題名『ノストラダムス』

題名
『ノストラダムス』
(裏テーマ・明日世界が終わるなら)



 ノストラダムスの大予言。

 少しまえドラマ「95」の第1話でも少し触れてたなぁ。

 僕らがどんなに勉強しても1999年の7月にはみんな死んでしまうのなら努力しても無駄じゃないか、それまでおもいっきり遊んで楽しんだ方がいいんじゃないかって思いが、常に頭のどこかにあって、空しくなることが多かった青春時代。

 もしも死ななかったら、予言が当たらなかったら、取り返しがつかないくらいにヤバい!…という思いだけはあって、理性を保っていた。
 勉強もしていた。


 明日世界が終わるなら。


 物心ついた幼い頃から、いつも考えながら生活をしていたんだ。
 そのまま成長していった。

 人類の滅亡はかなりリアルな現実で覚悟しながら生きてもいた。

 定期的にテレビでも特別番組が放送されていた。


 そして、1999年7月。
 それは静かに過ぎ去った。

 映画「アルマゲドン」のような物語を想像していた。
 いつNASAから隕石の速報があるかとドキドキしていた。
 なのに、8月から9月へと過ぎていった。



 ノストラダムスに狂わされた若者は多かったはずだが、ホラ吹きのおっさんに騙されたなんて恥ずかしくて言えないからみんな無口になったようだった。その名前さえわざと誰も言わなくなっていた。


 星にも寿命があり終わりがあるように、人類にも終わりは来るだろう。
 そして、誰もが今この瞬間に死んでも不思議じゃない。
 一人ひとりの世界は必ず終わる


 
 ノストラダムスの予言ははずれたけれど、人類の滅亡が絶対に無いという保証はない。

 明日世界が終わるなら…と、僕は今も常に考えている。

 だから、やれることは今日中にしたい。

 未来のためにあきらめたり、我慢したくないのです。




「はい、はい、はい、……ダラっダラっとなが~い能書きをたれまくってさぁ~、このオジサンはしつこいんだよね〜」

 普段は可愛いいとしの奥様が、かなり切れておられるようだ。

「だから、高血圧と糖尿病でカップラーメンは食べちゃ駄目っていつも言っているよね?、こっそり真夜中に食べようとして見つかって、それでもどうしても食べたいって言っているんでしょ?」

 眉間にシワを寄せて足を組んで呆れた表情だ。

「このカップラーメンは人気の限定品でコンビニで1個だけ残っているところに偶然行って買えたんだよ、食べろって言う運命なんだよ」

「で、ノストラダムスのおっさんの話をまた聞かされたのね」

「明日世界が終わったら、悔いが残るでしょ?」

「もう、好きにして、でもスープは飲み干さないこと」

 そう言って我が家の権力者は冷蔵庫のまえに行ってドアを開ける。缶ビールをつかんで取り出しプルタブを持ち上げる。ぷしゅ!


「ねぇ、君もカップラーメン、少し味見しない?」

「……うん」

 

 本当に明日が、世界の終わりだとしても、二人でカップラーメンを食べているだけで、なんて僕は幸せなんだろう。(笑)
 
 こんなに僕の健康を怒ってまで心配してくれる人がいることが、幸せ過ぎて、少し死ぬことが怖くなる。



【終わり】





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