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野菜が好きになる話 1(夏野菜編)

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年間50品目の有機野菜を育てて野菜セットにして全国宅配しています。 野菜たちが教えてくれた物語、知ると野菜が好きになります。
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2024年7月の記事一覧

なぜパプリカは韓国産なのか?

7月からパプリカが採れはじめました。ただし、しあわせ野菜畑のパプリカは緑色で、外見はピーマンと区別がつきません。  そもそも、ピーマンとパプリカの違いは「皮(果肉)の厚さ」だけです。 ピーマンが緑色なのは未熟なうちに収穫しているからで、どんなピーマンでも写真のように完熟させると赤いピーマンになります。赤いピーマンは、苦くも青臭さくもなく、甘いです。 ピーマンを緑色のうちに出荷するのは、果肉が薄いため、完熟させてしまうと傷みやすく、長持ちしないからです。 柔らかくて空洞なので

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オクラの保存方法

オクラは採れたてがおいしく、ネットに入れるのは本来は鮮度を保つためです。 野菜は収穫した後でも生きて呼吸をしているのですが、花を咲かせてから3日~5日で収穫するオクラは若くて特に酸素をたくさん必要とするのでネットに入れます。 もっとも、緑色のネットにはオクラが新鮮に見えるという効果もあります。みかんのオレンジのネット、たまねぎの黄色いネットも同じ理由です。 スーパーでお求めになる場合には、収穫した切り口の色で鮮度を確かめて早めに食べてください。 さて、オクラをクール便で送

オクラ ・・・ 花言葉は「恋の病」

 オクラはアフリカのエチオピア近辺が原産で、古代エジプトでも栽培されていました。奴隷として渡った黒人によりアメリカに持ち込まれ、アメリカ南部の郷土料理に使われていて、Okraは英語です。  ハイビスカスと同じアオイ科で、きれいな花を咲かせます。  花言葉は「恋によって身が細る」とか「恋の病」と言います。    オクラは一日花で、花を夜から朝にかけて咲かせ、昼前にはショボショボとしぼんでしまいます。  恋にあこがれ夜に眠れず昼はしょんぼりしている少女を、清楚な花に重ねているの

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トマト先端のプチッは雌しべの痕跡

収穫した時にトマトをよく見ると、写真のように先端に糸みたいなものが付いています。 糸自体はすぐに取れてしまうので、スーパーで買う時にはプツンと黒い跡(痕跡)が残っています。 そういえば見覚えあると思うのですが、これ何だかわかりますか?   イラストは花の構造ですが、果実は子房が膨らんだものです。 子房の上にあるのが雌しべで、雌しべの先端にある柱頭で受粉が行われ、花柱を通って子房の中で受精がされて種ができると、子房が膨らんで果実となります。 トマトの写真の先端の糸みたいなの

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長生き・ズッキーニ

6月から7月はズッキーニの旬です。 花は雄花と雌花に分かれていて、最初の頃は、交配をしてくれる虫がいないので雄花をとって花粉を雌花の雌しべにつける人工授粉をします。ズッキーニの花は一日でしぼんでしまう一日花(いちにちばな)で、10時頃には受粉能力が低下してしまうので、人工授粉が朝の日課です。 受粉を終えたズッキーニはみるみると肥大します。 あまりにも成長が早いので、朝と晩の2回収穫をしています。写真の一番左が開花日のズッキーニで、右に1日ずつ変化しています。 一般的には開

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野菜の教え・・・まずは体を大きくしてね

 生物の成長には、体(栄養器官)をつくる栄養成長と、子孫を残す生殖成長があります。  ナスやピーマンは栄養成長と平行して、生殖成長が早くから始まり、写真のように、体が小さいうちから実をつけ始めます。  環境も良くて、体が丈夫なうちに子孫を残そうとするわけです。このままだと、自分の体を大きくすることより、子供に養分を与えるのを優先してしまうので、最初の実(一番果)はピンポン球くらいの大きさになったら取ってあげます。「まずは体を大きくして下さいね。子供を作るのはその後からです。」

