見出し画像

日々の雑感 day11【あなたの情熱は、愛なのか? 恋なのか? ③】

☆私がこんなに愛しているにわかってもらえない。

ハーバード大学のフランチェスカ・ジーノとスタンフォード大学のフランク・フリンという名門の二人がタッグを組んで行ったユニークな研究が結婚式の贈り物を贈る側と受け取る側の心理でした。

その結果、贈る側は「独自の贈り物(私が選んだ物)が良い」と考えていたのに対して、受け取る側は「(私達が)欲しいものリスト」に準じてほしいと考えていたことが分かっています。

皆さんも引き出物で一度は経験をして、同じような感想を持った方も少なくないのではないでしょうか?

マーケティングにおける顧客視点とは、まさにこの世界を指すわけです。

Localでよく「課題」と言われるのがこうした農林水産林業の何らかであったりしますが、世にいう職人、専門職、技術者という人々の信仰とすらいえる「技」への執着は、ほとんどの場合で世の中に響くことはありません。

マニアックというのは大衆支持がないからマニアックなわけで、それを大衆に浸透させようという出発点がそもそもなわけです。彼らは往々にして自分の技術は最高だといいます。しかし、その技術は最高の価値を世の中に提供していないのです。

つまり、その技術が生んだ商品やサービスは売れていないから「課題」になっているのです。しかも、当事者である彼ら自身は自己正当化の為に「理解しない顧客や世の中が悪い」とか「発信に問題が」と言いはじめたりします。

しかし、落ち着いて考えてみましょう。

フェラーリ社のような会社は、最高の顧客を最高に満たす最高の車を作っています。そんな彼らはTVやネットで宣伝する必要なんかまったくありません。世界の1%のお金持ちの中の数百人が購入してくれれば問題ないのです。

僕の応援している富士電機さんは地熱発電所の心臓部であるタービンの世界シェア90%以上を獲得しているまさに技術の企業です。そしてやはり、大げさな宣伝なんか必要ありません。

つまり、このような技術を象徴とする多くの企業やプロフェッショナルが証明しているように、技術は誰かの為に愛として発揮されるものであって、自分の存在誇示や自己証明の恋、ましてやエゴに使われるものではないわけです。

画像1

☆だって愛がないから

愛すべき人を見つけていない。
その愛すべき人に最高の満足を与えていない。

売れていない商品やサービスの現在地を受け入れていない。
そのこと自体が実は最重要課題なんですね。

例えば、今の日本の多くの家庭では一食1000円以下の予算ともいえます。
その中に体に良かろうがこだわっていようが、一品2000円、3000円、ましてやそれ以上の価格になる農水産物が日常食として入る筈がありません。

同様に、デスクワーカーのカラダには決して優しくない自称最高の材料と技術による高価格の机や椅子等も、年間200日以上使われる仕事場の日用品として選ばれるわけもないのです。

そう、庶民を幸せにしたければ庶民を幸せにする商品やサービスの為に創造力を含めた技術を磨かなければいけないのです。

その愛する相手の気持ちをないがしろにし、高技術という名を騙った商品やサービスの押し売りをする。その行為は彼ら自身を幸せにする「恋」かもしれませんが、決して相手を幸せにする「愛」に昇華することはないんです。

繰り返しますが、そんな現実、現在地をまず客観視する事が初めの一歩。

先のローカルの課題として行政が主導しやすいのは、これを力で何とかしようとして、広告で嘘をつき、だまし、欺くようなセリング(Selling)になっていることが多いことです。

この方法で瞬間的に大なり小なり売れますがいずれも持続はしません。すると次回はより高い費用を、そのまた次回はより高い費用をと広告宣伝費が増大し、商品やサービスの利益そのものが消失します。

広告代理店だけが太っていく麻薬のような手法であり、最初からこの考え方自体が破綻していたことには、もう気づく必要があります。

そしてもちろん、その理由の本質は、そのサービスや商品の中に顧客への「愛」がないからということはもうご理解頂けるところでしょう。

エゴの固まりが、選ぶ権利のある相手にとってかけがえのないものとして伝わるわけもない。それこそが人の世界の不変の真理、心理なのかもしれませんね。

画像2



この記事が参加している募集

ありがとうございます。頂きましたサポートは、この地域の10代、20代への未来投資をしていく一助として使わせて頂きます。良かったら、この街にもいつか遊びに来てください。