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【テロメア・ストレス・マインドフルネス】健康長寿のための『テロメア・エフェクト』。

近頃、【人生100年時代】という言葉をよく耳にしますが、今回は<健康長寿>の観点から、『細胞から若返る! テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム』 を取り上げ、テロメアの短縮をもたらす「ストレス」と、その対策にはマインドフルネス瞑想が効果的であるということについて述べていきたいと思います。


近年は必要以上に「ストレス」を溜め込むことは慢性的な炎症を引き起こして生活習慣病の原因になったり、「キラーストレス」となることで命をもおびやかしたりするとして問題になっています。

しかし、生きていくうえで「ストレス」は避けられないものですし、適度のストレスは、私たちの人生に充実感をもたらしてくれたり、成長を促してくれたりすることも確かです。

つまり、ストレスを単純に「良い/悪い」と捉えるのではなく、どのようにして「ストレス」と向き合っていくか、その付き合い方や受け止め方が重要になってくるように思うのです。


この記事でご紹介する、2009年にノーベル生理学・医学賞を受賞したエリザベス・ブラックバーンらによる『細胞から若返る! テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム』(森内 薫 訳 NHK出版 2017年)においては、ストレスに対するテロメアの心得として、


「テロメアを維持するには、小さなことにはこだわらないいっぽうで、有害なストレスには注意すること。有害なストレスとは、長期におよぶ重度なストレスだ。そうしたストレスはテロメラーゼを抑え、テロメアを短くする危険がある。」

「ストレスを消し去ることはできない。だが、ストレスフルな出来事に前向きに対処するように努力すれば、体においても心においても、ストレスへの耐性が高まっていく。」


といったことが述べられていますが、ストレスに対しては、打ち負かされるのではなく、楽観的な思考や、ストレスによる逆境をはねのけるような心持ちが大切になってくるのです。


テロメアとは?

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ちなみに、『テロメア・エフェクト』で語られている「テロメア」とは

「染色体の端に存在する非コードDNAの繰り返し配列」

のことで、このテロメアの長さが私たちの寿命や疾患などに関わっているといいます。


 細胞が分裂するたびにテロメアは短くなる。それが細胞の老化の速度を決定し、さらにそれをもとに細胞の死期が決定される。だが私たちの研究や、世界各地のラボの研究からは、驚くべき発見がもたらされている。染色体の末端は伸びることもある――。その発見が示唆しているのは、老化とは早まったり遅くなったりする動的なプロセスであり、ある面においては逆転すら可能だということだ。老化とは長いあいだ考えられてきたように、病気や衰退へと一直線に滑り落ちる坂道ではない。人間はみな、年はとる。だが、どのように老いるかを大きく左右するのは細胞の健康状態なのだ。

(エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル 著 森内 薫 訳『テロメア・エフェクト』 NHK出版 p19)


あなたのテロメアは、あなたに耳を傾けている。あなたが出した指示を、あなたのテロメアは吸収する。あなたの生き方は、「細胞の老化を速めろ」とテロメアに指示を出してしまう危険もあるのだ。だが、逆のことをも起こりうる。何を食べるか、精神的苦痛にどう対応するか、どのくらい運動をするか、子どものころストレスにさらされたか、隣人をどのくらい信頼し、どのくらい安心して暮らしているか――。テロメアにはこうしたもろもろの要因が影響を与えているらしい。そしてこうした要因が、細胞レベルの早すぎる老化を防いでくれる可能性もある。つまり、長い健康寿命の一つの鍵は、健康な細胞の再生に必要なことをあなたが行なえるかどうかにあるのだ。

(『テロメア・エフェクト』 NHK出版 p20~21)



テロメアとストレスの関係とは?

