『星降る夜のララ』1
はるか遠く西の地に、「星降る国」と呼ばれる小さな王国がありました。
その国に、ララという名前の少女がいました。
ララのお父さんは天文学者で、王宮に勤めていました。
お母さんは名高い薬草家として、町の人たちに自家製のお薬を作ってあげていました。
ララは愛犬のニコと一緒に、2人から星や植物についてたくさんのお話を聞くのが大好きでした。
ララはいつか大きくなったら、お薬を作れる天文学者になろうと本気で夢見ていたため、お母さんのお手伝いとして近くの野原で薬草探しをしたり、お父さんの望遠鏡を貸してもらい、お気に入りの丘から星の動きを観察したりしていました。
小さな国の小さな町なので、住民はみんな顔見知りです。そのため、小さな少女のララがニコと野原や丘で好きなことをしていても、誰も気にもしませんでした。
数年が過ぎてララが10歳の年、王国ではある問題が起きていました。それは星の動きに関することでした。
数ヶ月前から星のひとつがいつもとは異なる動きをしており、このままでは2000年ぶりに星3つが直線上に並ぶ予測がされたのです。
「2000年前に星が並んだ時に、あの大惨事が起きたというんだな。まさかまた同じようなことが……」
王様はララのお父さんと向かい合い、苦しんでいるような怒っているような、はたまた何かをなくして悲しんでいるような、不思議な表情で言いました。
ララのお父さんは、天を仰ぐように王宮の天井を見上げ、はい、とだけ答えました。
【続く】
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