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新卒で未上場ITベンチャーに入っての5年を、匿名でフラットに書いてみる

はじめに

現在、上場しているIT企業に勤務している。
2018年に新卒入社しているので、2022年12月現在で4年半だが、
入社前に半年間インターンをしているので、それを入れると5年になる。

匿名なのをいいことに、出来る限りフラットにこれまでの振り返りを書いてみる。
筆者が特定されそうな部分は、割愛するなどしているのでご了承いただきたい。

・これからベンチャーを目指す人
・ベンチャー業界にいる同年代
・ベンチャー企業が実際どういう感じなのか知ってみたい人
に読んでもらえると嬉しい。
書いていて、終盤尻すぼみになった感はあるので、
「この辺りをもっと聞きたい」などいただければ、喜んで書きたい。


インターンするまで

大学卒業の半年前(2017年10月)、私はメガベンチャーに内定をもらっていた。
2018年4月の新卒入社まで時間があり、インターンをしようと思ったが、
せっかくであれば、入社する会社以外で違った経験をしてみたいと思ってインターン先を探した。

インターン先の候補は、4社あった。
1社に絞る際、自分が求める条件を3つ出して比較表にしたが、結局それを度外視して、「面白そう」という直感的な理由で、選んだのが今の勤務先だった。

インターンしてから

業務に夢中に

実際にインターンをしてみて、率直にすごく楽しかった。
PMO業務や採用業務を任せてもらった。

距離の近い社員とのハイレベルな(だと少なくとも思っていた)ディスカッションや、代表と飲みに行って刺激的なインプットを得る毎日。

彼女(現在の妻)との連絡を怠ってしまい、破局の危機にも陥るほどだった。

入社をしたいと思うように

すっかりインターンに熱中し、
・ビジネスマンとしての前に、人として尊敬できる人と働ける
・ITに近い場所にいたい
と感じ、このインターン先に入社したいと思うようになっていた。
また、構造的な理由で、自分が就活中に欲しかったがトレードオフだと諦めた、ある2つの条件が揃っていると感じた。

ただこれらも、あくまで「面白そう」という感覚への、後付の理由な気もしている。
特に、後述するが採用担当をやっていたので、入社理由/惹かれた理由を聞かれる機会が多かった。

内定を辞退した会社には本当に迷惑をおかけしたと思う。
社会人になって改めて、学生時には見えなかった、かけた迷惑の大きさを感じた。
しかしながら、謝罪に伺った際、社員さん達は理由を聞いて、明るく応援してくれた。
今後何かしらの形で、その会社にも恩返しをしたいと思っている。

入社についての家族の反対

入社を決めるにあたって、家族の反対があった。

元々、一般的な就活をしてメガベンチャーに内定をもらった際にも、
総合商社を始め、大企業もいいのではないか、と話をされた。
自分自身は、大企業の選択肢も考えた上で、そのメガベンチャーを選んでいたので揺れることはなかった。

インターン先への入社を検討し始めた際には、
「メガベンチャーがいい」と言われた。

何度か説明をし、説得を試みたが、終いには資本金の額を話にあげてきて、その会社の危うさを説明してきた。
結局、説得を諦め、入社する4月まで家族との連絡を控えたのだった。物理的に離れていたのが功を奏した。

※今では、家族は、私の選択がよかったと納得してくれている。
  父に至っては、毎日株価をチェックして定期的に連絡をくれている。
  一定、言葉で説明/説得しきれないこともあるもので、行動で示すしかないと学んだ。

入社してから

地獄の週次定例

最初の1年は採用担当として働いた。
まだ30人のベンチャー、1人目の採用担当だった。

基本的には、自ら考え自らオペレーションする。
毎週水曜に採用定例が催され、採用活動の各KPIの状況とKPTを報告し、
フィードバックをもらったり、改善点を議論したりする。

毎週水曜日のこの定例が、地獄に感じた。
役員3名、マネージャー陣3人名、プラス自分。
KPIの目標を、毎週クリアできるわけでもなく、
参加者が納得できる改善案が出せるわけでもない。

そもそも参加者各重役からのプレッシャーもある中、
厳しいフィードバックに、返す言葉がない。
その場を自分がファシリテートするという場だった。
側から見ると、自分が詰められる場を、自分で回す、滑稽な空間だったことだろう。

