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ブランディングを学びたくなったら読む本まとめ

ブランディングの会社をやっていると、「おすすめのブランディング本はありますか?」と聞かれることがよくあります。

以前、リノベーション事業を展開する会社のブランディングをお手伝いさせていただいた時も、そのブランド責任者の方から何か参考になる本はないか?と問われ、僕はそのとき『トップも知らない星野リゾート』という本を紹介しました。

彼らのブランドは外側を整えればいいのではなく、内側のメンバーの意識と発信する内容が変わることが大事だと思い、まさに内側からブランドを強化することに成功したのが星野リゾートだったからです。


このようにブランディングと言っても、どんな課題を解決したいのかで参考になる本は変わると思いますが、今回は「これは誰もが読んでおいて損はない」という王道の本を紹介します。

僕も多くを学び、今でも参考にしている大切な本たちです。ブランドに携わる方、これからブランディングを学ぶ方の参考になれば幸いです。


『エッセンシャル版 マイケル・ポーターの競争戦略』

ハーバード大学でマイケル・ポーターに教わり、のちに「ハーバードビジネスレビュー」の戦略担当編集者となったジョアン・マグレッタの著作。ポーターの名著『競争の戦略』をわかりやすく解説した、こちらも名著です。

ポーターは「なぜ同じ企業の中にも、他より収益性の高い企業があるのか?」というビジネスにおける根源的な問題を探究しました。

彼は経済学的アプローチとビジネススクール的アプローチの両面からその答えを探り、数百の事例や大量のデータを分析し、普遍的な原理を導き出そうとしたのです。

競争の戦略が長い年月を経ても色褪せることなくビジネスパーソンのバイブルとされるのは、理論と現実のどちらの世界にも当てはまる研究成果だったからだと、マグレッタは説いています。

ポーターの優秀な代弁者が手掛けた「競争の戦略」のガイド本。とにかくわかりやすいのでオススメです!


『ポジショニング戦略 新版』

こちらはマーケターのバイブルとされる名著。

情報があふれかえる現代社会で、人々に効率よくメッセージを届ける手法=売れるブランドになる手法が、アル・ライズとジャック・トラウトが提唱したポジショニング戦略です。

戦略の立て方から実践方法までを解き明かし、業界リーダーになる必勝パターンやライバルのポジションを崩す方法、無名の島を一大観光地にする方法など、刺激的でワクワクするようなリファレンスに満ちています。

新版はフィリップ・コトラーの解説付き。「企業やブランドが市場で真の独自性を確立し、その地位を維持するための強力なツール」とコトラーが称するポジショニング戦略を学ぶなら、この本は間違いなく必読です。


『独自性の発見』

ポジショニング戦略を提唱した1人、ジャック・トラウトの著作。トラウトはポジショニング戦略にしろ他の著作にしろ、一貫して差別化による独自性の確立がいかに大切かを説いてきました。

彼はどんなものも必ず差別化できると言い切っています。やる気さえあれば差別化の方法はあならず見つかる、とも。

決して簡単な道ではありませんが、独自性さえ発見できれば、容赦ない競争の世界で成功を手にする大きなチャンスが得られるのです。

では、どうやって独自性を見つければいいのか?

迷わず、本書を読むことです(笑)。

この本はとにかく独自性の発見にフォーカスし、独自性を見つけるためのありとあらゆる方法が網羅されています。

一つひとつの方法を学びながら、「これは自分たちの商品やサービスに応用できるかも」と思ったものを書き留めておくことをオススメします!


『リ・ポジショニング戦略』

またもやトラウトさんの著作ですみません。マーケティング業界に革命をもたらした「ポジショニング戦略」から数十年が経ち、時代は競争の激化、変化スピードの加速、そして経済不況をはじめとする様々な危機に直面しています。

ポジショニング戦略が今もビジネスの世界で押しも押される重要なコンセプトであることに変わりはありませんが、その双子の片割れ、数十年前にもひそかに紹介されていながら注目を浴びずじまいだった「リ・ポジショニング戦略」を今こそ伝えるべきだと、トラウトは筆を取った理由をこう述べています。

リ・ポジショニング戦略は簡単にいえば市場における自分たちの(商品・サービスの)ポジションを変えることです。

しかし、言うは易し、行うは難し。

新しい方向に舵を切るのは単純に時間やコストがかかるうえ、経営トップにとっては非常に勇気を要する行為になります。多くの場合、自分自身、従業員、そして役員や株主を納得させないといけません。

本書のすごいところは、リ・ポジショニングの理論や成功事例が載っているだけでなく、それを実現するための根回しの方法や組織の作り方、適切な手順についても提言されている点。

