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運動苦手な人が無理なく運動を続けるには❓【これからの免疫力を高める習慣20】

無理なく運動を続けることで、免疫力を高める生き方、始めてみませんか?

前回はストレス緩和のために効果的な運動について述べました。


それでは、運動することが苦手な方が、心と脳の健康目的のために無理なく運動を続けていくにはどうすれば良いでしょうか?

まず挙げられるのが、ハードな運動をするためにトレーニングジムにせっせと通うのではなく、近所を散歩したり、軽くウォーキングしたり自転車をこいだりするなど、最初のハードル設定を低くすることです。

このことは、執筆家のスティーヴン・ガイズ氏が、『小さな習慣』という本のなかで書いているように、筋トレを続けたいなら腕立て伏せ1回から始めるなど、

「最初の目標設定をなるべく小さくする」

ということです。

腕立て伏せを1回であれ、ウォーキングを10分であれ、簡単に目標を達成できれば、それでOKですし、目標達成が簡単すぎてもっと続けたくなる可能性も出てくるのです。


スティーヴン・ガイズ『小さな習慣』
スティーヴン・ガイズ『小さな習慣』 ダイヤモンド社


ちなみに「小さな習慣」とは、スティーヴン・ガイズ氏によれば、

  • 小さな習慣とは、あなたが新たな習慣にしたいと思っている行動を、もっともっと小さい形にしたもの

  • 小さな習慣の基本は、こんなに簡単でいいの? と思うくらいの課題を自分に与え、それをほんのわずかな意志の力を使って実行するというもの

のことです(スティーヴン・ガイズ『小さな習慣』 田口未和 訳 より)。


ほかにも、もしヨガを毎日の習慣として定着させたいならば、最初から難しいポーズにチャレンジするのではなく、簡単なポーズだけをじっくりと行うことなどが挙げられます。

ここで肝心なのは、ずっと座り続けていると体を動かすことが億劫になってくるため、運動のハードル設定を低くすることで、最初の一歩を簡単に踏み出せるようにするということなのです。


もうひとつは、無理なく運動を日々の習慣にする秘訣は、運動を徹底的にするか、全くしないかではなく、日常生活の中に運動を適度に組み込むことです。

このことについては、科学ジャーナリストのキャロライン・ウィリアムズ氏は、前出の『MOVE この自然な動きが脳と体に効く』のなかで、

 生活のなかでする運動を増やすためには、かならずしも現状よりも多くのアクティビティを一日に押し込む必要はない。じゅうぶんに体を動かし、近所を歩きまわるのでもいいし、もしかしたら、少しの庭仕事や家事でもいいかもしれない。

と述べていることが参考になります(1)。

『MOVE この自然な動きが脳と体に効く』

このことは、別の言い方をするならば、一日のうちで、「運動するための時間をきちんと確保しなければならない」といったように、「運動すること自体を目的にしない」ということです。

つまり、「運動」することについて難しく考える必要はなく、たとえば、近くのコンビニエンスストアや郵便局に行く時に乗り物を使わずあえて徒歩で移動するようにしたり、職場ではエレベーターではなく階段を使うようにしたりすることも、立派な運動なのですし、買い物の際に筋トレのつもりで重い荷物を率先して運ぶようにすることもまた然りなのです。

ほかにも日常生活のすきま時間や待ち時間、休憩時間にスマホをいじるのではなく、「ふーっ」と深呼吸をしながらヨガやストレッチを行うことも、運動不足を解消するのに効果的であると考えられます。


なお、運動のなかでも特に、普段、誰もが当たり前のように行っている「ウォーキング」は、脳を鍛えたり、心と体のバランスを整えたりするための運動としてオススメです。

ジョン J.レイティ氏も『脳を鍛えるには運動しかない!』のなかで、

 これまであまり運動してこなかったのであれば、ウォーキングから始めることをお勧めする。エレベーターに乗る代わりに階段を使い、駐車場では遠い場所に車を停め、ランチタイムには近所を散歩しよう。

と述べています(2)。


また英ケント大学准教授であるヴァイバー・クリガン=リード氏は、『サピエンス異変』のなかで、狩猟採集時代の初期ヒト族に比べると、ライフスタイルや労働環境の変化などで現代人は座りっぱなしの時間が増え、代わりに歩く距離が圧倒的に減ったことを指摘しています。

