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幸せの条件

近頃めっきり寒くなた。
久々に自宅に帰省して自分の書斎で朝の時間を楽しんでいる。温かいコーヒーの旨さと冷めていく速さを1人デスクで感じながら、ふと脇の窓を見つめている。


色づいた銀杏の葉が風に乗って飛んでいく。部屋に差し込むらいらかな日差しは弱々しくて淡い。かといって照明をつけるまでもない。そんな朝を独り占めしている気分だ。


昨夜帰省した後、家族3人でウォーキングに出かけた。
そのとき息子が不意に放った一言が妙に気になり、深く考え込んでいるのです。


「なんでお母さんと結婚したの」


どうしてだろう。
理由なんてないし、今まで考えたこともなかったな。
ただ、会ったときに「あぁ、僕は彼女と結婚するんだな」、、、そう思っただけなんだ。


息子の言葉の裏には何が潜んでいるのだろう。
僕たち夫婦の関係を一番身近で観察しているので、誰よりも理解しているはずなのですが、何故こんなことを聞いてくるのだろうか。


僕が尻に敷かれているからだろうか。でも、下僕と化しているのは家の中だけであり、外では全くの逆で常に全面に押し出されている。そんなことは十分知っているはずだ。息子はそれが不思議な光景と写っているのだろうか。


「幸せなのかよ」


この問いには案外あっさりと回答できた。
「勿論だ、でなければお前はここにいない」
そういうと、ニヤッと笑みを浮かべたのが印象的だった。
想像していた回答だったのか、それとも僕の心の奥を見透かしたのか。


改めて考えてみるとハッキリ分かることがある。
少なくとも、幸せになるために結婚したのではない、むしろ結婚したから幸せになれたんだと。僕の場合はこれが結果なのかも知れません。


結婚して15年経ったときにはじめることになった単身赴任。
正直なところウキウキしたこともあるが、むしろ寂しいと感じることの方が多い。だからと言って幸せを失った感じたことはない。


ということは、幸せを感じる条件って、必ずしも一緒にいなくても良いのかも知れない。物理的に一緒にいる時間に比例しないってことかも。


「愛は互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることだ」
Love does not consist in gazing at each other, but in looking together in the same direction.


サン・テグジュペリの有名な言葉。
確かに一緒にいるとお互いのアラばかり見えてくる。僕の場合は少し距離があるが故に回避できたのかも知れません。離れて暮らすことで、むしろ同じ方向や目標を持てたのかも知れない。改めてそう感じています。


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後ろを歩く妻には聞こえていない。
ふと考えると、最近息子とこんなに長く話時間がなかった。
知らないうちに息子も大学4年生。
オムツをしていた頃の記憶は何処かに消えてしまった。


ニヤリとした不吉な笑顔だけが僕を不安にさせる。
何を企んでいるのか。何を知っているんだか。


最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
なんでもないことに温もりを感じる季節です。
そんな温もりを欲しています。


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