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日本で「IB(国際バカロレア)教育」が注目されている理由


日本で「IB(国際バカロレア)」教育が注目されている理由について、
最近の教育事情から考えてみました。

1)「日本語」で取得できる「IB認定校」が国内に増えた(200校超)
2)「海外の大学」進学者の増加でIBスコアが重視されるようになった
3)「探究学習」の「IB教育との親和性」 
4)「帰国入試」の増加
5)「留学生」の増加

「IBスコア」は「国際的な大学入学選定」で参考にされる重要な指標で、多くのヨーロッパやアメリカの大学では、この「国際バカロレア」のスコアが入学基準に使われます。


その、国際バカロレア(IB)の教育とは?いったいどういうものか、今回、もっと知りたいと思ったきっかけは「FC今治高校」のシンポジウムに参加した事


この中で、FC今治高校の目指すところとは、
主体的に動き、自分で考え、仲間と共に助け合える新時代のキャプテンを育てます。」

FC今治高校は、通常の高校卒業で必要な単位は最小限にとどめ、その分、体験教育や探究学習の時間を増やし、新時代のリーダーを育てる事を目標に、元サッカー日本代表監督の岡田さんが2024年春開校する全く新しい学校。

そして、IB教育の目指すところと、似通った部分がある、と知りました。この機会に、IB教育について、改めて調べてみる事にしました。
ワクワクしますね。

国際バカロレア教育で目指す人物像は?

国際バカロレアは、次の10を追求する人材を育てようとしています。
それが、ラーナープロファイルと呼ばれるもの。

・Inquirers 探究する人
・Knowledgeable 知識のある人
・Thinkers 考える人
・Communicators コミュニケーションができる人
・Principled 信念のある人
・Open-minded 心を開く人
・Caring 思いやりのある人
・Risk-takers 挑戦する人
・Balanced バランスのとれた人
・Reflective 振り返りができる人

 「思いやりのある人になってほしい」「挑戦する力のある子になってほしい」 国際バカロレアの教育は、実は、世界中の親が子どもに望むこと、ではないかということです。


IBでは何を学ぶのか?

知の理論(TOK: Theory of Knowledge)
TOKは、学生が知識の本質を理解し、自らが「知っている」と考えることの根拠を批判的に分析することを目指します。このコースでは、知識の獲得プロセスに焦点を当て、言語、知覚、感情、理性など、多様な「知るための方法」を探究します。また、数学、自然科学、人文科学など、様々な「知識の領域」を通じて、学生に広範囲の視野を提供し、批判的思考を促進します。

創造性・活動・奉仕(CAS: Creativity, Action, Service)
CASは、学生の個人的な成長と社会貢献を促すプログラムです。「創造性」では、芸術的な取り組みを通じて創造的な思考を促します。「活動」では、スポーツなどの身体活動を通じて健康を促進します。「奉仕」では、地域社会への奉仕活動を通じて、社会的責任感を養います。これらの活動を通じて、IBの使命に沿った多文化理解と平和への貢献を目指します。

課題論文(EE: Extended Essay)
EEは、学生が自ら選んだトピックについて深い研究を行い、その成果を最大4000語(日本語の場合は約8000字)の論文にまとめることを要求されるプログラムです。このプログラムは、独立した研究能力と論文作成スキルを育むことを目的としており、大学レベルの研究に向けた準備として高く評価されています。

これら三つの要素は、IBディプロマプログラム(DP)を通じて、学生に総合的な教育経験を提供し、彼らが知的、個人的、感情的、社会的な成長を遂げることを支援します。IB教育は、学生が世界市民として必要なスキル、価値観、態度を身につけることを目指しています。

私は、国際バカロレア(IB)は「海外」や「日本でもインターナショナルスクール」でしか取得できないと思っていました。私は、以前携わっていた、オンライン家庭教師での海外受講生で、見聞きして知っていました。それは、現地のインターナショナルスクールなどIB校に通う日本人の方が「IBテスト期間」スコアを上げるために「ほぼ1か月とかそれ以上にわたって」準備対策している様子を見ていたからです。
日本の定期考査以上に大変そうなのは、レポート、プレゼン、ボランティア、ほかいろいろ本格的な、教育プログラムがあるので、理解していました。今回、改めて学んでみるとIB教育の奥深さがわかります。

現在、日本でのIB認定校は200校以上!