そしてその弊害の一つとして「腰痛」を挙げつつ、「ウォーキング」について以下のように述べていることは傾聴に値します。

 ウォーキングはつねに魔法の特効薬である。何百年も昔に草原で暮らしていた人たちとのつながりを感じ、人間であることのあらゆる側面に効く。脊柱の前湾の負担を減らし、椎間板の健全性を促す。椎間板が分厚くて健全であればあるほど椎間関節は保護されるので、これは重要である。そして何よりも重要な点として、座っていては歩くことはできない。誰でもわかるとおり、長時間じっとしているのはどんな人にとってもよくないことなのだ。

ヴァイバー・クリガン=リード『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』 水谷淳、鍛原多惠子 訳 215頁)


もちろん、ウォーキングは腰痛だけではなく、「うつ」や「認知症」などの予防にもオススメです。


健康維持のための運動については、自分自身の体力に合わせて、自分自身が心地良くなれるような適度な運動を心がけるほうが、結果的に長続きします。

ちなみに運動は体にストレスを与えることであり、「免疫力を高める」という観点からは、運動は体が疲れているのに無理にやりすぎると逆効果になるとも言われていますので、くれぐれも運動のしすぎには注意が必要です。

すなわち、もしある程度の運動を行ったら、その分、きちんと休息を取るようにすることが大切なのです。

きちんと休息を取るようにすることが大切

ここまで運動について述べてきましたが、「免疫力を高める」もしくは「免疫力の低下を防ぐ」ための運動に関しては、徹底的にするか、全くしないか、ではなく、適度な運動を日常生活の中に組み込み、習慣として続けていくことが重要なのです。

そして、何時間も仕事でデスクワークを行ったり、スマートフォンで動画を見続けたりすることが生活様式の一部であるのでしたら、その分、散歩がてらのウォーキングでも構わないので、20~30分程度の有酸素運動を実践し、そのことをずっと続けていくほうが、脳と体の健康維持のためには良いのです。

そしてそのことが免疫力を高める生き方にもつながるのです。


脳のためにどのくらい運動すればいいのかと尋ねられたら、わたしは、まずは健康になることを目指し、自分への挑戦をつづけることが大切だと話している。なにをどのくらいすればいいのかは人それぞれだが、研究が一貫して示しているのは、体が健康になればなるほど、脳はたくましくなり、認知力の面でも、情緒の面でも、よくはたらくようになるということだ。体を快調にすれば、心もそれに従うのだろう。

ジョン J.レイティ『脳を鍛えるには運動しかない』 野中香方子 訳 310頁



注釈

1 『MOVE この自然な動きが脳と体に効く』 キャロライン・ウィリアムズ 著 梅田智世 訳 インターシフト

 生活のなかでする運動を増やすためには、かならずしも現状よりも多くのアクティビティを一日に押し込む必要はない。じゅうぶんに体を動かし、近所を歩きまわるのでもいいし、もしかしたら、少しの庭仕事や家事でもいいかもしれない。ジムで過ごす時間を短くしても、全体としてはもっと大きな効果を得られる可能性がある。さらに、集中力やメンタルヘルスの向上のために瞑想すべきだろうかとくよくよ思い悩むのをやめられるという、おまけの効果まで期待できる。もっと頻繁に体に注意を向けるようになれば、必然的にマインドフルな状態になり、やかましい思考から離れられるからだ。そうなればしめたものだ。それどころか、運動を日々の暮らしの基本的要素のひとつに据えられれば、じっとしていることへの罪悪感を二度と抱かずにすむかもしれない。(252頁)

2 『脳を鍛えるには運動しかない!』 ジョン J.レイティ エリック・ヘイガーマン 著 野中香方子 訳 NHK出版

 これまであまり運動してこなかったのであれば、ウォーキングから始めることをお勧めする。エレベーターに乗る代わりに階段を使い、駐車場では遠い場所に車を停め、ランチタイムには近所を散歩しよう。数十年前からある歩数計と呼ばれる健康器具は、毎日どれだけの距離を歩いたかを計算する助けとなる。それをつけていると、意識しなくても自然に運動が生活の一部になる。(315頁)

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます💛💛💛


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