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【絵本】「やさしいライオン」 やなせたかし


「おかあさん! こんどこそはなれないで いっしょにくらそうね。」



「やさしいライオン」 やなせたかし



やなせたかしさんの生き物への愛情が伝わってきた絵本。


「やさしいライオン」


やなせさんの初の絵本なんですね。


ある国の野外動物園に、みなしごのライオンがいました。


ライオンの名前は、ブルブル。


いつも「ぶるぶる」と震えていたから名前が「ブルブル」。


この「ブルブル」のおかあさんがわりになったのが、雌犬の「ムクムク」。


ただ「むくむく」と太っていたから、その名前がついたようです。


ムクムクはブルブルに、いつも子守唄をうたっていました。


ブルブル いいこね
ねむりなさい
ねむりなさい
ミルクを たくさん のみなさい
たくさん たくさん のみなさい
ブルブル いいこね
ねむりなさい


ムクムクは、ブルブルにいろんなしつけをしました。


いつしかブルブルは、やさしくたくましいライオンに育ってゆきました。


ある日


ブルブルは、都会の動物園にうつされることになりました。


ムクムクは、とってもつらそうに泣きました。


ブルブルとムクムクが別れてから、何年かたち


ブルブルは、サーカスの人気者になりました。


しかし


ブルブルは何年たっても、夜になれば、ムクムクにうたってもらった子守唄を思い出すのです。


ある夜


なつかしい子守唄が聞こえてきました。


「おかあさんだ!」


ブルブルはオリを破り、勢いよく飛び出します。


走る!走る!走る!


まちの人は、ビックリ!
壁からライオンが飛び出してきたのですから。


まちは、おおさわぎです。


ライフルを持った警官が、ライオンを追いかけます。


ブルブルはまち外れの白い雪の丘ですっかり年をとり、今にも死にそうになってるムクムクを見つけます。


「おかあさん! こんどこそ はなれないで いっしょにくらそうね。」


そのとき


警官隊の隊長が命令します!


「うて!」

ブルブルはムクムクを
しっかりと
むねに だいて
たおれて
いました。


犬とライオンの親子の愛。


この絵本「やさしいライオン」は、人間のエゴを批判し、命の大切さや、血がつながっていなくても、動物の種類は違っても、親子のあたたかい愛情、絆はとっても深く、「人間だってそのような絆を築いていくことができるんだ!」


そんなメッセージを受けました。


絵本の表紙は、とてもかわいい犬とライオンが描かれていて、この絵を見ているだけで、親子の愛情が感じられます。


絵本の最後に、こう語られています。


その よるの こと
としよりの いぬを
せなかに のせた
ライオンが
とんでいくのを
みたと いう ひとが
なんにんも いました。



【出典】

「やさしいライオン」 やなせたかし フレーベル館


水月あす薫SIRIUSさん、ありがとうございました。

まみここさん、ありがとうございました。


いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。それだけで十分ありがたいです。