野菜の教え・・自由放任はダメです 

 ナスやピーマンを植えたままにしておくと、わき芽が出てきてワサワサとしてきます。  そのままにしておくと、風通しが悪くて病気になったり、栄養が分散して実が小さくなったりしてしまうので、下のわき芽は、すべてかきとって整えてあげます。  この生育初期の手入れが重要で、最初に丁寧に 管理しておくと、後は放任気味でも大きく育ち、実をつけます。 「人も野菜も同じ。方向性を定めた後の自由放任は実を結ぶけど、最初から好き勝手に育つと商品にならないんだ」。 改めて書くと恥ずかしいのですが、

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たびたびPR! 自根(じこん)キュウリ

自根(じこん)キュウリとは「自分の根」で育っているキュウリのことです。 スーパーで売られているキュウリは、同じウリ科のカボチャを台木にした接ぎ木キュウリです。 自根キュウリには写真のような白い粉(ブルーム)が発生します。 キュウリの表面に出てきた汗が結晶化したもので、糖分を含んでいるために白くなります。ブドウの皮についている白い粉もブルームです。 ブドウの場合は新鮮な証拠になるのですが、キュウリはブルームがついていると、古く見えたり農薬だと勘違いされたりしてしまいます。この

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キュウリの巻きヒゲは右巻き?左巻き?

朝顔やヘチマは自分で支柱に絡みながら勝手に伸びてくれますが、キュウリは人の手によって支柱とツルを定期的に縛ってあげないと、支柱からズルッと下がってしまうことがあります。 キュウリの本来の姿は「地ばい」です。 ところが原産地の気候に比べて日本は蒸し暑く、地面に這わせて育てると、うどんこ病、すす病というカビの病気にかかりやすくなってしまいます。そこで支柱に縛りながら空中に伸ばし、風通しを良くすることでカビの病気を防ぐ方法を生み出しました。 ですから、キュウリの巻きヒゲには地面

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空心菜の”芯が空(から)”に理由あり

4月にプラグトレー(小さなポット)に種をまき5月に定植しました。 東南アジアが原産の空心菜は蒸し暑いのが大好きで、最初は成長がゆっくりなのですが、7月になると、どんどん大きくなります。 夏に無農薬で葉物野菜を育てるのは、とても難しいのですが、空心菜は少しくらい虫に食べられても、それを上回るパワーで成長していきます。  空心菜の名前の由来は、写真のように茎が中空(空洞)だからです。 原産地では、川や池などの湿地帯で茎を浮き輪にして増えて行きます。 空芯菜って元々はホテイアオ

ピーマンのコツ・・小さく生んで大きく育てる

ピーマンは3月下旬にポットに種をまきました。 5月に畑に植える時には、まだ小さく一株ずつ風よけシートをかけ、シートをとったら丁寧に支柱に誘引してあげます。 このようにピーマンは育苗に手間がかかるのですが、子育てと同じで「小さく生んで大きく育てる」と、ある程度大きくなるとあまり手間がかからず、10月位に最盛期で「ピーマン祭り」の毎日が続き、 夏野菜の中では一番長く、霜が降りる12月まで収穫できます。 品種はタキイ種苗の京みどりと言います。 タキイ種苗のピーマンは京まつり、京

ぜひ食べてください! その名は「ヘビナス」

この薄紫色の長いナスは「ヒモナス」、別名を「ヘビナス」といいます。デリケートな性格で、風が強かったり、葉が虫にかじられたりすると、びっくりして本当のヘビのように曲がってしまいます。 とても美味しくて、一度食していただくと普通のナスより気に入ってくれるお客様が多いのですが、スーパーで見かけることはありません。 大きさがそろった規格品でないと市場流通ができないからです。 「おいしいけれど、スーパーでは見かけない野菜」というのは、見栄えが悪いとか、大きさが不ぞろいで売りにくいとい

茄子は「ナス」ですか?「ナスビ」ですか?

ナスの故郷はインドで暑いのが大好きです。そこで、最初は温室の中でポットで育て、暖かくなった5月上旬に畑に植えました。実は6月下旬から付き始めました。 ナスの語源は「夏の実」で、漢字では茄子と書き、 愛知より東では「ナス」、三重より西では「ナスビ」と読みます。静岡では「ナス」ですが、植物全体がナスで食する部分は子供だから「ナスビ」の方が適切かもしれませんね。 品種はタキイ種苗の「筑陽」です。近年猛暑の夏が多く、夏が好きなナスでも元気をなくすことが多く、その中では筑陽は夏に強い品