日本でのIB教育認定では、6つの科目群のうち4つの科目群で日本語での履修が認められているようです。

ちなみに、6つの科目群とは
 「言語の習得」「言語と文学」「個人と社会」「数学」「芸術」「理科」

つまり逆にいうと、英語で履修すべきなのは2つ。
  ◆「言語の習得」(=英語の習得)グループ
  ◆「言語と文学」「個人と社会」「数学」「芸術」「理科」から1つ。

すなわち
  ◆「言語と文学」「個人と社会」「数学」「芸術」「理科」
から4つの科目群は、「日本語」で履修して良いということなのですね!
 
時代は「海外で国際バカロレア」を取得しなくとも、日本国内で取得しやすい環境を作っていたのですね。

そういった国内でのIB教育環境を整えてこられた関係者の努力はいかばかりだったかと思うと、素晴らしいことだな、と感じます。

国際バカロレア認定校は、世界で約5,700校、日本で229校あります。
【参考】
 IB教育推進コンソーシアム ( 文部科学省)より
「IB認定校・候補校」https://ibconsortium.mext.go.jp/about-ib/school



日本でのIB認定校には、どういった学校があるかというと、従来から知られているように、元々インターナショナルスクールの次に、英語教育に定評のある学校が多いですね。

そのうち高校のカテゴリー(16~19歳)には、認定67校候補9校存在します。
日本の国内で、こうしたIB教育認定校を目指す学校は、IB認定資格を得る為に、申請し、管理者が講習を受けるなどの手続きを経て、まずは候補校となる必要があり、学校全体の皆んなが共有の方向に向かって取り組む事が重要なようです。


最近のこうした「IB認定校が日本に増えている動き」は、冒頭に述べたように下記のような背景が関係していると考えられます。

1)「日本語」で取得できる「IB認定校」が国内に増えた(200校超)
2)「海外の大学」進学者の増加でIBスコアが重視されるようになった
3)「探究学習」の「IB教育との親和性」 
4)「帰国入試」の増加
5)「留学生」の増加

IB教員資格は、どうすれば取得できる?


IB教育の広まりとともに、指導する教員の需要も高まってきており、IB教員養成コースが、以下の大学・大学院に設置されています。
他にもありますが、幾つかの取得機関について紹介しておきます。


学部でIB教員の資格取得可能大学】
 関西学院大学国際バカロレア(IB)教員養成プログラム 
 岡山理科大学IB教員養成プログラム(理系科目の指導資格取得可)

大学院でIB教員の資格取得可能大学】
 国際基督教大学大学院IB(国際バカロレア) 教員養成プログラム〈CTL〉
 玉川大学大学院IB(国際バカロレア)研究コース

 日本で探究型授業が増えている昨今、IB教育の指導者として、英語でも日本語でも指導できる教員への需要は高まっていく事は間違いないでしょう。教職課程にある学生さんで、こうした教育に関心がある人は、更にIB教員の資格取得も考えてみては如何でしょうか。

まとめ

日本の大学入試システムは、大変革期に来ています。

私立大学では、既に推薦、総合型選抜入試での入学者数が50%を超えたと言われており、国公立大学でも、同様の入学者が増えています。
筑波大学や奈良県立医科大学が「学科試験をやめる」決断をしました。
東北大学は「入試を100%総合型選抜にする」と宣言しました。

これからの日本の高等教育・大学教育は「探求型」の方向に進んでいることは全く疑う余地のないところまで来ています。

そして、日本がグローバル化し、国際的に貢献する人材を出す方向に向かうことで、留学生の選定先として選ばれ、世界の中での大学評価ランキングでもより上位に評価され、国際紛争を調停したり、国際的にリーダーシップを発揮していける人材がどんどん輩出される国になっていけば良いなと思うこの頃です。


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