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Vol.3 脂質は摂らないほうが良いか、摂っても良いか、摂ったほうが良いか

こんばんは
深めるほど面白いexercise psychology
のお時間です。

今は安田と共に1日交代で書いています。
毎日更新できるように頑張ります。


さて今日は、栄養を考えたことがある人なら一度は気にしたことがある脂質についてです。
あくまで一意見、1論文を紹介して自分の考えを述べるだけですのでさらなる勉強や実践が必要なことは確かです。

参考論文


○脂質に関しての一般的意見

脂質は1日の総エネルギー量のうち25%程度を脂質からとるべきだと言われていわれています。
また、タンパク質を摂ろうとする(肉、魚、卵など)と同時についてきやすいのが脂質です。意外と卵は
タンパク質:脂質=1.2:1.0
くらいなので、卵をとにかくたくさん食べて良いかといわれると脂質の観点からすると微妙なラインです。
知らないうちに摂ってしまうというのも脂質の特徴ではないかと思います。


○糖代謝の観点

運動時のエネルギー源は主に糖質と脂質ということは有名ら、
グリコーゲン=体内に貯蔵されている糖質(主に筋肉へ蓄えられる筋グリコーゲンと肝臓に蓄えられる肝グリコーゲン)
グリコーゲンの量は体内に蓄えられている脂肪に比べてはるかに少ない。
グリコーゲンが足りなくなるとパフォーマンスが低下する事はなんとなく想像がつく。また、代謝が脂質代謝にも代わる(ケト状態)これについてはまた他の時に書いていこうと思う。

身体は栄養を取り入れると小腸などから
GIPという消化ホルモンが分泌される
このGIPは脂質を摂取した際に、分泌が強力に刺激される。それにより糖代謝が活発になりグリコーゲンの回復も促進されることが明らかとなった。
代謝=生体内と物質とエネルギーの変化のこと
糖代謝とは糖がグリコーゲンに変化する事

またこれは乳脂肪の時がとても効果的。

・マウスの実験
マウスの走行運動後に糖質を投与したグループと糖質と牛乳の混合物を投与したグループに分けたところ、
糖質のみを投与したマウスよりも後者の方がGIPおよびインスリンの分泌が顕著に高まり、筋グリコーゲンの回復効果が得られることが明らかになった。
また無脂肪乳と普通の牛乳を以上の条件で比べたところ、無脂肪乳を投与したマウスは普通の牛乳を投与したマウスよりもGIPの分泌効果は少なかった。


○たんぱく質代謝の観点から

・大学レスリング選手を対象とした研究
オフシーズンの2ヶ月間、調合サラダ油もしくは中鎖脂肪酸油(5g)を使用した食事を2ヶ月間にわたって提供し、骨格筋組織への影響を検討。
骨格筋→一般的に筋肉と呼ばれるもの
サラダ油郡→筋厚が減少
中鎖脂肪酸郡→筋厚が維持

また、高齢者を対象にした実験も行われていて、これでも同様の結果が得られている。

そこで、中鎖脂肪酸摂取は筋力を低下させるのではないかという可能性が示されている。

長鎖脂肪酸(一般的に取れてしまう油)を追加で体内に入れると、MuRF-1と呼ばれる酵素の発現量が増加する。
MuRF-1→筋タンパクを分解する酵素

しかし中鎖脂肪酸を追加で体内に入れた群はMuRF-1の増加が抑制された。


☆通常の食事+長鎖脂肪酸or+中鎖脂肪酸
の場合は、筋たんぱく質分解を抑制する意味では中鎖脂肪酸がとても優秀

ここで気を付けておきたいことは、5〜6gという量は知らないうちにとれてしまうので、"通常の食事"という部分がかなり難しい部分。 

怪我をした場合に筋トレなどができない場合は、普通の食事で脂質を控え、中鎖脂肪酸を単独で摂取する事(知らないうちにとってしまう事を考慮し単独で)が良いのではないか。


○脂質代謝の観点から

ラットを用いた実験などから、長期的な高脂質食の摂取はミトコンドリアの増大の観点から持久力が上がるとされている。長友選手が一時期行っていたケト状態とはまた違うもの。

ヒト実験などでも効果は実感されているが、疲労感の蓄積などの報告も出されていて、その大きな要因は体重増加とされている。


まあ普通の食事に脂質をプラスしたら絶対値として摂取カロリーが増えることは誰もがわかるであろう。

だから体重が増加→体脂肪が増加となり疲労感を多く感じてしまうのは想像できる事だろう。


ここで、近年話題になったのは糖質量を極端に減らし脂質をたくさんとり、体内を脂質代謝にしていく食事法である。これが長友選手が紹介していたケトン体回路。

しかし、科学的エビデンスとして、脂質酸化能力などの観点からパフォーマンスが向上するということはあまり出ていない。

だからこそボディビルの"減量"などで使われてはいるがアスリート界ではなかなかないのだと思う。(長友選手も何年か前に辞めたそうですね)

実際に僕も実施したことはありますが、競技スポーツの人にはあまりおすすめできません。それについてはまた後日体験談も含めて書きたいと思います。


また、体内を脂質代謝にするには短期間に低糖質高脂質にするだけでは不十分で、数週間〜数ヶ月を必要とする。


以上の事からコストの面を含めてもなかなか難しい食生活ではないだろうか。


メリットとしては、食欲が減退する報告がなされていて減量目的には良い方法ではないかとされている。



○私たちの生活で活かすには

まずは前提として脂質を完全にカットすることは、パフォーンスの観点からすればマイナスと言っても良いだろう。

消化や疲労回復の観点からは良質な脂質を摂ることは有効。しかし良質な脂質の見極めが必要。

ここで紹介したのは中鎖脂肪酸
主にMCTオイルと呼ばれるあぶらだ。

「Medium Chain Triglyceride」
ミディアム チェーン トリグリセリド
これがMCTオイル

安くない買い物であるが、疲労感を感じているアスリートは購入する価値はあるように感じる。

また、全乳には含まれている為、低脂肪乳よりも疲労回復の観点からは全乳を飲むのが推奨される。


次回僕が書くときは、脂質の有効な活用法の具体的な例を示していければ良いと思っています。

#脂質
#運動生理学
#ケトン体 #栄養 #健康 #食事



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