『ポジショニング戦略』に並ぶ名著であり、現代の社会状況によりマッチしたマーケティング戦術が学べるのではないかと思います。


『ブランド論 無形の差別化を作る20の基本原則』

ブランド・アイデンティティ、ブランド拡張、ブランド・ポートフォリオといった考え方を生み出してきたデービッド・アーカーの集大成とも言える代表作。

アーカーが長年研究してきたブランド論が、初心者にも分かるようにコンパクトにまとめられています。とは言っても、それなりに膨大な情報量。内容も濃厚です。

ブランディングの教科書として、ブランド戦略や経営戦略に携わる方は手元に置いて損はないと思います。


『カテゴリー・イノベーション ブランド・レレバンスで戦わずして勝つ』

ブランド・レレバンスとは、簡単にいえばブランドをカテゴリとの関連性で捉える見方。

「ブランド・レレバンス戦略」となると、ブランドが現状のカテゴリの中でどのような位置付けなのかを考え、さらにそのカテゴリ内に新たなカテゴリを創出することで、競争をせずにイノベーションを起こすという戦略になります。

たとえば、iPhoneは「電話」というカテゴリの中に新しく「iPhone」というカテゴリーを形成して成功しました。アサヒビールは、キリンのラガーが主流だった時代に、スーパードライで「ドライビール」と言うカテゴリを作って市場シェアを大きく伸ばしました。

ポジショニング戦略にも通じるブランド・レレバンス戦略。「競争をせずに事業を成長させる方法」という言葉にピンと来るものがある方は、ぜひ手にとってみてください。



『フォーカス! 利益を出しつづける会社にする究極の方法』

万人受けを狙う、経営を多角化する、生産ラインを拡大する、といった戦略のリスクを謳い、フォーカスを絞り込むことの重要性を説いた本書。

「効果的にフォーカスする15の原則」と言う形で、何をどのようにフォーカスすれば良いのかを豊富な事例とともに教えてくれます。

たとえば、ボルボは「安全性」にフォーカスし、安全性を徹底して磨き続けることで、「ボルボの車は安全」というベンツにもポルシェにもないブランドイメージを築き上げました。

フォーカスは大企業にも中手企業にも使える戦術ですが、特に潤沢なマーケティング予算がない企業や、「選択と集中」をせざるを得ないスタートアップ企業にとって有効な一手となり得るのではないかと思います。


『コトラーのイノベーション・ブランド戦略』

説明不要、コトラー先生のブランディング本。

イノベーション・ブランド戦略と銘打たれていますが、これは「イングリーディエント・ブランディング」というブランディング理論について書かれた専門書です。

イングリーディエント・ブランディングは「ブランドの中のブランド」と言う意味。インテルやドルビー、テフロン、シマノなどが、イングリーディエント・ブランドを代表するブランドです。

こうしたブランドの成功事例をはじめ、基本的な理論やマーケティング効果などの全容を知ることができるのが本書の特徴。

部品メーカーや技術を売る企業のブランディングを学ぶなら、まずはこちらをオススメします。


『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』

ブランディングとマーケティングを学ぶなら、スターバックスはぜひとも押さえておきたいブランドです。

スターバックスというブランドはどうやって作られて、どうしてあんなにも強いブランドイメージを築けたのか?

そこには、社内で脈々と受け継がれてきた暗黙のルールがありました。文書化されずに社内文化の細部にまで行き渡っているそのルールについて、46のパートに分けて解説したのが本書。

競合との価格競争に巻き込まれず、マーケティング効率を最大限に高めて、売上アップもブランドイメージの向上も実現させる。

そんな夢のような成功体験の裏にあるブランディングの本質を、この一冊で学ぶことができます。


『トップも知らない星野リゾート 「フラットな組織文化」で社員が勝手に動き出す』

こちらもブランディングのお手本と言うべき星野リゾートについて書かれた本。

サービスは一度つくって終わりではないと、本書の中では書かれていますが、まさにブランドについて言えることです。

ブランドは一度つくって終わりではない

ブランドをより魅力的にし続けるにはどうすればいいか?そのヒントが本書にはぎっしり詰まっています。

特にポイントとなるのが、「フラットな組織文化が持続可能な競争力を生み出す」ということ。

星野リゾートがブランド品質を高く保ち続けられる好循環を生んだのは、社員がやらされではなく、主体的に取り組み得る環境を作り出したからでした。代表の星野さんは「フラットな組織文化こそが競争力の源泉だ」と語っています。

チームの競争力を高めたい、社員が自ら発想し、発言し、行動するような企業文化を作りたいとお考えの方に、ぜひともオススメしたい1冊です。


以上、ブランディングを学びたくなったら読む本をまとめてみました。割とオーソドックスなセレクトになってしまったかもしれませんが、気になる本はありましたか? みなさんの学びに少しでもお役に立てていたら嬉しいです。

またオススメのブランディング本を思いついたら、随時追記していきたいと思います!



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