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そして、そのテロメアを長くしたり短くしたりする要因として、「ストレス」が関係してくるのです。

しかし、少しのストレスならばテロメアを脅かすことはないようですし、先程も述べたように、適度のストレスは私たちに人生を生き抜く力を与えてくれるのも事実です。


ところがストレスが長期的に継続することは、近年、NHK取材班による「キラーストレス」という言葉も知られているように、必ずしもテロメアにとって良い影響を与えるとは言えないようなのです。


 どんな種類のストレスがテロメアの短縮に関連するかについては、すでに証拠がある。テロメアの短縮につながりがあるのは、家庭の長期におよぶ介護や、仕事のストレスによる燃え尽き状態なのだ。そのほかに読者もご想像のとおり、現在のものであれ子ども時代のものであれ、非常に深刻なトラウマもテロメアの損傷に関連することがわかっている。レイプや虐待、家庭内暴力、長期にわたるいじめなどがそれにあたる。

(エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル 著 森内 薫 訳『テロメア・エフェクト』 NHK出版 p103)


また、『テロメア・エフェクト』のなかで、エリザベス・ブラックバーン氏らは、

「ストレスが長く続けば、テロメアは短くなる。長期にわたる心理的に有害な状況からは、できるかぎり抜け出すのが賢明だ」

としています。


しかしながら、ストレスを長く受け続けてきた経験があるからといって、必ずしも、老化が促進され、寿命が短くなると悲観する必要はないようです。


 もちろん、境遇そのものがテロメアを短くするわけではない。問題は、そうした境遇に置かれたときに多くの人が感じるストレス反応であり、そしてここでも「用量」が重要な意味をもつ。一ヵ月程度であればどんなにストレスの高い危機的状況に置かれても、テロメアへの影響を心配する必要はない。テロメアもそこまで脆弱ではない。そうでなければ私たち人間はみな、あっというまにだめになってしまう。

(エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル 著 森内 薫 訳『テロメア・エフェクト』 NHK出版 p103)
 だが、自分ではどうにもならないストレスを抱えて暮らす現代人の多くにとって幸いなことに、話はこれで終わりではない。私たちの研究からは、慢性的なストレスがかならずしもテロメアの損傷にはつながらないことが示されている。被験者の何人かは、テロメアを短くせずに介護の重荷を乗り越えていたのだ。ストレスへの耐性が高いこれらの「外れ値」の存在からは、困難な状況から抜け出せなくてもテロメアを守れることがうかがえる。信じがたいかもしれないが、やり方さえわかれば、ストレスをポジティブな燃料に使うことも可能だ。そしてストレスを、テロメアを守る盾として使うこともできるのだ。

(エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル 著 森内 薫 訳『テロメア・エフェクト』 NHK出版 p104)


特に、「信じがたいかもしれないが、やり方さえわかれば、ストレスをポジティブな燃料に使うことも可能だ。そしてストレスを、テロメアを守る盾として使うこともできるのだ」

とありますが、チャレンジするようにして、ストレスに対する反応を自ら変えることが、テロメアを守ることにもつながるというのです。

すなわち、ストレスによる心身への影響は、自分がストレスをどう受け止めるか、どのように捉えようとするかで、変わってくるのです。


このことに関してエリザベス・ブラックバーン氏らは『テロメア・エフェクト』のなかで、


「ストレスを消し去ることはできない。だが、ストレスフルな出来事に前向きに対処するように努力すれば、体においても心においても、ストレスへの耐性が高まっていく」

「高いストレスのかかる出来事を経験すること自体が問題なのではない。そうした出来事が起こりもしないうちから、脅威を感じてしまうことが問題なのだ」

「ストレスに出会っても、脅威反応をしない人もいる。ストレスをチャレンジ反応で迎え撃つことも可能なのだ」


と述べています。


ストレスからテロメアを守るための方法とは?

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特に「チャレンジ反応」に関しては、

チャレンジ反応が起きているとき、副腎からは適量のコルチゾールが分泌され、体のエネルギーが増す。だが、ストレス反応が起きているとき、副腎からは適量のコルチゾールが分泌され、体のエネルギーが増す。だが、ストレスを引き起こした出来事が終われば、脳はコルチゾールの分泌をすぐにストップする。これは、運動をしたときに経験するのに似た、強くて健全なストレス反応だ。

(エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル 著 森内 薫 訳『テロメア・エフェクト』 NHK出版 p110)

という記述がなされています。


さらに、

「チャレンジ反応は交感神経の活動を高めるので、かならずしもストレス感を減らしてはくれない。だがこれはポジティブな「落ち着きなさ」であって、あなたをもっとパワフルで集中した状態に押し上げる原動力だ」

