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路地裏のサルサ、ベリーはそのあとで〜summer night dream〜

前編『その男たち、○○につき』の続きです。

はて?

私はなぜこんなところにいるのだろうか…。

”スリランカ”初日の夜ってことで間違いないですよね?

そんな疑問さえ浮かんでくるほどに、暗闇の中で鳴り響く音。

まだ土地勘もなく、ここがどこだかも分からないまま、ついさっき出会ったばかりのロベルタとルーカスに連れられてやってきた暗闇。

木を叩くような音とか、波のような音とか、シャカシャカとか、ズンチャチャとか、しまいには「マンボー!」「ッウ〜〜!」っとな!!

私といえば、ロベルタに手を取られ、サ、サルサを踊っている〜〜!なんでだ〜〜!in スリランカー!

宿からスリーウィラーで15分ほど走ったところに到着。暗闇の中にある建物で何があるかと思えば、サルサダンスのレッスン絶賛開催中!

クラブだと思われるこの場所は、派手さのない一色の青い光だけを放つミラーボールの力で、どうにか人の顔が時折見える。

サルサダンス

ダンスの先生らしき人が、ペアになった我々一同20人ほどの指導をしながら、私たちもそれに合わせて、右に足を出してみたり、左に揺れてみたり、ロベルタに片手を握られたままくるくるくると回ってみたり。

何これ。笑

何してんの私。笑

私の後ろでは、英語の話せないルーカスが、相手の女の人とサルサを踊っている。ダンスに言葉の壁はないってか!やたらとうまい。なんでだよ。

1時間ほど経ったのだろうか。ロベルタにうまいこと操られながら、どうにかサルサダンスというものを体験することができた。欧米人男性はなぜみんなダンスができちゃうんだ。

青い光の中、時折見えるロベルタの顔が、今まで出会ってから一番(と言ってもさっき出会ったばかりだが)楽しそうに見えた。

私のダンスの下手っぴさにいちいち笑い、最初に感じていたロベルタの印象とは違って、表情がくるくる変わった。私は、前へ後ろへくるくるまわる〜。

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サルサミュージックが陽気に鳴り響く中、私とロベルタ、そしてルーカスはその辺にあるボックス席に座って、またお酒を飲み交わした。

青い光の合間から見えるルーカスの顔は、表情だけで会話をしてくるかのように笑顔だった。相変わらず私とは全く言葉を交わさなかったけれど、ここに来るまでの無表情とは違うものだった。

なんだか楽しくなってきてしまった。

私はなんでスリランカ初日の夜に、出会ったばかりのこの人たちと陽気にサルサダンスを踊っているのか。この男たちは、サルサに出会ってなぜにこんなに明るいのか。

(↓しかしまだ無表情が多めなルーカス)

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私は、目の前で踊っている生徒たちを鑑賞しながら、旅をしている時に感じるこの現実味の薄い時間が好きだなとしみじみ思う。夢みたいな、夢みたいだけど現実で、限りなく現実では起こらないみたいなこの雰囲気。

踊りましょう夢の中へ行ってみたいと思いませんかふふっふー、を完全に再現してしまった。

ーーーお酒の席には2軒目がある。

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ロベルタとルーカスに連れられ、また別の暗闇へと辿り着いた。

中に入るとそこは、ビンクや黄色や緑や青のライトが光り、その光の下には、ピンクや黄色や緑や青の衣装を纏った、艶めくたくさんの女性たちがいた。

腰をくねらせ、煌くスパンコールの輝き。ジプシーの祭りかのように鳴り響くアラビアンミュージック。ベリーダンス鑑賞〜〜!in スリランカー!

ベリー

すごい。こんな時間にベリーダンス美女を鑑賞しながらお酒を嗜むなんてことは、まったくの予想外だ。

祈りの声、ひずめの音、歌うようなざわめき…異邦人さながら私は時間旅行に身を委ねる。ここはシルクドーロか!東洋と西洋の狭間か!己の黒髪ロン毛頭を叩いてみれば、完全に文明開花の音がした…

スリランカでお酒を飲みに行こうと誘われ、1軒目がまさかのサルサダンス、2軒目行こうぜ〜って辿り着いたところが、まさかのベリーダンスて!

神回か!

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私、スリランカにいるのよね。

暗闇の中に浮かぶいくつもの光は妖艶に揺らめき、私の目に映るすべてのものは幻想のようにゆらゆらと彷徨う。

これもきっと夢の中で起こっているに違いない。もしくは、イェガーマイスターが効いているともいう。

スリランカ初日の夜は、私を置き去りに過ぎてゆき、白い朝を迎えた。






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