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愛すべきヤンキーチワワ。

まずはこの画像をご覧ください。

(ご飯を食べたことなどなかったことにして、ジャーキーをせがんでくるチワワのリンさん。)

僕は犬を飼っています。早いもので、この子ももう15歳。人間にしたら100歳を超える年齢になりました。人間だったら中学校卒業ぐらいですね。

いつも隣で寝てて、怖がりで小さな虫が大嫌い。おてんばでジャーキーおねだりしたら、もらうまで引き下がりません。夜寝る時も一緒。枕を奪われていることもよくあります。




散歩でも行きたい道があったら絶対にゆずりません。どんなに引っ張っても絶対に動かない。こんな小さな体のチワワにいつも根負けしてしまします。


身体の丈夫な子で、この歳でも元気いっぱいの病気知らず。健康には感謝ですが、今年の5月に大病を患いました。


突然食欲がなくなり、呼吸も浅く速い。身体もダルそうで起きるのが精一杯。これはおかしいと思い、朝一で獣医さんへ行きました。薬をもらったらすぐに帰れるだろうという楽観的な考えは、獣医さんの表情を見てすぐに打ち砕かれました。


至急レントゲンと血液検査をして、エコーをした結果、子宮蓄膿症と診断。子宮に菌が入り5倍にも腫れ上がっていました。すぐに手術で全摘しないと生きられないと言われました。




でも年齢的なことと体力が減っているため、手術に踏み切れるか検討したいと言われ、僕はリンを抱きかかえ待ち合い室に戻りました。


「ほんとごめん…こんなことになる前に避妊手術しておくんだった。」





こんなに苦しめることになるなんて…膝の上で弱っているリンを抱きしめながら、心の中で謝っていました。こんなに力ないリンを見るのは初めてでした。


いつも隣にいる「当たり前の日常」が崩れて、突然いなくなるかもしれない恐怖。。


心臓がいままでにないほど大きな音でガンガン鳴っていました。


飼い主の責任を放棄した自分が全部悪い。後悔してもしきれない。もしこれで手術もできないと言われてしまったら…どうしよう。。


診察室に呼ばれ、先生が厳しい表情のまま話し始めました。「体力的にはギリギリですが、内臓機能は正常値なので手術をします。ただリスクが大きいことだけは覚悟しておいてください。」


もしかしたら手術で死んでしまうかもしれない。




でもこの手術にかけるしかない。選択の余地はありませんでした。




感情的にならずに淡々と話してくれる先生。ムダを省き合理的。この先生にだったら手術をお任せできると思いました。


先生「今日の夕方手術をしますので、終わったら連絡します。」


万が一、手術中に何かあった時のために、手術が始まる前にも連絡をもらうことにしました。行ったその日に手術の日程を空けてくれた先生には感謝しかありません。


何が起きてるかわからない表情で僕を見ているリンに「手術頑張るんだよ!また一緒にお散歩行こうね。」頭を撫でながらそう言い聞かせて、先生にお願いしました。


お昼ごろに家に帰ってきたのですが、いつもいるリンがいないと家が広く感じて寂しい。。


手術が始まる夕方までの4〜5時間。時間がこんなに長いと感じたことはありません。


こんな時何もできない自分が歯がゆかった。成功を祈るしかない、無力さを思い知らされた。


5時半ごろ、先生から連絡がきた。「これから手術を始めます。途中何かあるか、手術が終わったらまた連絡します。」


もう生きた心地がしない。。うるさいほど叩く心臓、身体が揺れるほどで座ってられない。心配で心配でじっとしていられなかった。とにかくリンの生命力を信じて手術の成功を祈るしかない。


途中で電話こないでくれ。。そう願いながらただひたすら連絡を待った。


夜9時半ごろスマホが鳴った。先生からだ。




「無事手術終わりました。容態も安定しています。5日ほど入院させて様子を見ますので、後日迎えにきてください。」

4時間の大手術。先生に今までこんなに気持ち込めて言ったことがあるかというほど全力の「ありがとうございます。」を伝え電話を終えた。


よかった…ほんとによかった。身体の力が一気に抜けて、まだ一緒にいられるチャンスが出来たことが嬉しくて嬉しくて仕方なかった。


迎えに行くまでの5日間が長い。早く迎えに行きたい。リンに会いたい。モフモフしたい。


手術から3日後、病院から電話があった。まだお迎えの日まであるのに何かあったのかと内心ビクビクしながら電話にでた。 




「リンちゃん、経過はいいのですが、餌を全く食べないので明日迎えにきてくれませんか?」


先生の話だと、病院では緊張して食べない子もいるんだそう。経過はいいので自宅療養の方がいいのではという話だった。


1日でも早く迎えに行きたかったから、願ってもないことだ。次の日すぐに迎えに行きました。


診察室に行って、傷をなめないようにするためのシャワーキャップみたいなものを首につけられたリンと再会した。


こちらを見つけるとすぐに家に連れて帰れと言わんばかりにすり寄ってきた。手術後とは思えないほど身軽な動き。食べてなかったので痩せてはいましたが、元気な顔を見せてくれました。


「ほんと生きててよかった…」



先生から手術の説明と取り出した子宮の写真を見せてもらいました。この小さな体から取り出されたとは思えないような大きさでした。ほんと先生には感謝でいっぱいです。


家について、さっそくエサをやったところ、食べる食べるガツガツ食べる。ここ何日間の損失を取り戻すかのように食べてました。病院だと緊張して食べれなかったんだね。あんなに元気なかったのに、手術したらこんなに元気になるのかと驚きました。


この食いしん坊生命力があってほんとよかったよ。


当たり前にある日常。これが崩れた時、「当たり前」ということの上にあぐらをかいている自分に気づきました。一緒にいられることも当たり前じゃない。かけがえがない日々はギフト。大切にしないと…そう気付かされました。

(手術から帰ってきたリンさん)

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