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なぜグローバルなフィールドで活躍できるようになった方がいいのか

併せて、「どうすれば、これからの時代を生き抜くグローバルなビジネスパーソンになれるのか」については別記事にまとめましたので、そちらをご参照ください。

以前書いた、日本式キャリアについての危機感をまとめた記事も是非参考にしてみてください。

戦後から現在に至る日本は、色々あったにせよ、いまだに経済大国としての地位をキープしています。少なくとも名目上のGDPは上から数えてトップレベルです(1位:アメリカ、2位:中国、3位:日本)。ですが、例えば2000年に入ってからのGDP推移を見てみると、米国や中国が伸び続けているのに対し、日本は全然伸びておらず停滞しています。2000年ごろは、中国よりも高かったGDPは、2008年あたりに中国に抜かれています。2018年時点ではまだインドよりは高いものの、インドに抜かれるのは時間の問題でしょう。(世界銀行のデータを参照。https://data.worldbank.org/)

今後グローバル競争時代において、ガラパゴス的な戦い方で今後も地位を維持できるかというと、私は悲観的です。日本がその特殊性を生かしてユニークな強みとして世界に戦いを挑まない限りは。これまで日本企業は垂直統合型のクローズドな世界において比類なき力を発揮し、戦後例をみない経済発展を遂げてきました。ところがその後インターネットが登場し、グローバルな水平分業が進むと、これまでのように一社独自で閉じた世界の中で戦っていく事は難しくなってきました。よって世界共通言語である英語の必要性が叫ばれて久しいですが、今では英語ができないと、ビジネスの入り口にすら立てない状況です。

皆さんは、世界の人口において、日本語を話す人の割合がどれくらいなのか感覚的に知っていますか? 基本的には、日本人しか日本語を話しませんので、簡単に計算してみます。全世界の人口は、2020年5月現在で78億人だそうです(国際連合の統計による)。日本の人口というと、1.26億人(総務省統計)。単純計算して、ざっくり2%くらい。

それに対して英語人口はというと、ネットで調べてみるとざっくり21億人(英語を公用語、準公用語に指定している国の人口が54か国)らしいので、27%程度。準公用語に指定していなくても、例えば中国人でビジネスをやっているトップ層は普通に英語で仕事ができますので、実態でいうともっといる可能性があります。というわけで、今更言うまでもなく、舞台の大きさが文字通り桁違いなんですよね。今更グローバル化などいう事自体が恥ずかしい。それくらい当たり前の世界になってきています。

つまり、これだけグローバル化が進む世の中において、わずか2%という閉じた世界の中で井の中の蛙としてキャリアを積むのがいいのか、「残りの大部分の世界」でも活躍できるようにキャリアを積むのがいいのか。しかもこの2%の世界が伸び続けているならばまだしも、横ばいで相対的な地位も低下しているという状況において。どちらのほうがオポチュニティーが多いかというと明らかです。また2%の中だけで仕事をしていると、情弱になっていきます。

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完全に「残りの世界」で勝負をせずとも、日本に軸足を置きながら活躍をするためにも、もはや日本の閉じた世界だけで大きな戦略や方向性を定めるのは不可能です。そう考えたとき、グローバルなフィールドで活躍できるほうがいいのか、というよりも、せざるを得ないという状況だというのが正確かもしれません。

さらにこの状況に追い打ちをかけるのがコロナによる情勢変化です。

コロナ後の世界におけるビジネスにおいては、サービスやモノのグローバル化とデジタル化の2つは更に進むとみてよいでしょう。人の移動そのものが以前のようになるまでには少し時間がかかるかもしれませんが、サービスとモノのグローバル化は止まりません。従来の日本方式に固執したまま脱皮できない企業は生き残るのがどんどん難しくなるでしょう

また、特に米国で働いていると、日本で働くとどれだけ損をするかがよく分かります。私は報酬チームのグローバルヘッドである立場でもあり、世界のCompensation Marketの情報に通じています。日本はそもそも報酬レベルが低い。嘘だと思う人は、世界の年収ランキングとか、新卒の年収ランキングなどをネットでググってみてください。それでいて通勤が大変で、長労働時間体制であり、ワークライフバランスを取ることのハードルが相対的に高い。ダイバーシティも遅れている。また一流の専門家として会社を変えながらキャリアを積むことも容易ではない。日本は食べ物もおいしいし、島国であったが故のオリジナルな文化や、いいところも沢山ある。なので、日本は旅行で訪れたり、単に住むにはいい国だと思うのです。しかし、日本で会社員として働くにはハードシップがある、というのが私の見方。よって、フリーランスやネットの世界で自由に食べていける状態をめざすか、会社員として働くのならもっと広い海を目指して泳いでいく、というのがロジカルな一つの方向性かと思います。

日本企業のいいところがあるかと問われれば、人によっては終身雇用が前提になっていることで解雇されにくい点をあげるかもしれません。でもこれって、能力が低い人に有利な仕組みなだけなんです。能力が高い人には、あまり高い報酬を得ることもできず、差もつかず、きわめて不利な仕組みと私は見ています。これって、ちょっと社会主義的な側面があります。なぜなら一生懸命働いても、あまり報酬でも差がつかないからです。そうすると、日本の会社の社員としての一つの戦略としては、「そこそこ」に頑張って、趣味や副業で全体の収入をあげるとか、家族ともっと過ごして全体の幸福度をあげていく、という方が理にかなっているのかもしれません。

日本企業では、こちらから強制的に解雇する事は難しいため、社員が自発的にやめてもらう(voluntary termination)ためのインセンティブをあげます。退職金割り増しとかがその典型例です。このため、企業では皮肉なことに、ローパフォーマー、つまり退職してほしい人たちにより多くのお金を使う事になります。ローパフォーマーにお金を使わざるをえない結果として、会社の将来を担うハイパフォーマー社員にはそれだけお金を費やしているかというと、相対的に少なくなってしまうという本末転倒な状況になってしまっています。海外のビジネススクールへの留学費用ですら渋る場合が多いのですよね。

少し違う例えになってしまいますが、日本という国全体でみても、似たような状況になっていますよね。日本の国家予算が、少子高齢化に伴い、社会保障費や医療費に割く割合が非常に多くなってしまい、結果的に将来を担う現役層への配分が少なくなってしまっています(高齢者の方がローパフォーマー、というような失礼な事を言っているわけではなく、将来を担う層に回す予算が少なくなっているという意味で共通です、という例えです)。

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ここまで読むと、野心のある人や、自信のある方にとっては、不利な仕組みになっていることが分かると思います。英語が不自由なく使える人にとっては尚の事。それでも耐えて、ごくごく少数の方は部長より上の、事業部長とか役員にまでなるわけですが、そこまで行っても名誉だけです。お金の方はグローバル市場においては劣ります。2,000-5,000万円くらいのレンジでしょう。日本を代表するトップ企業でさえも1億円以上行くことは極めて限定的です。

というわけでまとめると、

好む好まざるにかかわらず、グローバルなフィールドで活躍することを前提にキャリアを積まないと、未来の選択肢は極めて限定的となります。閉じた世界で独自のバリューチェーンを築く事で勝ち続けてきた手法は、現在のオープンでグローバル水平分業の世界においては通用せず、その世界において、多様なチームと協業する/Manageすることができるように自分を磨いていく事をお勧めします。

それでもあなたは井戸の中にとどまろうと思いますか?外に出たいですか?

次回は、ではグローバルなフィールドで活躍するためにはどうすればいいかについて述べてみたいと思います。

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