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あなたは間違えた意味で小論文・志望理由書の中で言葉を使っていないか?

更新日:2024/10/09

 小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で気付いた、文章作成における基本事項を紹介するのが、このシリーズ【文章作成の基本】。

(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)


あなたは言葉の意味を間違えて文章を書いていないか?

言葉の意味に注意して文章を作成しよう。

 今回は、ある一つのケースを挙げて、文章中での言葉の意味に注意しよう、という話をします。

 先日とある志望理由書の中で、「私は、~という破天荒な性格であり、……」というように、自分の性格を表す言葉として使われていました。この時も「荒々しい」とか「ワイルドな」という意味でこの言葉が使われていましたが、この言葉にこうした意味は一切ありません。しかし、このような間違えた使い方は、たまに目にします。

 このような使用法は、これは私の推測ですが、「破」や「荒」などの漢字の持つイメージから意味が「創作」されて、それがテレビやネットなどメディアを通じて人口に膾炙したものと思われます(例:破天荒キャラ)。しかし、「豪快で大胆な様子」という意味は本来的にありません。

「破天荒」の正しい意味

 新聞記者などが仕事で辞書的に用いる『読売スタイルブック』にも、「誤りやすい慣用語句・表現」の項目で、「破天荒」を扱っています。

破天荒 誰にもできなかったことを成し遂げる意。「前代未聞」「未曾有」と同意。「荒っぽい」「無鉄砲」「型破り」の意味ではない。

『読売スタイルブック2020』(読売新聞社)


 また一般的な国語辞典ではこのように書かれています。

はてんこう【破天荒】(形動ダ)①今までだれもおこなわなかったことを、おこなうようす。前代未聞。~中略~②〔俗〕型破りで豪快なようす。「―な人」

『三省堂国語辞典』第七版


 読売スタイルブックでは、そうした「荒っぽい」のような意味はないと断じており、国語辞典では、俗語的な意味や表現としてあり得る(確認している)として収録してしています。しかし、いずれにしても、正しい意味としては、「豪快で型破りな」という意味はないとしています。

 これは、大人でもそうですが、普段自然に使われていると、疑いを持たずに誤った意味で言葉を用いてしまうというのがままあります。この「破天荒」もその典型例の一つです。

まとめ ~言葉の意味を間違えて覚えていないか疑ってみよう~

 このように、破天荒は「誰も成しえなかったことをすること」です。言葉は正しい意味をしっかり理解して、文章中で用いましょう。

〈参考図書〉

読売スタイルブック2020 初版 2020年3月25日

三省堂国語辞典 第七版 2014年1月10日 第一刷

なお、国語辞典編集者の神永 曉氏が、以下の記事で「破天荒」の意味について解説しています。また「破天荒」の語源についても説明しています。

第141回「破天荒」は文字にだまされてはいけない


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