しゅう独白

ボードゲームとサメ。好きな作家は筒井康隆さん。特に筒井さんがお若い頃に書かれていた前衛…

しゅう独白

ボードゲームとサメ。好きな作家は筒井康隆さん。特に筒井さんがお若い頃に書かれていた前衛的で実験性の高いナンセンス文学(”虚人たち”とか)、遊び心のある短編(”エロチック街道”とか)が大好きです。独白するように、そして衝動的に文章を書いていきます。(たぶん火曜投稿…)

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ねずみの中には人がいる.1

 夢やファンタジーを愛するすべての人へ、テーマパークに存在するキャラクターには、中の人がいる。  僕は中の人。世界中で知らない人がいない、あるキャラクターの中に僕はいる。僕の存在は誰にも知られてはいけないし、僕の存在に関する情報はもちろん、絶対に残してはいけない。  でも、僕は、僕の毎日を、日常を書き記すことにした。これはある意味、夢の労働環境の告発。誰にも知られてはいけない世界の話。中の人がどんな一日を過ごし、テーマパークにはどんな秘密があるのか、コテコテのファンタジー

    • 【短編】恋愛審判員制度:後半

      前半を読む 中村「いやぁ!後半も楽しみです。それでは、お知らせの後は後半、水族館デートキックオフです!」 ◯とある駅前 横浜にある桜木町駅前のような場所。シュウジが予定よりちょっと早く駅に着き、ケーコを待っている。 シュウジ「…」 そこに改札を通り、手を振りながら現れるケーコ。 ケーコ「おまたせ笑。」 職場のイメージとはちょっと違う玉田の印象。いざデートとなりちょっと照れるシュウジ。 シュウジ「なんか、あれだね笑」 ケーコ「あれってなに笑言っとくけど、まだ同

      • 【短編】恋愛審判員制度:前半

        ○会社・執務室(夜)  20席くらいある執務室でシュウジ(28)とケーコ(27)を含め3人ほど働いている。 シュウジはデスクを片付け始めていて、ケーコは不機嫌そうにパソコンで作業している。 ケーコ「なんでこんな‥」 シュウジが不機嫌そうなケーコを見ながらダッフルコートに袖を通す。社員「おつかれ〜っす。もうこんな時間かよ。」 社員が席から立ち執務室を出ていく。 ケーコ「おつかれさまでーす。」 やる気なさげに答えるケーコ。もう一人の社員が帰ったのを見て、コートを着たま

        • ねずみの中には人がいる.最終話

          「だれだ、お前は?」  パレードはテーマパークの閉園前、夕方の日が沈みかけようとしているタイミングで行われる。実は、パレード開始時刻はそれほど正確に決まっていない。パレードには複数キャラクターが同時に出演するため、キャラの誰かがイベントに捕まっていると、一テーマパーク、一キャラクターの原則があるため、その分、微妙にパレード開始のタイミングはずれる。なので、だいたい日が暮れるくらいに始まる、ということは、弊社はもちろん、お客さんの中では周知のことなんだ。  ぼくはとりあえず

        • 固定された記事

        ねずみの中には人がいる.1

          ねずみの中には人がいる.4

           「PK合戦」  社員専用口をトシさんと二人で歩きながら、更衣室エリアへ向かう。ぼくは、歩いている途中、今日あった出来事をトシさんに話していた。お城でのシゲさんのひどい仕打ち、フードコートであった学生に手をあげたこと、そしてその問題が夢の頭脳、貘狩によって、おそらく揉み消されたであろうこと、を伝えた。  「そうかぁ。よく、そいつのこと殴ってくれたな。おれ、スッとしたよ。」  トシさんから、そう言われて泣きそうになってしまった。お前はこの仕事の風上にも置けないって言われるか

          ねずみの中には人がいる.4

          ねずみの中には人がいる.3

          「無知との遭遇」  社員専用口が閉じられる前には既に、ぼくはシゲさんのむなぐらを掴んでいた。  「おまえ、良い加減にしとけよ、まじで。」  ドスの効いたぼくの低い声が響いた。はたから見れば、世界的有名なカップルキャラクターが彼女にDVをしているシーンにしか見えない。シゲさんの体は壁に押し付けられ、足元が微かに宙に浮いていた。  はっとぼくは気づく。スタッフ数名がぼくを後ろから止めようとしていることに。シゲさん以外の人間をまったく意識できなかった。それほどまでにキレてしまって

          ねずみの中には人がいる.3

          ねずみの中には人がいる.2

          「着る」  鳥の彼とは一旦、ここで別れる。さて、着替えるか。会議室から、会社の出入り口よりも厳重に警備されているエリアがある。何があるのかは社内では絶対に言及されないが、素直にいうと”更衣室“がある。 キャラクターを着る場所。テーマパーク最大の禁忌のエリア、ほんとは現実にあってはならない場所。 更衣室のあるエリアの手前で、社員証を警備員に見せる。警備員はぼくの顔を見ようとしない。彼は分かっているんだ、ぼくが本当は存在してはいけない人だってことを。  社員証を見せ、さらに簡

          ねずみの中には人がいる.2

          今日も不利な勝負してるのかな?

          今日は曇りの中でも、ほんとに降りそうな曇り空。 ぼくが小学生の頃、こんな天気に意気揚々と洗濯機を回すのがうちの母。 うちの母は、一応主婦なので流石に雨の日に洗濯するようなことはしないけど、なぜか危険な曇り空の時はよく博打を打った。 うちの母は天気予報がそんなに好きじゃなかった。 「わからないから、おもしろいじゃん」母は主婦にしてはリスキーすぎる思想の持ち主で、朝は天気予報を見たくないがために、録画した「ラブジェネレーション」や「PRIDE」といったドラマが流れていた。 だ

          今日も不利な勝負してるのかな?

