『星降る夜のララ』2
【続き】
一方ララは、お母さんの仕事場で薬草をビンにつめるお手伝いをしていました。
「お母さん、月光花がもうなくなっているよ」
ララの言葉に、お母さんは深いため息をつきました。
「知ってるわ。このあいだから、月光花がいつもの場所で見つからなくなっているの」
「それなら、私が今からニコと探しに行ってみる」
月光花からわずかに採れる青く澄んだエキスは、頭痛や歯痛、腰痛などあらゆる痛みに効くため、たくさんの人びとが求める大切なお薬なのです。
そのため、お母さんはララの申し出をありがたく受け入れ、ララとニコにお願いしました。
夕暮れ時の少し冷たい風がララの黒髪をなでていき、少女の赤く上気した横顔に影をつけていきます。
ララはいつも月光花が咲いている、自分とニコだけが知っている「とっておきの場所」までグングンと突き進んで行きました。目の前の草むらをかき分けた時、
月光花はひとつも咲いていませんでした。
どれだけ探しても、花びら一枚も見つかりません。疲れ切ったララとニコは、地面に座りこんでしまいました。
その時、2人の背後から声がしました。
ーーこれを探しているの?
振り返ると、見知らぬひとりの少年が立っていました。月明かりを浴びた髪の毛が銀色に輝き、高い声の印象よりも大人びているように、ララは思いました。
ーーもっと欲しいなら、あっちにあるよ。
少年は、両手に持っているモノをゆっくりとララに差し出しました。ララは慌てて立ち上がり、少年の顔から目を離して視線を動かすと、彼の手の中に月光花が一輪ありました。
【続く】
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