ここ」に意識を集中させるマインドフルネス瞑想を実践すると、さらにストレスの解消に効果的であると考えています。
今回は、なぜ森林浴×マインドフルネスの健康効果がストレスによる慢性炎症・生活習慣病を防ぐのか、ということについて述べましたが、森林浴×マインドフルネスは、お金をそれほどかけずにできる、ストレスを減らすためのセルフケア習慣としてとってもオススメです。
森林浴の楽しみ方は人それぞれであり、最初は散歩の延長として近くの公園やお寺などから始めてみてもOKです(^^♪
注1 『炎症は万病の元 生活習慣病の真実、医療の現実』 金子義保 著 中央公論新社
注2 同上
注3 『ガン、動脈硬化、糖尿病、老化の根本原因 「慢性炎症」を抑えなさい』 熊沢義雄 著 青春出版社
注4 『免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何か』 宮坂昌之 定岡恵 著 講談社ブルーバックス
注5 注3の前掲書に同じ。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます(^^♪
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