「チャレンジ反応はけっして、まやかしの活力剤ではない。「ストレスの原因がこんなにたくさん起こるなんて、本当に幸せだ」という過剰にポジティブな態度ともちがう。それは、たとえ今はつらくても、ストレスを自分の目的に合うように形づくれると理解することだ」

としています。


つまりストレスからテロメアを守るための方法とは、ストレスを脅威と見なして怖気づくのではなく、「人生に必須の一部」で避けられないものや試練として捉え、あえて立ち向かうようにすることなのです。

そして、エリザベス・ブラックバーン氏らは、


「打たれ強い思考は、自己受容とマインドフルネスを土台にした新しいセラピーの重要な要素だ。こうした療法は、思考そのものの変更を求めるのではなく、自分の考えとのつきあい方を変える手助けをするのだ」


とし、さらに、「テロメアの心得」として、


「人生の目的意識、楽観、ユニタスク、マインドフルネス、セルフ・コンパッションなどを通じてストレスへの耐性を高めれば、ネガティブな考えや過剰なストレス反応を抑えることができる」


ということを挙げています。


マインドフルネス瞑想はストレス対策として有効な方法のひとつ。

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『テロメア・エフェクト』では、「人生の目的意識、楽観、ユニタスク、マインドフルネス、セルフ・コンパッションなど」が挙げられていますが、このうち、特にマインドフルネス瞑想は、ストレスへの対処法としても有効であるとして、近年、注目を浴びています。

しかしストレス対策として大切なのは、困難な出来事に遭遇した際に、そのことで感じたストレスにのみ込まれ、あれこれぼんやりと考えながらストレス反応を自ら引き延ばすのではなく、呼吸に注意を向けながら、余計な判断を加えず、そのストレスにのまれている自分さえも観察するようにして、冷静に対処することなのです。


もちろん、うまくストレスに向き合って対処できるのであれば、マインドフルネス瞑想だけにこだわる必要はありませんが、ストレスへ対処するための心のトレーニングとして、マインドフルネス瞑想は特に役に立ってくれると思われるのです。


以上今回のnoteでは、『細胞から若返る! テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム』(エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル 著 森内 薫 訳 NHK出版)を取り上げてみましたが、「今・ここ」への気づきの瞑想ともいわれるマインドフルネスは、いわゆる「健康長寿」や、必要以上にカラダの細胞が老化してしまうのを避けるようにするという意味での「アンチエイジング」においても注目なのです。


 困難な出来事が過ぎ去ったあともストレスの悪影響を引き延ばしたいというなら、「考えすぎる」のは最適な方法だ。ストレスのもとになる出来事がとうに終わっていても、それについてくよくよ思い返しているかぎり、ストレスは体に居座り、血圧の上昇や心拍数の増加、コルチゾールの増加などを長期にわたって引き起こし続ける。

(エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル 著 森内 薫 訳『テロメア・エフェクト』 NHK出版 p138)


 ストレスや苦労は避けられない。それは、人生に必須の一部だ。人を愛したり世話したり、ものごとを心配したり危険を冒したりすれば、かならずストレスがともなう。ならば、人生を存分に生きるいっぽうで、自分を細胞を守るために、チャレンジ反応でストレスに対処するしかない。

(エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル 著 森内 薫 訳『テロメア・エフェクト』 NHK出版 p122)


 もし今度、招かざる感情が頭に入りこんできたのに気づいたら、次のことを試してみてほしい。まず目を閉じる。ふつうに呼吸をしながら、呼吸に意識を集める。何かの考えが頭の中に浮かんできたら、目撃者になったつもりでそれを見つめ、去っていくのを穏やかに待つ。頭に浮かんだ考え自体にも、それを思い浮かべてしまった自分自身にも、判断は極力下さない。注意をふたたび呼吸に戻し、息を吸って吐いてという自然な感覚に意識を集中させる。

(エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル 著 森内 薫 訳『テロメア・エフェクト』 NHK出版 p146)



ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

以下はマインドフルネス瞑想に関する有料記事ですが、途中まで無料で読めますので、よろしければご覧ください(^^♪


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