          最近ゾワっとした話

          ついこの前。 久しぶりに1日ゆっくりできる日だったので、がっつり部屋を掃除してみたんです。目に見えるところはもちろん、見えないところまで隅々と掃除をしていたら、引き出し下の空白にあるものを見つけました。 それは、”DIORのコンシーラー” 男の一人暮らしには存在しないはずのアイテム。澪、ピュレグミに次いで存在しないはずなのに。しかも、なにが怖いかって、本当に記憶がないんです。誰のものか?そして、思い当たる人もだれも思いつかないんです。 ゾワっ。 心の平穏が乱される嫌な感

          最近ゾワっとした話

          ジェットコースター鑑賞#2

          A級「真実の行方」主演 リチャード・ギア あらすじ 元検事だった主人公は、警察のやり方に嫌気がさし弁護士として依頼人と警察の間を取り持つ交渉人をしていた。 こんなある日、 大きな協会の司教殺人事件の容疑者として未成年の男の子が逮捕される。主人公は男の子のことを疑いつつも、彼が殺人を犯してないと判断し裁判を戦うことに。相手の検事はむかし付き合っていた優秀な同僚検事…。主人公に待ち受けるのはいったい…。 所感 ミスリードの教科書。 序盤から伏線を張り巡らし、むしろ映画を見てい

          ジェットコースター鑑賞#2

          ただの先輩と後輩じゃなくなる瞬間。

          ●こんな二人 入社から半年たつも、まだ一件も契約を勝ち取れない後輩(男)。4年目のそろそろ転職を考え始めた仕事ができる先輩(女)。 ●背景 アポイントは獲得できるけど、どうしても契約までたどり着けない後輩は、社内でもてきぱきと仕事をこなし難なく契約勝ち取ってくる先輩に、一緒に取引先に行ってもらえるように頼み込んだ。 ●営業は今日も上手くいかなかった 先輩ついてきてもらったのに、お客さんにはいいところまで行くものの…肝心なところで押しきれず、「じゃ、また検討しとくね」で逃げ

          ただの先輩と後輩じゃなくなる瞬間。

          もし坂口健太郎が「隠れ肉食系」だったらどうしよう?

          最近、わたしの母はずっとこのことで悩んでいる。「もし、坂口健太郎が隠れ肉食系だったなら、わたしは抗えない」 という不安にかられているらしい。 どうにかして不安を解消できないか? 今回は母のために解決方法を探りたいと思う。 しお顔オブザイヤー殿堂入り 有識者の方はご存知だが健太郎はしお顔会で殿堂入りしている。 あのちょっと遠くを見ているような優しい瞳。 楽しそうに会話してる時にくしゃっとなる、 あのずるすぎる笑顔。それでいて、たまーに寂しそうに見つめてくる瞬間。 どうで

          もし坂口健太郎が「隠れ肉食系」だったらどうしよう?

          目隠しという、せかい。

          あなたは寝るとき以外に自ら目隠ししたことってありますか? もしくは、誰かに目隠しをさせたことはありますか? 僕は両方経験したことがあります。 いや、変な意味じゃなくて。というか変な意味で受け取ったあなたは、平日からどんな変なこと頭の中で考えているんですか?仕事に集中してください。 目隠しが仕事の効率を上げるかも。そうそう、仕事に集中する上でも目隠しってとても有効です。この情報社会、自分が意図しなくてもスマホ、建物の景色、店の看板、人の会話、表情、清楚系美人30手前女子の表

          目隠しという、せかい。

          礼服って、すごくいい。

          いつからだろう、こんな気持ちになったのは。 大好きだったおじいちゃんの葬儀。 ぼくの記憶に残っているのは美しい礼服の貴婦人。 お焼香をする姿、軽く会釈する瞬間、凛とした佇まい。 なんて、色っぽいんだろう。 当時中学二年生のぼくは、そんなキレイな貴婦人に心を奪われていた。 どうして、ぼくは礼服に惹かれるのだろう。 ひとつは、葬儀という場での背徳感だろう。             普通、葬儀は悲しみを共有し故人を見送る場。本来、やましい気持ちなんて考えてはいけない。 そ

          礼服って、すごくいい。

          合コン新役職 幻のシックスマン

          幻のシックスマン友人に誘われた合コン……今回の合コンは女性陣が20代後半で 経済力の無い僕には勝ち目はないです。 そう、そもそも僕の役目は影となり他のメンバーに光を当てること。 男性陣のメンバーは28年間恋人いないA君。 チョコをもらったことがないB君。つい最近、彼女をねとられたC君。 という、奇跡の世代が集まりました。 自分たちのことは、自分たちが一番わかっています。          僕たちのルックスでは女性陣を納得させるのは用意ではない。 ここからが、僕の仕事です

          合コン新役職 幻のシックスマン

          #ジェットコースター観賞その1

          ジェットコースター観賞とは ある一つの映画の楽しみ方。 それはA級映画を見終わった後にB級を見ること。 想像を絶するクオリティの差が私を襲う。 【A級ホームズ名探偵最後の事件】 ロードオブザリングのガンダルフで有名な イアン・マッケラン主演。 晩年のホームズが現役最後の事件を老いていく 自分の記憶をもとに解いていく、知的で切ない物語。 殺意なき毒が私の心に広がった。 詩的な表現が素敵な作品。 【B級ホームズVSモンスター】 この映画以外出演経歴負傷の俳優、 ベン・サン

          #ジェットコースター観賞その1