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フードエッセイ「アイスクリームが溶けぬ前に」 #21 レストラン好々亭(江古田)



子どもの特権「お子様ランチ」はバラエティ豊かで、大人になってもウキウキワクワクする。まるで、テーマパークに来たかのように。


お子様ランチ、いつ卒業しなくてはいけないのだろうか。

早く大人になりたい気持ち、周りの友達がお子様ランチを卒業しているのを見て、少し強がりながら「自分も卒業するもん…!」と心の中で唱えながら、お子様メニューを閉じ、グランドメニューから料理を選ぶようになるのかもしれない。


ただ、お子様ランチのプレートを食の観点で見てみると、ハンバーグにナポリタンパスタ、唐揚げ、オムライス、エビフライ、フライドポテト、ミニトマトやブロッコリー、ミックスベジタブルなど、子どもが大好きなメニューのオールスターが集結。頼めるならば、子どもだけでなく大人だって頼みたい。大人版・お子様ランチで、ビビッとくるものをずっと探していたのかもしれない


そして、ついに「大人版・お子様ランチ」といえる料理に出会ってしまった。しかも、試験の最寄駅でなければ行くことも出会うこともなかった、練馬・江古田という場所で。

コンパクトサイズのレストラン。
ランチタイム少し外しても、お客さんが絶えずいる人気店。


池袋から電車で10分ほど、大学も近くにあるベットタウンといえる江古田の駅チカにある「レストラン 好々亭」が今回の舞台。


入店し、おひとり様用席にチェックイン。ここからだと、奥のキッチンの様子も見えるし、水のおかわりも近い。特等席かもしれない。


1つの料理がメインより、複数の料理が楽しめるバラエティパック的な定食を欲していたこともあり、ハンバーグステーキ・カニクリームコロッケ・エビフライがセットのスペシャル定食を注文。洋食のワンダーランド遊園地でアトラクションに乗る行列にいるかのようで、楽しみでしかない。


そうこうしてるうちに、スペシャル定食の入場。
なんとびっくり、おひつご飯。人数によって大きさが違うようで、おひとりさま用にもおひつがあるなんて、、と驚きを隠せない。おかわり自由よりもテンションがあがってしまった。


ハンバーグは、肉汁閉じ籠った…!ではなく、お肉しっかりめ、デミグラスソースとのマッチングバッチリ。エビフライ、一口噛み締めると、衣薄めでエビぎっしり。エビをしっかり感じられるエビフライにまさかここで出会えるなんて。小さな感動は、続いていく。

クリームぎっしりのカニクリームコロッケは、クリームの濃厚さをしっかり噛みしめたくて、コロッケが口に残っているときは何も食べたくなくなる。そして、カニクリームコロッケの下から覗くケチャップパスタは、ケチャップしっかり。これは、ナポリタンでも食べたくなる味だ。


美味しく至福だった時間が短く感じるのは、楽しかった旅の終わりが近づいているのと似ているようで、味わいながらもあっという間の完食。ただ、この料理を求めて待っている人がいるから、早めにお店を出てあげるのもマナーかもしれない。行列の絶えない飲食店での作法は、アイドルの握手会やテーマパークの絶叫マシンの行列待ちと、どこか似ている。自分が美味しかったものは、早く他の人にも食べてほしい出会ってほしいから。


完食の料理に添えて、お礼の言葉を残したい。
今日もごちそうさまでした。


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