また、定例ミーティング以外の場でも、いろんなおじさん先輩が口を出してくる。
だいたいみんな「ファネルを見て、歩留まりを解消しろ」と言ってくる。
いや、それは知ってる。ずっとそれを考えている。
その上で、「ここの離脱が多いが施策が当たらない」と話すと、
「それはお前が考えることだ」と。
だったら最初から口を出してくるな。

そんな自分が一番奮い立つのが、毎月の全社会議だった。
代表の話を聞き、上場に向けての各チームの進捗を聞き、
自分の採用がそこに大きく関わっているのだと、仕事の意義を感じ、奮い立たせていた。

そこから得たもの

月並みに美化すると、この経験は今の自分を強くしてくれている。
ビジネスにおけるPDCAを1週間、いや1日毎に回すことが身についた。

この時に、こんな時間をあと40年過ごすのか、と途方に暮れ、
・そもそも自分は何のために働くのだろう
・自分の人生で仕事の意味は何だろう
・そもそも自分の幸せは何だろう
などとも真剣に考えた。

幸福論や心理学の本もたくさん読んだ。
幸福についての仮説を読んでは、自分もこの部分は共感する、この考え方は合わない
といった思考を繰り返す中で、
自分の幸せにつながる要素、大きく2つが見えてきた。
その軸のおかげで、今も頑張れているし、何を大事にすべきか意識できている。
仕事やプライベートで辛いタイミングでも、拠り所として踏ん張り続けられている。

上場を果たす

新卒入社から数年して、会社は上場を果たした。
それまで、資金調達もほとんどせず、時価総額もついておらず、
主観でしか診れなかった会社の将来性が、
時価総額やPERの形で、定量的に評価されるようになったことに興味深さを感じた。

また、その時の会社の一体感や達成感、
SO配布により、社員全員が一定の資産を得られたこと
は、やはりベンチャー業界の良さを感じさせてくれるものだった。

親戚も数名応援してくれて株を買ってくれた。
みんなあまりに興味津々なので、インサイダー取引の基準は何度も読んだ。

上場後

使い古された言葉で、当たり前のことではあるが上場はゴールではない。

1年間の採用業務を離れて、部署を移った後も、
大手企業に常駐して、大手企業の雰囲気/仕組み/人間関係を間近で感じたり、
15人の部署のマネージャーを務めたりした。

5年間を振り返って

当時30人だった会社は、今では200名を超えた。
当時いた30人も数人は辞めているので、社歴で行くとかなりのベテランになっている。

良かったこと

※あくまで生存者バイアスを認識して、一定生存できたパターンとして読んでほしい。
 周りには疲弊している人も、なかなかうまくいっていない人もいる。

人間関係
自分が心から尊敬できる人たちと働き続けられている。
土日や就業後も一緒にいることも多いが、
「会社の人と仕事以外で関わる」というより
「プライベートを共に過ごしたいと思える人と働けている」
という感覚の方が近いと思う。

自分の人生を主体的に生きられている
自分が一緒に過ごしたい人たちと、やりたいことができている。
絶対的な安泰はないが、充実感がある。
市場的に見ても、雇ってくれる会社はたくさんある。

代表や役員に近い位置で高い視座
当事者として会社を考えられている。最近は、経営の本など読んでいても解像度高くピンとくることが多い。
ただ、まだまだ当事者意識が足りなくて、もっと意識も持って欲しいと役員に言われてもいる。

金銭的メリット
SO(ストックオプション)も付与してもらっていて、一定の資産も築けている。
給与も外銀/外コン水準にはないにしても、同世代と比してかなり良い方だと思う。

悪かったこと

その時その時は苦労ばかりだったが、今考えると特に浮かばない。
「なかった」というよりは、あったものを都度解消してきたのだと思う。

抱えている課題や、改善したいことはたくさんある。
ただそれらも、キャリア選択して、悪かったこととはまた違う。

これから

今の会社で頑張っていきたいと思っている。
実際に、他の会社も見たり話を聞いたこともあるが、
やはりここがいいと思えた。

積み重ねって何よりの武器だなと最近思う。

最近ハマっているポケモンのゲームでも、
これまでやったシリーズで自分が育てたポケモン、
戦ったポケモンとの思い出を感じながらプレイしている。

最近、9シーズンあった海外ドラマを最近読み終えた。最後の話は、これまで9シーズンの総決算で圧巻で、2時間のドラマでは表現しきれない厚みを感じた。

これまでの積み重ねを大事にして、これからも積み重ねて生きていきたいと思う。


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