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その初期ユーザーは課題の当事者なのか

前回はキャズム理論に基づいて自社のユーザーリサーチしたドキュメントをまとめていくと、セグメント別に設計を整理しやすいのでおすすめ、という記事を書きました。

キャズム理論では初期市場でのユーザーの属性を「イノベーター(2.5%)」「アーリーアダプター(13.5%)」としますが、この記事では「イノベーター」に当たる部分を見る際の注意点を書こうと思います。

リリース時に食いつく「イノベーター」はソリューションがフィットしているとは限らない

初期の2.5%を占めるとされるイノベーターは「新しいもの好き」「応援・コンセプト共感」のいずれかであることが多く、そのソリューションが価値を生んでいるかはまだわからないところがあります。

私は今まで立ち上げ時のスタートアップ企業のデザインをしてきましたが、起業する人が考える事業は何かしらコンセプトに新しいものがある場合が多いので、一定以上は共感されやすく、応援されるものが多いです。

その結果、少なくともリリースを打ったり、サービスを始めたことをSNSでシェアを行えば、サービスの提供価値とは関係なく一定以上ユーザーは付くのです。

彼らは最初のサービスを盛り上げる存在になる

そして、彼らは初期のサービスを盛り上げてくれます。

ユーザーがいないと始まらない2サイドプラットフォームの場合は特にそうですし、そうでなくても誰も使っていないようなサービスでは信頼感も醸成されません。

その点で、サービスの初期に登録してくれるイノベーター層の存在は事業にとってなくてはならない存在だと思います。

PSFを測るときにデータを濁してはならない

ですが、イノベーターは注意しないとPSF(プロダクトが提供するソリューションが合っているか、という起業して最初に検証すること)が合っているか判断するに当たって、ノイズになる場合があります。

というのも、「課題の当事者ではない」人が多く混ざっている可能性が高いからです。

その場合は、彼らに対してNPSや継続率をとっても意味がありません。

応援で使っているのか、課題の当事者なのかを判断しよう

そのため、ユーザーインタビュー の際は彼らに利用の動機や、想定する課題意識を持っているかを聞き、課題の当事者に当てはまるかどうかを判断します。

応援で使ってくれているユーザーがいることで舞い上がってはいけませんし、反対にそもそも課題を抱えてない人が継続しないことでがっかりする必要もないんです。

初期ユーザーのなかでも課題の当事者だけを抽出し、NPSや「このサービスがなくなったら?」のような問いかけでPSFを判断していきましょう。

私は自分の事業でも同様の勘違いをしたことがあったり、クライアントワークでも担当の事業責任者が同様の勘違いをして、その話を聞いた受託先の自分がPSFをしている前提で進めてしまう...という失敗をしたことがあります。

今の事業ではこの感覚に自覚的なので、ユーザーの属性別のプロットの段階で心得ていますが、改めて気をつけようと思ってこの記事を書きました。

PSFから始めよう

PMFが話題になっていますが、起業家の課題はまずはPSFです。達成される判断ができる一つの基準として、初期ユーザーの継続があると思います。

この記事は起業から初期ユーザーの継続までに必要なプロセスをまとめたものです。

PMFはPSFをした先に、利用を想定する属性を広げていく積み重ねで訪れると考えています。

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